表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/174

再起動

----


キューバでの恐れをもう一度人類が抱いてから、ついに21年がたった――――その時までに戦争というものは一度だけ起き、それは第三次世界大戦と呼ばれた。


人類の持つ宇宙技術に原子力技術、航空技術に開拓の技術全てを用いて始まった戦争は、わずか3日で世界に広がった。そして核で消えてしまった戦力を用いて、ずるずると意味のない地上戦が2年続く。そうしてやっと終戦を迎えたが、核の恐怖を抱いた企業はついに、地下に自らのシェルターを持つに至ったのだ。


それがアンダーシティ。安定陸塊を持つ平原が製造に適しているとされ、まず手始めにアフリカ大陸に原初のそれが作られることになり、人々は財産をはたいてそれを求めた。


だがそんな理想が今ではどうだ。大枚はたいて買った権利が、事実上の奴隷になる義務となっているのだ――――割に合わないどころの騒ぎではない。


だけれどいまだ天に残る核弾頭から安心を買いたいという人間は星の数ほどいるから、誰も責められないだろう。


そうしてできた企業の奴隷の一人が今日もまた、ジャンクの機械をスクラップメタルに押し固める。彼は一つ、一つと山積みのエレカをクレーンで釣り上げ、マシンに押し込んで体積を減らした。


あの大火事で使い物にならないのが増えたから、給料と人手が増えてうれしくはあった――――だが、ここまで忙しいのならば何もない方が良かったかもしれない。


彼は鎮座する、金属纏った人型を見て息を吐いた。


あいつのおかげで、良くも悪くもこうなったのだ…………しかも当人は厚すぎる装甲のせいで、切断しなけりゃマシンを壊すかもしれないという状態。適当に鉄板を溶接したはずのものだったが、あの高熱と戦闘の余波で鍛造されてしまっており、切断にも厳しいというものだった。


だがそれも今日で終わる。


特殊金属のカッターが送られて来たのだ――――早速と彼はそれを握り、手始めに腰から上で切り離す。まるで紙のように切れるのが面白くて、彼はザクザクと腕に脚を切り落とした。


そうしてしばらく遊んでいると、そういえばこの中にはまだ、放火犯の死体があるのだなと彼は思い立つ。どうせだ、顔でも拝んでついでにみじん切りにしてしまおう。


そう思って彼は、残骸の胸部を四角にくりぬいてこじ開け、誰かの座っていたコクピットに貫通させて引き戻そうとした。


しかしどうしてか、深く刺さったらしく抜けない。どころか引っ張られるようでもあって、彼はカッターを一度手放して後ずさりする。


それと同時にカッターはとてつもない勢いでジャンクに突っ込み、動作を停止して燃えあがる。一体何が……?そう思った彼は、コクピットの中に人影を認めた。


彼の名前は知っていた。ニュースで連日連夜報道され、罵倒の声も何度となく聞いたから。


しかし、2カ月も前の事件のはずなのに、どうして密室の中で生きていられたのだ……?


そんな疑問は、飛び出してきた男と共に風に消えた。


余波だけで体が飛ばされるという状況に、ただ彼は失禁して頽れるしかなかった。


----


目を覚ましたアストラは、手に入れた力に驚いていた。


事件の後にウィーヴスの中で窒息死したはずの自分がどうしてか、生きていてしかも力が有り余る。軽く飛べば1メートルは浮いただろう。それだけに何かが起きたのだと、理解はできても納得はできなかった。


復讐は終わったのだし、第二の人生だ。どう生きようか……?


あくまで復讐の徒であった自分には、その時持っていた感情以外の何もない。けれどそれなら、歩いているうちに見つければいいのだ。


彼は何も考えず走り出した。さあて、何をしようか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ