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手を読み込む/ワンショット

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エレカに乗り込み、ある程度のところでマニュアルに切り替えて奥の道をこえる。タグポストが埋め込まれて十数年たった現代で、オートは誰かに足を取られるから使わないのがマフィアでは常識だからだ。


内部バッテリーモードで走るエレカで1キロほど走り、入り組んだ道をぐねぐねと抜けてアーノルドは待ち合わせ場所についた。


場所はアーレット通りの小さなバー。裏通り近くで、来る客もほとんどいない会員制の店だ――――駐車場を持っており、タグポストが埋まっていないと知られているので良く使われる。店主もそれを知っていて、駐車場の貸し賃として口止め料をもらっているのだ。


彼は慣れた手つきでエレカを置き、地下にしまって鍵を取る。そしてカードをかざして先払いで済ませ、ドアを開けた。


時間よりは3分ほど早かったが、中にはそれらしい人間がいる。符号として教えておいた通り、ガルバナ・ドリンクの注文をしてみると、彼は確かだなと見てリオット・ショットで肯定した。


少しだけのケミカルを味わい、アーノルドは依頼人の隣に座した。


「そちらが依頼人、でいいんですね?」


答えたのはわざとらしいスーツを着た男。無駄にパリっとしたクリーム色で、趣味の悪いネクタイからガラの悪さが透けて見えた。


「ああ…………。連絡した通り、頼めるか?」


彼の隣には3人ほどがおり、あからさまに護衛をしているのだとわかった。ホルスターのふくらみが胸にあり、ちらと覗くそれらがきちんとベルトで止まっているのを見て、アーノルドは彼らがまだ新人と見てとった。


「それが生業でしてね――――不足には答えましょう」


アーノルドはスリーブガンを店主に見えないように取り出した。電気着火式のウェルロッドライクのサブアーム。フルサイズの拳銃に比べれば弱いとはいえ、胸だのに当てれば致命傷になるものだった――――それを出すまで1秒もかからず、しまうのも同じ。


すぐにでもお前たちを殺せるのだぞと抜きの速さで教えて、彼はフランクにほほ笑んだ。


「なるほど…………いい腕だ」


男は金を払うことに納得し、自分らを『ダンツィヒ・ジャッカル』と、自分をアンドラス・アーロニルと名乗る。


アーノルドは彼らが伸ばした手を深く握って店を出た。



駐車場に止められていた車を引き出すと、アーノルドは驚き呟いた。


「地下に、よく入ったな…………」


車幅ギリギリの1トン積める小さめのカーゴ。中が見えないようにスモークが張られてあり、2人乗りの車種ゆえに3人はコンテナに乗ることになるものの、スーパーの店頭に一式を並べられるほどには量があるらしかった。


「欲しい種類をどこへでも。それが俺たちのポリシーでね…………おかげで顧客もそれなりさ」


「なある……ちょっと失礼」


乗り込む前にとアーノルドは自分のエレカのドアを開け、偽装ケースを取り出した。暗闇ではわからないくらいの切れ目があり、パーツを動かせばアサルトライフルになるもの。有事には盾としても扱えるので、長いこと愛用しているのだ。


「さぁ乗ってくれ」


アンドラスはアーノルドに助手席を勧めた。金を払ったのだから、移動の時にも露払いをしろというらしい。


彼は助手席に案内されるままにシートベルトを締めた。その後アンドラスが三人を後ろでコンテナに乗せ、扉をきちんとロックしたのを確認して彼もベルトをした。


「アンタが無能で終わることを祈ってるよ」


アクセルを踏んでアンドラスはつぶやく。


「俺もそうさ」


アーノルドが答えると、二人は小さく笑った。


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