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はじまりのしょ

みなさんおはようございます、はじめまして!初投稿になります、Lilyと申します!

初めてなので誤字等あるとは存じますが、どうか暖かい目で楽しんで戴ければなぁと思います。


さて、こちらは異世界ファンタジーものです。三十路のおばさんがちょっと若返って過去の英雄さんとモンスターを倒したり悪魔を倒したりする、まぁ普通目のファンタジーです。笑い要素つよめかなぁと思います。

こちらの作品はピクシブのほうでも同時進行させていただきますのでよろしくお願いいたします!

それでは短めな前置きですが、ここまでとして。

元フェンサーの三十路がまた冒険を始めさせられた件。をどうか末長くご愛読してくださることを願って!Lilyでした。

プロローグ



ここは秘密の国。


様々な種族が集う、人間界とは遠く離れた不思議の国。


平和でのどかな、へいわな国。



そんな天国のような国が、今危機に晒されている。



悪魔に寄って、ぐちゃぐちゃにかき乱された不思議の国を、


なんで私が救わなきゃいけないんだよ…!?






これは、秘密の国の危機を救う、バトルと戦慄と、ちょっぴり可笑しなお話。










第一章


第一話


分厚い本を閉じた。何年もかけ、やっと今読み終わった。

もう紙は色褪せて、字も薄くなって消えかかっている。その見た目に、自分と同じくらい時代を跨いできていることを実感せざるを得ない。

今朝淹れたピーチティーはもう冷めきっていた。もう黄昏時だ。夕闇に世界が染まっている。

ふと、視線を向かいの椅子のほうへ向ける。熊の耳が生え、眼帯を付けた幼げな少年は、難しそうな顔で本を読んでいた。足をぱたぱたと動かせば、右へ首を傾げ、また左へ首を傾げた。可愛らしいその仕草に、私は思わず微笑を浮かべた。

「読み終わったかい?クマ。」

クマ、と呼ばれ顔を上げると、その大きな瞳で私を見つめたあと、怪訝そうに顔を歪めた。

「見るからに終わってないの解ってて言ってます?ていうか、ぼくの名前はクマじゃないって何回言えばわかるんですか」

クマはそう言うと押し花の栞を挟み、椅子から降りた。

「ははは、ばれてしまったか。私は読み終わったよ。」

「秘密の国から何通も招待の紙が届いていますよ。全く、これでお仕事をする気になりましたか?」

「そりゃ勿論。十年くらいは頑張れるかな」

ふふっとからかう様に笑った。「自力で歩いてくださいね」と、クマは唇を尖らせた。

「すまんすまん、車椅子くらい動かしてくれよ。プリーストのところで浄化してもらうか?」

「う…もう。お嬢は本当に最低ですね。」

クマはぶうたれながらも私が座っている車椅子の後ろへ回ると、玄関まで押していく。

私はそうだ、それでいい。とクマを宥めた。クマはちょっと静かにしてくださいと言うと、ログハウスを出、そして近くにある広い草原へと向かった。

空には満天の星が広がっている。あの日の景色が、ふと蘇った。

草原の中心まで来ると、クマは車椅子を押す手を止めた。

「よし。それじゃ行こうか。」

クマは心底嫌そうな表情を浮かべたが、ため息をついた後はいと頷いた。

「…秘密の国よ、門を開け。エヴァ、ローリーに魔法の力を…」

そう呟くと、広い広い大空に大きな扉が現れた。扉は音を立て、ゆっくりと開いていく。「…おや、これは酷いな」

扉の奥に広がる、綺麗なはずのあの秘密の国の景色は、今まで見たときの無い、ぐちゃぐちゃに乱れた景色になっていた。





「緊急応援要請。緊急応援要請。直ちに国を救えよ。緊急応援要請。緊急応援要請。直ちに…」

そっと携帯から流れていたアラームを止めた。

気持ちのいい眠りから起こされてしまった。どうでもいいこの世界を救えと、煩わしいアラームが私の耳を劈く。


秘密の国は、様々な種族が集う国だった。

其々フェンサー、ウォーリア、ハンター、プリースト、ウィザード、リトルウィッチ、アサシンやアーサーガンナーナイトなど、RPGさながらのジョブにつかなければならない。その中で私は伝説を立ち上げたとまあそこそこ有名だったフェンサーだった。

かつてパーティーの先頭に立ち、秘密の国の奥の奥に住んでいる悪いドラゴンを倒しにいったあのキラキラと輝く自分はどこかへ行ってしまった。

倒し終わればパーティーのみんなとは別れてしまい、することもなく家に引きこもっていて、気づけばもう何年もたっていた。あの時は17だったが、もう三十路で未婚で処女のババアだ。そう思うと、時間の流れの速さに苛立ちを覚えるし、もっとも時間の流れの速さに揉み消された自分にも苛立ちを覚える。

元伝説のフェンサーで、今はニートで引き籠りで恋愛経験もないに等しく三十路処女のババアによく緊急応援要請なんか掛けられるなぁ…とこの国の政治はどうかしているとつくづく思った。


しかし心の奥ではやってみようか、と思えている私もどうかしている。

こんな一番ゲームが楽しい時期に。一番忙しい時期に。世界を股にかけて戦うなど今の体力的にも精神的にも非常に億劫だというのに。

「このまま誰か、かわいい妖精が来て連れていってくれたらなぁー…」

ゲームのコントローラーを握りながらそうぼやくと、メガネの奥の矯正された世界を見上げた。

「はいはぁーいっ!呼びましたね!」

ふと、耳もとから甲高い声が聞こえた。私はその声が聞こえたほうを見てしまった。

「んぬぇっぉ!?」

今まで出したことのない声が出てしまったことにも驚いたが、その声を発した正体にもっと驚き、マンガのような地味に痛い後ずさりをした。

そこにいたのは、ほんの中指くらいの大きさの、背についた透明でか弱そうな羽をはためかせ、青いふわふわした長髪の派手な形容しがたい服装の…まぁ完全なる妖精がそこにいた。

「もうっ、人の顔を見て怖がるなんて失礼なのです!…あっ、申し遅れました、わたしはノノと申しますですっ!ええと…たしかあなたは…」

「いや忘れんなよ!リュシーだわ!!」

「あっ、ごめんなさいっ!ノノうっかり屋さんなのです~」

違う。思い描いていた妖精はこんなんじゃない。知り合いから聞いたり本で読んだのはもっとこう…純情でかわいらしいものじゃないのか。いやこいつの見た目は超かわいいんだが中身だ。中身がダメだこいつ。なにがうっかり屋さんだ。そしてその舌をだして頭にグーを当てるしぐさがかわいい筈なのにムカつく。

「と、いうわけでー…あなたがあまりにも要請に反応しませんので、強制派遣されちゃいましたのです!真面目にやらないとノノが後からいろいろ言われちゃうのでさっさと一からフェンサー始めちゃいましょう!」

ノノは魔法なんだか何だか知らないが私に謎の鱗紛をかけた。するとたちまち私は現役の頃着ていたようなあのやたら露出度が高い服に変わり、テレポートの輪が地面にできた。

「いやっちょっとま、私まだいいっていってな…」

「それではいっちゃいましょう!リャシーさん!」

「リュシーだぁぁぁぁ……」

テレポートの暗い闇の中に落とされる。体の部分的に付いた鎧が重く、落ちる速度も加速している。なんでテレポートするのにわざわざ落ちなくちゃいけないんだ。


―ながいながい冒険が幕を開けた。

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