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降霊  作者: 藤乃 夜舞
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【俺は今】

少し人とは違う(おもむき)のプロデューサーの企画で陸奥むつまでロケに来ている。イタコに『口寄せ』をさせて、その一部始終を撮るのが目的だ。


「なぁなぁ、口寄せって本当に霊が降りてきてると思うかぁ?」

俺にとっては霊が降りようが降りまいが、どうでもいい話である。

しかし彼にとっては特集番組の企画にしたいほど魅力的な題材らしい。

「事前にいろんな情報を教えてるんだろ?そんじゃ、それらしい事も言えるだろよ」


彼の言うことにも一理はある。

氏名・生年月日・出生地・享年(きょうねん)・没した場所・死に様などの基本的な対象の情報と、降霊の前に与太話でもして仕入れた故人の趣味や生前の行動といった情報を使えば目の前で涙目になって座っているお客とも、それらしい会話が出来そうだ。

都合が悪くなれば降りてきた霊にお帰りいただけばいいことだしな。


しかしカメラの前で歴史と由緒のあるイタコを八百長だと晒そうとする、この悪趣味なプロデューサーの神経には正直なところ付き合いきれない感がある。

だがフリーのレポーターの俺が、数字(視聴率)を取れる番組を幾つも手掛けた名うてのプロデューサー様の言うことに逆らえるはずも無い。


撮影予定現場には夕闇が迫る頃に到着した。

みんな移動で疲れているし時間も時間なので、明日の朝からのロケにしようと言ってみた。

本当は俺自身がゆっくりと休みたかったからなのだが。


俺の提案は薄闇の作り出す「いかにも」といった雰囲気に魅了されたスタッフ達に、いともたやすく打ち消されてしまった。

そして予めアポをとっていたイタコに連絡をとりロケが開始された。

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