表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大陸戦乱末の英雄伝説  作者: 楊泰隆Jr.
雄飛編
166/184

別れと再会

今回の連続投稿で『雄飛編』を完結させます。

『雄飛編』完結まで毎日23:00~24:00の間に投稿する予定です。

体調・仕事の関係で投稿が滞ることがあるかもしれませんが、ご了承ください。

今後もよろしくお願い致します。

 次の日。

「私の為にごめんなさい…………」

 カタイン軍の出発寸前、クラナがユリアーナに頭を下げる。

「気にしないでください。私は元気にやりますから」

 カタインの真意を聞いた。

 だから、悲観することは何もなかった。

「言い忘れてたけれど、昨日の話、今の時点での私の気分よ」

 カタインが会話に加わる。

「へっ?」

 ユリアーナは間抜けな声を出した。

 カタインと目が逢う。その瞬間、背中に嫌な汗を感じた。

「肉食動物と草食動物が友人だったとして、それは明日も友人でいられるかしら? 気が変われば、食べちゃうかもしれないわ」

 カタインはユリアーナの頬を撫でた。ゾワッとした。

「ク、クラナ様、できるだけ早く来てくださいね! そして、この戦争を終わらせて、シャマタルに帰りましょう!」

 ユリアーナはクラナの手を握って訴えた。

「は、はい! そうですね!」

「ふふふ、じゃあ、私たちは行くわね。ネジエニグ司令官」

「はい、私たちも必ず駆けつけます」

 カタイン軍は出発し、要塞に残ったのは元シュタット及び、元ルーゴン隊の配下の兵士だけになった。

 そして…………

「雑兵として扱ってもらって構わない。今後お世話になります」

「戦場ではどれだけ役に立つか分かりませんが、事務処理は得意です。よろしくお願いします」

 ルーゴンとハウセンがクラナに挨拶する。

「えっと、本当にいいんですか?」

「私はあなたに興味がある。あなたの元で使ってもらいたい」とハウセン。

「もし叶うなら、レウスさんのところで使ってほしい」とルーゴン。

「ハウセンさん、分かりました。ルーゴンさんは…………フィラック、どうですか?」

「分かりました。ルーゴン殿、これからは力を貸して欲しい。それから、私のことはフィラックと呼んで欲しい」

「分かりました。色々と学ばせてください、フィラックさん」

 シャマタル独立同盟は新たな戦力を加えて、首都からの連絡を待つ。

 その間、リョウとクラナはほとんど一緒に過ごしていた。

 クラナの体調は回復し、やっとルパから外出許可が出た。

「いいですか、二時間だけですよ。それを破ったら、今度はベッドに縛り付けます」

 リョウとクラナが街へ出かける寸前、ルパは二人に釘を刺した。

 街は所々崩壊し、激戦を物語っている。

 それでも生き残った者は復興に躍起だった。

 自分たちが戦い守った街に誇りを持っていた。

「クラナ、食欲ある?」

「少し戻りました」

「ちょっと待ってて」

 リョウは肉の串焼きを売っている店に寄った。

「あっ…………」

 クラナはその店に見覚えがあった。

 以前、クラナとユリアーナが寄った際に拒絶された店だった。

 クラナと店主の目が逢う。

 戦いに参加していたらしく、腕や顔に傷があった。

「おじさん、肉の串焼き、二つお願いします」

 それを知らないリョウは注文をした。

「…………悪いね、今、肉の串焼きは売り切れだよ」

 クラナがその言葉を聞いたのは二回目だった。

「魚でいいかい? それならある。本当に今は肉がないんだ」

 店主はリョウではなく、クラナに向けて申し訳なさそうに言った。

「はい、私、魚も好きです」

 クラナは笑顔で返した。

 店主から焼き魚を二本、受け取り、歩きながら、咀嚼する。

「クラナ、機嫌がよさそうだね」

「分かりますか?」

 クラナは以前、街を歩いていた時に感じた刺さるような視線がないことに気が付いた。

 注目はされている。でも、そこには拒絶のような感情がないことが分かった。

「リョウさん、頑張って、それが報われるっていいですね!」

「どうしたんだい? そうだね。…………あっ、クラナ、口に魚の食べ残しが残っているよ」

「え!? どこですか?」

「ここ」とリョウはそれを取った。

 クラナはこんな時間がもっと続けばいいのにと思った。



 

「あーー、久しぶりの再会、初っ端からこんなところを見せつけられるなんて…………えーっと、こういう時、リョウさんの世界の言葉で、なんて言えばいいんでしたっけ? あっ、そうだ。リア充爆発しろ、ですね」




 二人の後ろから不意に聞き覚えのある声がした。

 二人が振り向くとそこには…………

「ルピン?」

「ルピンさん?」

 二人は少し自信がなかった。

 後ろにいた少女のような人物は短髪で、髪の毛は黒と青が混じっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ