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大陸戦乱末の英雄伝説  作者: 楊泰隆Jr.
雄飛編
140/184

ガンルレック要塞攻防戦七日目②~各自奮戦~

今回の連続投稿で『雄飛編』を完結させます。

『雄飛編』完結まで毎日23:00~24:00の間に投稿する予定です。

体調・仕事の関係で投稿が滞ることがあるかもしれませんが、ご了承ください。

今後もよろしくお願い致します。

 ガンルレック要塞軍左翼。

 ダステイの元にクラナからの伝令が届く。

「同感だ。さて、どうするか…………」

 ダステイが思考を巡らせていると少し遅れて、クラナからもう一つの報せが届いた。

 それを聞いたダステイは意地の悪い笑いを浮かべた。

「なるほど、ならば、俺たちは敗走しようか」

 ガンルレック要塞軍左翼は攻勢が限界に達し、後退するような行動を取った。

「勝ち逃げさせるな!」

「反撃だ!」

 散々やられたリテリューン皇国軍はこの好機を逃さない。一気に攻勢に転じた。

 しかし、リテリューン皇国軍の先頭集団の足がすぐに止まった。

 ガンルレック要塞軍の新手に弾き返された。

「なんであいつらがここに!?」

 リテリューン皇国軍の兵士は恐怖する。

「俺たちが相手になろう」

 グリューン隊が来援した。

 グリューンが「昨日の汚名を晴らすぞ!」と叫ぶと、カタインの近衛隊は一斉に走り出した。

 数の上ではリテリューン皇国軍が有利だが、両脇を建物で囲まれた市街戦で個人の強さが強調される。

 グリューン隊はリテリューン皇国軍の右翼に大打撃を与え、攻勢の意思を消滅させた。

 右翼ではアーサーン隊が奮戦を続ける。

 そして、中央では…………

「また一人やられたぞ!」

「くそ、あんな距離から狙いを付けるなんてどうなっている!?」

 リテリューン皇国軍は超遠距離から飛んでくる一矢必殺に恐怖していた。

 

 高台の上。

「次…………」

 ルパがとても冷たい声で言う。

「は、はい!」

 ルパの周りにはすぐに装填された弩を渡せるように五人の民兵が付いていた。

 全員が四十前後の男であるが、ルパの姿を見て完全に従者となっていた。

 ルパの奮戦で中央もガンルレック要塞軍が優勢だった。

 しかし、ルパには確実に疲労が蓄積されていく。

「限界ですか…………」

 ルパは初めて矢を外した。

 呼吸は荒く、発汗が異常だった。加えて、視界がチカチカしていた。

「…………クラナ様に連絡してください。一時間だけ休みます。その間、私の支援が完全に消えます、と」

 ルパは倒れこんだ。集中力が切れると自分がどれだけ無茶をしたか自覚する。

 脱力し、動かすのが辛い腕で鞄の中から『神化薬』を中和する薬を丸めた紙筒を取り出し、火を付けて吸引する。

 過敏になっていた感覚が元に戻った。

「何か、食事を持ってこようか?」

 先ほどまで弩を装填していた中年の民兵が言った。

「今は食事の味も分からず、砂を食べているような不快感に襲われるでしょう。それよりも常温の水を持ってきてもらえますか?」

 ルパの頼みはすぐに叶えられ、水を飲み干した。

 周りの者は心配するが、ルパは、

「三十分だけ寝ます。三十分したら、起こしてください」

 それだけ言って、ルパは瞳を閉じた。

「ネジエニグ司令官が出撃するぞ!」という兵士の歓声が聞こえてきた。

「無事でいてください…………」

 ルパはそう呟き、意識は途切れた。

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