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受験勉強

作者: ざるそば

初投稿です。下手な作品ですが生温かい目で見守ってくださいませ。

ああ、なんて空気が重いんだろう。そうか、空気が重いんじゃない、俺が軽いんだ。いや、何訳の分からないこと考えてるんだ。受験勉強で気でも狂ったのか俺は。集中しろ。頭の中の要らない物を排除して目の前の課題を理解することだけに努めるんだ。余計なことは考えるな。そうだその調子だ。



ああ、だめだ。また気が抜けてしまった。全く勉強にならない。こんな事じゃあ受験に失敗してしまうぞ。いいか、想像しろ。もし周りの奴らが皆受かって俺だけ落ちたらどうする。それこそ悲劇だ。ドーハの悲劇だよ、分かるか、俺。だめだ、余計なことを考えたら集中できなくなる。とにかく目の前のことに集中しろ。やってやるぞ。



木枯らしが窓の外で叫び声を上げている。

道の端に無造作に置いてあった空き缶が乾いた音を立てる。木枯らしは飽きることなく町を蹂躙し続け、叫び声は絶えることなくその悲しみを訴え続け、空き缶はいつまでも人気のない道を孤独に転がり続けた。





ああ、今日の分がやっと終わった。もう何もしたくない。頭の中に岩石が溜まっている。これがいわゆる鬱というものなのかもしれない。ああ、疲れた...。暖房の湿気の無い乾いた温風さえ人の温もりに満ち溢れた生温かい吐息に思えてくる。今日はもう寝よう。風呂にも入りたくない。ベッドに直行だ。ああ、心地よい弾力...。何も考えられなくなってきた...。眠い...。





彼もまた、来たるべき2月に備え受験勉強という人生の中でも特に苦しいであろう時を過ごしている。しかし、特段珍しいものでもない。ほとんどの人が通るごく当たり前の試練だ。今も多くの人が彼と同じ苦しい時を過ごしている。日本中の至る所で苦汁を舐めて舐めて舐めまくっているのである。


木枯らしはそれを見て不思議に思う。何故人間は自分から苦汁を舐めに行くのだろうと。しかし彼には冬の間叫び声をあげ続ける事しかできない。自らは苦汁を舐めることさえできないのか、そう思いながらも彼は今日も叫び声を上げ続けるのである。






今日も風の音が凄い。よし、そんなことより勉強だ勉強だ。今日やるところは...。

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