第二話
「もう一度言う。君達には、魂の修復の対価として異世界で生活してもらう!」
「まぁ、すぐに死ぬことがないように、準備してから転生させるよ。せっかく修復したのに、すぐに死なれては割に合わない。君達が転生する世界はわかりやすくいうと、魔法があるファンタジー世界に似ているね。生活水準は戦国時代から江戸時代、又はヨーロッパの中世に該当するだろう。まぁ、場所によってピンキリがあるが。一番の違いは世界には魔力が満ちており、魔法があることだ。このことが場合によっては、科学を超える現象を起こしている。極一部になるが、君達の生活水準を超えている場合もある。あとは魔物・・・魔力を持った動物を魔物という。魔力がないものは獣だ。それに貴族のような特権階級又は身分制度といったほうがわかりやすいかな?人族にこの傾向が強いな。国として纏まっている場所もあれば、村単位のところもある。戦争してる国もある。」
すぐに死なれては割に合わないってことは、魂の修復の対価は異世界転生のみってことか!?
戦国時代やヨーロッパ中世に該当するなんて、人権という概念すらないんじゃないのか?
戦争しているってことは、自分の身は自分で守れってことか!?戦ったことなんてないぞ!!
まして魔法がからんでくるなら、どう対処していいかわからん!!
説明を聞きながら、心中で絶叫するということを、やってのけた・・・いまだに黙りなさいは有効のようだ。落ち着けという自己暗示はどこいった?
落ち着け。聞き逃すな。もう一度自分に言い聞かせる。
「今回は全員が戦闘経験がないので、スキルという概念を世界に組み込んだ。これは特定の技術に対して、熟練度が一定数になれば世界からの補正を受けれるというものだ。言い換えれば、補正が受けれるほどの熟練度を得れば、スキルを得ることができる。これから徐々にスキル持ちが現れるだろう。大本は創ったから、君達はこの中から、それぞれ選んでもらう。これで生存率は上がるだろう。」
ということは、最初のスキル持ちになるのか?
しかし、すぐに死なせるつもりはなくても、『刺激は、大きすぎてはいけない。』って言っていたから期待しすぎないほうがいいな。
異世界に適応させるぐらいに思っていたほうがよさそうだ。
「さて、選択の説明に移ろう。選ぶのは種族、スキル、アイテムだ。わかりやすくポイント制にしておいたから、説明が終わって合図したら、三十分以内に百ポイント内で選びなさい。」
言い終わった瞬間、音もなく目の前に画面が二つ現れた。
「君達から見て、左側が君達が選んだ新たな自分の能力となる。種族を右の画面で選ぶと能力値が反映される。数値は選んだ種族の成人の平均値だ。男性か女性かは左の画面で選びなさい。思考するだけでチェックが入る。あと、十二人の十五歳はそのままの年齢で肉体を用意する。他はバランスを取るためにランダムになる。また一年間は、能力把握のスキルが使用できるようにしておこう。これは自分の能力しか見れないし、他人に見せることもできない。」
「今の君達は、死亡し肉体がない状態だ。ここでは・・・憶えている生前の肉体の感触を使っているに過ぎない。生前の肉体情報をベースにあちらに適合するように肉体を作成する。」
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<能力把握>
名前:笠木 優希
種族:
性別:□男、□女
年齢:十五歳から二十五歳の間でランダムに決まる。
体力 :
魔力 :
攻撃力:
防御力:
賢さ :
素早さ:
器用さ:
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しっかり個人名が入ってる。モニターもなく画面が見えるとは・・・早速科学を超えてるな。しかもマウスも不要だし。
若返るのはありがたいな。異世界は確実に体力勝負になるからな。しかし、成人の平均値か・・・やはり大きな力を持たすつもりは無いということか。
「次に、右の画面で種族、スキル、アイテムを選ぶ。各画面の右上に残り時間とポイントが表示される。時間切れの場合はその状態で肉体の作成を行う。未使用のポイントは消滅する。時間内で選択することをお勧めする。」
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『残り時間 30:00』
『保有ポイント:100、使用ポイント: 0』
・種族
・スキル
・アイテム
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時間厳守だな。ポイントが消滅するなら、気になったものはチェック入れていったほうがいいな。
ここでどう選ぶかで、異世界での生活が決まる。ミスはできない。