第十三話
椅子に深く腰掛ける。
全身の力を抜いて、目を瞑る。
ふぅーー。・・・後は、・・・枝から水分抜いて、薪とペンの作成か・・・りんごもどきの鑑定もしたい。食べ方とかもあるかも・・・
あと1魔力回復したら、先に鑑定するか。で、マイに夕食の準備してもらっている間に作成と。
種火はマイに頼もうか・・・魔法の確認もしなくては・・・自分で魔法を体験したら、もう逃げようがないだろう。ここは異世界なんだと・・・
つらつらと考えていると、声がかかる。マイがそばに来ていた。
「大丈夫ですか?お水、飲みませんか?」
「あぁ、ありがとう。」
マイへコップを渡す。鍋からコップに水を注いでくれる。手渡されたコップを両手で持ち、ゆっくり口に含む。美味しい。水が美味しいのはありがたい。
マイも椅子に座りこちらを見ている。
火魔法を念じてみる。・・・呪文もいらない。明確なイメージができればいいようだ・・・LV1なら火の塊・・・直径10cmにはなるか?
マイに声をかける。
「後は、夕食と焚き火の準備だね。もうちょっとで魔力回復するから、りんごもどきの鑑定を先にしよう。何か食べ方があるかもしれないし、鑑定しておいたほうがいい。夕食の準備はお願いしていいかな?」
「はい。任せてください。」
「ありがとう。あと、焚き火の準備が出来たら、魔法で火をつけてもらえるかな?火魔法はLV5だったよね。火魔法と念じれば、使い方が自然とわかるから、感じたことや、頭に浮かんだことを教えてもらえるかな?」
「はい。やってみます。」
マイが目を閉じる。・・・マイにはどういう風に感じられるのか。LV1とLV5の違い。検証すべきことが山積みだ。今はまだ、スキルのおかげで、発現できるというだけだ。咄嗟の時に魔法がつかえるかどうか・・・使いこなす訓練をしたほうがいいな。咄嗟のときの、切り札にできる。切り札にするなら・・・火と水の魔法が使えることにしておくか。
「わかりました。魔法を使うには、しっかりとイメージすることです。今できる火魔法はこれぐらい・・・1mぐらいです。・・・危ない・・・ですよね?」
マイは、両手を広げて大きさを示した。・・・そんなもんが当たったら死ぬ・・・さすが中級・・・
「マイ。小さな火をイメージして。火種にするのに、LV5の全力はだめだよ。・・・そうだね。指の先に直径5cmぐらいの火を思い浮かべてみるといい。」
「わかりました。やってみます。」
「終わったら、魔力の消費を確認してね。魔法はまだ、確認できてないから。よろしく。」
「はい!りんごもどき、こちらに持ってきますね。」
「お願いする。」
自主的に動けるようになってきたな。ありがたい。
残りの作業を確認する。枝の残りから水分を抽出する。ペンを作る。残りは薪に・・・そのままでは大きいな。大きい枝は、いっそ全部ペンにして、不要な分を薪にするか。あとは・・・棒として使えそうな枝は残しておくか・・・
魔力を確認する。
魔力 : 6/25 1魔力回復している。
さて、やるか。
戻ってきたマイに告げる。
「回復したから、鑑定するよ。」
「これです。お願いします。」
マイからりんごもどきを受け取る。
鑑定と念じる。
ライカの実:まるごと食べれる栄養価の高い実。木の個性によって収穫時期が違う。種が無く、挿し枝で増える。収穫後1ヶ月から3ヶ月保存できる。
味の情報はないか。まるごと食べれるのはりんごと一緒。これで味がトマトとかは、やめて欲しい。いっそ見たこともない食べ物なら、先入観も無く味見できるのに・・・ひとまず、鑑定結果をマイに伝えよう。
「この実は、ライカの実。まるごと食べれる栄養価の高い実。木の個性によって収穫時期が違う。種が無く、挿し枝で増える。収穫後1ヶ月から3ヶ月保存できる。となってる。残念ながら味の記載はなかったよ。今日は、このまま丸かじりしてみようか?皮も食べれるようだし。」
「はい、わかりました。何個食べますか?」
「とりあえず、一人二個用意しようか。食べてみないとわからないし。」
「じゃ、準備します。」
「お願い。洗うのは、テーブルの洗面器の水を使って。樽の水は飲料と調理に使おう。」
「はい。」
魔力を確認する。
魔力 : 5/25 問題なし。作成しよう。
枝を選別する。掴み易い太さ・長さのものが2本あった。よけておく。60cmぐらいのまでの枝も、そのまま使えるので、避けておく。他は焚き火の場所へ移動させる。抽出する水は最後の洗面器に入れてみるか。洗面器を足元に置く。
水分を取り出すようにイメージする。水は洗面器へ。
抽出!
まばゆい光が収まると、洗面器の中には、2/3程の水があった。
枝を確認する。水分はまるで感じない。薪として使えるだろう。
そのまま、ペン・・・万年筆をイメージする。ペン先は細く、持ち手は手になじむ太さで。
物質変形!
まばゆい光が収まると、かなりの数が出来ていた。手にとって、確認してみる。
外側の方は、かなり硬い。筆圧強いと紙が破れるかも・・・内側は、まだましか・・・内側と外側をそれぞれ10本確保しておく。
白くなった葉を固まりにして、一番下に置く。立て掛けるように、外側のペンを周りに並べる。これで、火をつけてみよう。調理するわけでもないから、そんなに大きくする必要はないだろう。避けておいた60cmぐらいのまでの枝もあわせれば、量は十分だろう。
魔力を確認する。
魔力 : 1/25
体調に問題はない。0になっても大丈夫なのか?
空が赤くなってきた。もう、火をつけなければ。マイに声をかける。
「マイ、火種をお願いしたいけど、いいかな?」
「はい。こちらも洗い終わっています。」
マイがこちらに来る。
「ここに、火を点けるんですね!頑張ります!」
「気負わなくていいからね。むしろ、リラックスして、火種の大きさね。しっかりイメージしてね。」
「はい!」
マイが薪へ指を伸ばす。・・・指の先に火の玉が現れた。そのまま、葉とペンに炎が移る。燃え始めた。成功だ。
「ありがとう、マイ。燃えてるよ。気分はどう?体調におかしなところは?」
「大丈夫です。変わったところはありません。・・・ホントに魔法があるんですね。私がしたんですよね。・・・」
「ちゃんと使えたね。魔法の使用量は、どうなってる?」
「はい。今見ます。・・・魔力は残り23になっています。」
「ということは、LV5のマイがLV1ぐらいの魔法を使って使用魔力が2。LV5の最大火力は火事にならない場所を見つけたら、試そうか。ただ、それまでに緊急事態が起こったら、身を守るためなら使わないといけないよ。今みたいに生活に役に立つけど、身を守る術でもあるからね。」
「・・・はぃ。」
「すぐに使えるとは、思ってないよ。私も訓練が必要だしね。一緒に頑張ろう。」
「はい!お願いします。」
「お腹がすいたよ。食事にしよう。」




