第十話
欲しい物は、メモ帳・・・紙と、書くもの・・・ペンとインク。それに、インクを入れる容器。
必要なものは、洗面器を二つ。
錬金のスキルで、物質変形、分離、抽出、溶解、合成ができる。
今ある材料は、幹と枝と葉。
まず、枝の断面を見てみる。指を伸ばして、触ってみる。
外側は硬いが、中は幹の中心部より柔らかい。硬い部分を分離して、柔らかい部分を直方体に変形させて、紙の薄さに分離させてはどうか?
硬い部分は洗面器に変形させる。インクの容器も要るな。ここで一緒にできるか?
インクは葉から・・・油分と色素と抽出して、油分と色素を溶解する。抽出した成分を入れる容器が二つ要る。
これらを作成するには、①枝と葉を分離する。②枝を半分に分ける。半分は薪用。③枝の半分を、硬い外側と柔らかい内側に分離する。
④A 柔らかい内側は、塊ごとに底面を同じ大きさにして、直方体に変形させる。硬い外側は、インク入れに二つ変形させる。残りを洗面器に変形させる。計3回
B 柔らかい内側は、塊ごとに底面を同じ大きさにして、直方体に変形させる。硬い外側は、インク入れに二つ、残りをを洗面器に変形させる。計2回
⑤内側の直方体を紙の薄さに分離する。⑥洗面器を二つ用意し、葉から油分と色素を抽出する。⑦油分と色素を溶解する。
まずは、工程が出来た。回数が結構要るな・・・工程のスリム化が必要だ。
枝の残りは、薪にするために、水分の抽出が要るか・・・これは最悪、暗くなるまでにできればいいか?あっペンが無い。水分抽出したあとの細い枝を折って、変形でペンにするか・・・するとここで魔力が4必要になる。
工程を見直す。分離が3回。変形が3回又は2回。抽出が1回。溶解が1回。
スキルの使用は1回で2魔力。材料があれば、複数作成が可能。これが今分かっていること。
分離は、枝と葉で1回、外側と内側で1回。直方体にした内側に1回。
うーーん。薪は燃えさえすれば、形は問わない。なら、①〜③は纏められるか・・・
枝の外側と内側と葉に分離する。残りは間に別の工程があるから、そのまま。計2回。1回省略。
変形は確実性を取ると3回。スキルを使用して形が違うものを同時に作成できれば2回。
これは後で検討。
抽出と溶解は1回なので、このまま。
となると、安全でいくか、効率でいくか。
安全をとるなら、錬金の回数は7回。必要な魔力は14。
効率をとるなら、錬金の回数は6回。必要な魔力は12。
うーーん。1回の差か・・・。
魔力を確認する。
魔力 :16/25 1魔力回復。体感時間は前回と同じくらい。
時間経過で回復することと、結界があることを考えれば、失敗しても再チャレンジできる。
洗面器が用意できれば、他は回復してからでもいい。
よし、効率でやってみよう!
まず、枝の外側と内側と葉を分離する。触れないで発動するかも実験してみるか・・・
枝の塊から30cm程離れて、分離と念じる。
まばゆい光が収まると、枝の外側と内側と葉に分かれている。枝の外側はきれいに中身をくり抜かれたようになっていた。
よし、出来た!触れていなくても大丈夫だ。
容器から作ろう。外側だけになった枝から、小ぶりのものを選ぶ。ちょうど一番手前にあるのがよさそうだ。
他の枝とは少し離して置いた。インク入れは、小さな壺をイメージする。
残りの枝は、洗面器をイメージし、材料を見積もる。・・・半分でも多いな。他にも使うだろうから、10個作るか・・・
10個分の枝をより分ける。先の枝と少し隙間ができるように隣に並べる。
洗面器をイメージする。念のため、中身が入っていても重ねられるタイプにしておく。30cm程離れたところに立ち、二つの完成図を同時にイメージする。
物質変形!
まばゆい光が収まると、インク用の壺が2個、洗面器は10個出来ていた。洗面器を二つ重ねてみる。問題なし。
材料の見積もりに過不足はないようだ。地球での経験と知識があるから出来ているが、それがなければ厳しいな。同じ錬金のスキルを取っていても、使い手次第ということか・・・
材料が不足していたら、どうなるのか・・・こちらも余裕があれば確認しなくては・・・
次は紙だ。残った内側を触ってみる。この質感だと紙より和紙をイメージしたほうがいいかな?
必要な量は・・・二人分のメモ帳。町へ着くまで・・・いや、町でも高級品かも・・・ちょっと多めで運べる量・・・厚み3cmぐらいを2個。
紙が必要なのは他にはないか?・・・トイレットペーパーにティッシュ!!
錬金のスキルは、物質変形、分離、抽出、溶解、合成。・・・柔らかくしたりは出来そうにない・・・
ちょっと硬くても、出来上がった紙を使おう。使えば、減るから多めに作るか・・・厚み10cmぐらいを2個。
手にとって確認しながら、必要量を集める。底面がB5ぐらいの大きさで、直方体をイメージする。
物質変形!
まばゆい光が収まると、複数の直方体ができていた。一つを手にとってみる。表面はかなり和紙に近くなっている。直方体を重ねていく。高さを合計すると、およそ30cm。問題なし。
和紙をイメージする。
分離!
まばゆい光が収まると、紙ができていた。一枚、手にとってみる。感触は和紙に近い。出来た!
紙を戻して、洗面器を一つ重し代わりに上に置いておく。
残りはインクだが、その前に魔力の確認をしておこう。
魔力を確認する。
魔力 : 8/25 ここまで減っても、体調に異常は感じられない。
魔力は0になっても死ぬことはないだろう。気絶はするかもしれないが・・・
試すのは怖いが、するなら寝る前か?襲われている最中に魔力が0になって気絶とか、そっちのほうが怖い。うん。寝る前に使い切ってみよう。
周りを見渡す。まだ明るいが、影が長くなっている。
少し急ぐか。
後は、インクの作成だ。
洗面器を二つ取る。分離させた葉の前に洗面器を並べる。
葉から油分と色素を取り出すようにイメージする。
抽出!
まばゆい光が収まると、洗面器の中に液体状の油と、黒に近い緑色の粉がそれぞれ入っていた。抜き取られた葉は、艶がなくなり、白くなっている。後で、薪と一緒に燃やしてしまおう。
液体状の油を見る。洗面器を傾けてみる。ゆっくりと液体が動く。粘度が高そうだ。
量が多いな・・・半分残そう。使わなければ、薪と一緒に燃やせばいい。新しい洗面器を二つ取りに行く。
油と色素の粉を半分づつ移す。二つを並べて置く。
油と色素が交じり合って、インクのような液体になるようにイメージする。出来上がりは油の器の中にと念じておく。
融解!
まばゆい光が収まると、油を入れていた器に色の付いた液体が出来ていた。
粉の入っていたほうは、空になっている。
紙を一枚取る。半分に折って、また半分に折る。端を持って、中心部を液体に浸けてみる。
引き上げると、液体に浸けた部分は緑と藍と黒が混ざったような色になっている。少しにじみが出ているが、許容範囲だろう。
後は乾いたら、どうなるか。空になった洗面器を重し代わりにして、地面に置く。
粉が入った洗面器の上に油の入った洗面器を置く。安定してるので、インクの液体が入った洗面器も重ねてしまう。
これで、明確にイメージできれば、物質変形は1回の使用で、形の違うものも一度に作るれることが、確認できた。
後は、同時に複数の錬金のスキルを使えるかということか・・・対象が一個の場合と、複数の場合も検証しないと。
錬金で使っていないのは、合成か。あわてる必要はないな。
魔力を確認する。
魔力 : 4/25 回復するまで、しばらく待たなければ。
女の子の様子を伺う。
泣き声は止んでいる。俯いて、手ぬぐいに顔を埋めている。
そろそろ、声をかけるか。




