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ぜんぶが夢みたい

 落下中。

 って冷静に思えるくらいには、長時間、落ちてます。


 しかも頭からね!


 こういう場合、どういう姿勢で落ちれば正解ですかね。

 着地にそなえて両手は掲げてたほうがいい?

 それとも、膝を抱えて卵みたいになってみる?

 体育座りも落ち着かない。

 結局、あぐらをかいて、ひじをついて、ほっぺたをつねりながら落ちてる。

 とんっ! と。

 ぐるりと視界が回って、両足がゆっくりと着地する。

 まぶしい。つぶった目をゆっくり開けると、そこは、白い洞窟だった。


 天井から光が射している。

 そのまばゆい光が、彫像みたいなきれいな女の人を照らし出していた。

 

「だれ」

 顔をあげて、私のほうを見た!

「あの」

「迷い込んだの?」

 寝起きのような、ぼんやりとした甘い声だった。

「なにゆえ、ここまできたか?」

 わかんない、です。

「さまようものに理由をきいてもしかたないか」

 うんうんうん。

 何回もうなずく。

 すみません。

 

 ぜんぶが夢みたいだ。

 でも、わるくはない夢かも。


 そういえば一度、笑えるくらい寝過ごして、結局ずる休みしたことがある。

 目を覚ますと家にはだあれもいなくて、しんとして。

 取り残されたような、ふわっと地に足がつかない感じがする。

 いまも、そう。じっさい、私は浮いてる。足下がすうすうして、なんか落ち着かないけど、しかたない。


 現実感がないんだよね。でも、肌触りはぜんぶはっきりしている。


 これは一体、どういうこと?



 

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