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私、頭こんがらがりそうです。

 王様とお姉さんは、ずいぶん長いこと話してた。

 そのうち、わかってきたことがある。

 お姉さんが、王様のお母さんのことを慕っていること。

 お母さんは、ずいぶん前に殺されたらしいということ。(王宮超怖い)

 王様は、独身らしいということ。

 王宮での確固たる地位を臣下に示さなければ、命の危険もあるってこと!

 この国の支配権を持っているのは、王様じゃない。

 ユン大妃派、つまり、先王の奥さんとその周りにいる人たちが政治を仕切ってるんだって。

 王様は御齢二十二歳。先王の子どもで、お母さんは側室だったけど、ただひとりの男子だから次の王様になるだろうと思われてた。

 それが、ユン大妃(押しも押されもしない正室)さんのところに待望の男の子が産まれたものだから、大変。

 ユン大妃さんとしては、血のつながった息子を王様にしたい。

 だけど、王様の遺言で、今の王様が即位した以上、文句は言えない。

 今の王様がじゃまってことだ。

 お姉さん、クム・セナさんは、神殿の巫女。

 神殿も二つに別れてて、お姉さんやサトさんのいるのは、天門派。

 ユン大妃さんの支持してるのは、正教派。

 正教派のほうが、力が強い。だから、言うがままになるしかない。

 それに、ユン大妃さんは王宮の影の支配者なんだから、今まで表立ってお姉さんも王様の味方ができなかったというわけだ。

「幽霊の娘、そなたのおかげだ」

 はい?

 私、頭こんがらがりそうです。

 また、考えてた。どうしてこんなところにきちゃったのかなって。

 お姉さんは、王様のところから下がると、ちいさく笑った。

「あきらめていたんだ。嫌気がさしていた。だが」

 廊下は静かすぎて、お姉さんが黙ると私はちょっと不安になった。

「ふんぎりがついた」

 ふんぎり。つけていいものだったの?

 ユン大妃さんって、権力者なんでしょう。

 でも、なんだかさっぱりした顔をしてる。


 人の気配もなかった王様のご寝所周辺、足並みそろえてやってきた男の人たちが厳しい面もちで警護にたった。

 お姉さん、ちょっとすいません。

 むこうから、こわもての副隊長さんが来たんですけど。

 めっちゃ怒ってません?

「隊長、ご指示の通りに集宝斎の周りを固めました。怪しい者はいっさい通れませぬ」

「ご苦労」

 お姉さんは顔をそむけながら言った。

 あー、副隊長がにらむから、怖いんですね。

「大妃方はすぐに感づきましょう。明日、勤政殿に王様が出向かれる前に、かならずや仕掛けて参ります」

「分かっている。だからこそ、お守りするのだ」

 副隊長は重々しく言った。

「思いつきで動く前に、なにゆえ一言相談してくださらないんです」

 目を見張ったお姉さんは、苦笑いをした。

「思いつきじゃない。天啓だ」

「天啓」

 副隊長は眉間にしわを寄せた。

「あなたは、まったく。王様を密かにお守りせよと申されたのはあなたではありませんか。表だって動けば、あちらとて黙ってはいません。かえって王様の御身が危険にさらされると」

「事情がかわったのだ」

 お姉さんはため息をはいた。

「なにもしなければ、お命を奪われるだろう。わたしが留守のうちに」

 副隊長さんは、唇をひんまげた。

「追い立てずとも、王様はすぐにでも御座からおおりになるおつもりでしょう、あのお方は威信を示すことなどすこしもお考えでないのですから」

 なんか、トゲのある言い方。

 あ、あれだ。副隊長は、王様とお姉さんが仲がいいから、ヤキモチやいてるんじゃありませんか。

「副隊長、聞け」

 お姉さんはむすっとした顔で言った。

「先王のご遺志なれば、いかなユン大妃といえども簡単にはくつがえせない。王様は壮健でおられるし、じきにお后をお迎えになる。そうなれば、大妃の出る幕はいっそうなくなる。毒やら呪いやら悠長に仕掛けているひまはない」

 お姉さんは副隊長の肩をこぶしで軽く突いた。

「王様をしかとお守りせよ。あとは、わたしがなんとかする」

 なんとかって、どんなふうにするんです、お姉さん?

 あと、わたしの「オレマン!」弐拾参巻は?

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