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命と引き換えに妹ができた!  作者: 飛村 勇
妹ができた!
7/22

06図書館

「何で俺は図書館にいるんだ?」

「宇宙について調べるのよ」

 日曜日の午後、綾と二人で市の図書館に来ていた。それなりに人口の多いこの市には立派な図書館が存在した。そうは言っても来るのは初めてだが……

「だからなんで俺が付き合わないといけないんだ。一人で来ればいいだろ」

「つれないなー」

「日曜日くらい一人にさせてくれよ。なんで毎日、綾に付き合わないといけないんだ」

「観察」

「自分のしたい事しているだけじゃないか。本当に観察なんかしてるのか?」

「してるよ。今の反応も含めてね」

「うっ」

「かわいい妹と休みの日も一緒にいられて幸せでしょ」

「自分で言うか?」

「おっかしいなー。お兄ちゃんの好みに合わせているに」

「なんのこっちゃ」

「被験者のストレスにならないようにテスターは被験者の好みに外見を補正してるのよ」

「そういえば海で会った時と外見が微妙に違う?」

「冗談よ」

「嘘かよ!」

「ふふっどうでしょう?」

「ムカツク」


 結局、夕方の閉館時間まで図書館であーでもないこーでもないと綾に付き合うことになる。俺の貸出枠も含めてカバンいっぱいに本を詰めて家路につく。

「しかし、地球外にも図書館があるのか」

「無いよ」

「無いのかよ!なんで図書館を知っているんだ?」

「井上さんに聞いた」

「井上の入れ知恵か」

「ねえ、お兄ちゃん。なんで、お兄ちゃんは井上さんとお話しないの?」」

「ん?そうだっけか?」

「そうよ。井上さん、お兄ちゃん達がいつも三人だけでお話をしてるって言ってた」

「たいした誤解だ。たまたまだろ。お前らだって新田を無視しているじゃないか」

「新田くん頭悪いから」

「お前、本人が聞いたら自殺しそうなことをさらっと言ったな」

「彼には越えられない壁があるわ」

「ははは……事実だけに本人には絶対言えないな」

「でも、新田くんは井上さんのことが好きなんでしょ」

「まあ、そうなるな」

「現実って残酷ね」

「だから、さらっとひどいこと言うな。少なくとも奴が努力してるうちは協力してやろう」

「優しんだね。お兄ちゃんは」

「今は明るく振舞っているが、怪我して走れないと分かった時の新田の落ち込みようは酷かった。やっと興味を陸上以外に持っていけるようになったんだ。協力もしたくなる」

「お兄ちゃんも残酷だね」

「なんでだよ」

「さあね。教えてあげない」


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