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車イス少女  作者: 君鳥
第四章 お好み焼き屋さん
20/23

4-4.お好み焼き屋さん3


  ―4―


 うまいうまいと舌鼓を打ちながらアツアツのお好み焼きを頬張っていく。

 残りも大分少なくなってきた頃、遥が自分の前髪を弄りながら思い出したようにぽつりと小さく呟いた。

「美容院かぁ……」

「ん……?」

 和隆は顔を上げて彼女を見詰めた。どうやら先程の髪の毛の話に戻ったらしい。

 遥は髪の毛を弄りながら、なぜか気だるげというか、物憂げな表情をしていた。

(なんか俺、地雷踏んだのか……?)

 目に見えて彼女の様子がおかしくなっていた。なんだか気落ちしたように、ハァと大きくため息をついている。

 和隆は若干不安になりつつ遥に問いかけた。

「なんだ、美容院がどうかしたのか?」

「ん……いや、別に」

 彼女は何でもないという風に首を振った。

「なんだよ、何かあるなら言えよ?」

 追求するように尋ねかけると、彼女は話そうかどうしようかと迷うに言い淀んだ後、小さな声で語り出した。



「こっちに引っ越してきた時……新学期が始まる前に、私も髪の毛どうにしないといけないなーって思って、美容院に行ったんよ」

「ああ、美容院に行ったんだ?」

 和隆は小首を傾げた。

 その割には、毛先も揃っていないし雑然としているな?

「まあ、行くには行ったんやけど……」

「行ったんやけど?」

「断られてしもた」

「断られたぁ?」

 和隆はオウム返しに聞き返した。

 一瞬、意味が分からなかった。



「断られたって……え? 髪の毛のカットを?」

「うん」

「なに、よっぽど変な髪型をお願いしたの?」

 彼女は言いにくそうに言葉尻をぼかしながら答えた。

「いや、普通にカットだけを頼もうと思ったんやけど……店に入った時点で、うちでは無理ですって断られちゃって……」

 和隆はぽかんと口を開けて、遥の顔を見詰め返した。

「はあ? 何だよそれ?」

 訝しげに眉を寄せながら、慎重な口調で尋ねかけた。

「何だよそれ……? 断られたって、それはお前が……車イスだからか?」



 そう質問すると、彼女はやや目を伏せがちにして「うん、たぶん」と言って、頷いた。

「美容院の人に『ごめん、うちではそういうのはやってないから』って言われてもた」

「……そういうの? そういうのはやってないから?」

 和隆はまたもオウム返しに聞き返した。ちょっと意味が分からない。

 その時の情景を思い浮かべてみた。

 髪の毛をカットしてもらうために、美容院を訪れた遥。

 しかし美容師は、そんな車イスの少女を見下ろして、言ったという。

「ごめん、うちではそういうのはやってないから」 

 ……何だそれ?



 遥は赴いた美容院で、こんな事を言われたらしい。

「うちはバリアフリーとか整っていないし、あなたに不自由な思いをさせてしまうかもしれない。うちのお店よりも、よそに行った方がいいですよ。出張美容や訪問理容のサービスをやっている所もあるし、そういうのを利用すればいいんじゃないかな?」

 和隆は信じられないというような顔をして、遥を見詰めた。

「お前……そんな事言われたのか? 店の奴に?」

「うん、まあ……。そんな感じのことを」

 彼女は曖昧に頷いた。

 和隆は言葉を失い、二の句を継ぐことが出来なかった。

 何だよ、それ……。

 言葉は着飾っていても、要するに「障害者お断り」ってことじゃないか。



「私も、電話して確認してから行けばよかったね」

 遥は、まるで自分が悪かったみたいな言い方をした。

 和隆が口を挟む。

「いや、そういう事じゃないだろ。そういう話じゃねーよ!」

 眉間のシワを深くしながら、和隆は苦虫を噛み潰したような顔を作った。お好み焼きを食べる手が止まる。

 今までの和気藹々とした和やかな空気は、全部どこかにすっ飛んでしまった。

「なんなんだよ、その話は……」

 和隆は忌々しげに呟いた。

「おい、それどこの美容院だよ?」

「ケーキ屋さん近くの……」

 遥の説明を聞き、ああ、あそこかと頷いた。

 和隆は利用したことはないけれど、金髪のスカした男が店長をやっている店だ。店内がやたらおしゃれに装飾された、所謂チャラ男の店である。

 おおかたそこの美容師たちは、車イスの遥を見て「ああ、面倒くさいのが来たなぁ……」とでも思ったのだろう。だから適当に相手を気遣うようなことを言って、遥のことを追い返したのだ。



 遥は気まずげな口調で言った。

「まあ、昔そんな事があったんよ。だから他の美容院に行っても、また同じように断られてしまうんじゃないかって思えて、なんだか行きにくくて……。訪問美容っていうのも、どこに頼めばいいか分からなかったし」

「そんな……」

 和隆は半ば絶句しながら遥の頭を見詰めた。

 毛先がバラバラな、伸ばしっぱなしのその髪の毛を見詰める。

 だから彼女は、ずっとこんな髪型をしていたのか。

 美容院にも行けずに、貞子のように。



「美容院に限らず、たまにそういう事があるねんな。入店拒否ってわけじゃないけど、あからさまに嫌な顔をされたり……」

 遥はこの場の空気を重くしないようにと、無理にあっけらかんとした口調、さばさばとした口調で語っていた。

「まあ、仕方ないことだけどね」

 そう言って、諦めたように肩をすくめる。

 まあ、仕方ないことだけどね。

 しかし、そう語る彼女の顔は、どこか泣き笑いのような表情になっていた。寂しげに儚く微笑する。


  ☆


 和隆は大いに憤慨した。ギュッと拳を握りしめる。

「おい、こんな所でのん気にお好み焼きなんか食ってる場合じゃねえよ。そういう事はもっと早く言えよ!」

 お好み焼きのヘラを握りしめて、バッと座敷に立ち上がった。

「今からでも、その店にクレームつけに行くぞ! 殴り込みだっ!」

 そんな店は潰れてしまえと、和隆は鼻息を荒くして拳を振り回した。周りの客たちが何事だという風にこちらを見る。

 腹を立てて熱くなる和隆に対し、テーブルの向こう側に座る遥はひどく静心としていた。

「いやいや、何もそこまでしなくても」

 座敷にちょこんと座ったまま、困ったような表情を浮かべていた。まあまあ、抑えて抑えてというジェスチャーをしている。

「とりあえず落ちついてよ、赤坂くん」

「これが落ち着いてられるかよ!」

「でも、もう大分前の話やし」

「泣き寝入りはよくないぞ。ここぞという時は、ビシッと言ってやらなきゃ!」

 一人傷付いて、我慢して……。

 このままでは、彼女は不当な扱いを受けるばかりではないか。



「というか、なんで君がそんなに怒ってるんよ?」

「お前が怒らないからだよ」

 なんでこいつは、こんなにも平静としていられるんだ。ここはブチ切れてもいい所だろ?

「ああ、もう、考えれば考えるほど腹が立ってきた」

 和隆は頭をくしゃくしゃとかき回した。

 何様だ、馬鹿野郎!

 今にも店を飛び出さんばかりの和隆に、恐縮しながら遥は言った。

「いや……本当に、もういいのよ。私自身、あんまり騒ぎを起こしたくないし……」

 和隆のことをたしなめる。まるで全てを諦めたかのように、ふるふると小さく首を振る。

「でも……!」

 和隆は声を荒げて叫ぼうとした。

 しかし、遥がそれを遮った。

「赤坂くんの、その気持ちだけで十分だよ。私なら、大丈夫やから」

 私なら大丈夫やから……。

 そう言って、彼女は気弱げに微笑んだ。



「こういうのには慣れてるからね。いちいち目くじらを立てていてもしょうがないっていうか、こっちが馬鹿を見るだけだっていうか……。うん、私なら大丈夫やから」

「……っ」

 和隆は口をつぐんだ。唇を噛みしめる。

 彼女がそう言うのならば、仕方がない。自分だけが暴走しても、彼女に迷惑をかけるだけだ。

 何だか全身の力が抜けてしまった。

 和隆は力なくため息を吐き出し、座布団に座り直した。

 苛立ちまぎれに、目の前にあったお好み焼きを口の中に放りこむ。

 それでも腹の虫は治まらず、店主のおじいちゃんに頼んだ。

「じいちゃん、酒だ! 酒をくれ!」

 芋焼酎でも煽りたい気分だった。

「ガキに出せるか、馬鹿たれ。十年早いわ」

 あっさりと断られてしまった。



 テーブル越しに遥のことを見詰めると、彼女は気まずげに視線を下に落としていた。まるで自分が悪い事をしたみたいに、居心地悪げに小さくなっている。

「ごめんね、こんな話しちゃって。せっかく楽しい食事会やったのに……」

 二人はそれきり、黙り込んでしまった。

 お互いに何もしゃべらない。

 じゅーじゅーと鉄板の上のお好み焼きが焦げていく。

 周囲の学生たちのおしゃべりの声が、いや楽しげに聞こえた。



「はぁ……」

 和隆はもう一度深くため息を吐き出した。固めた拳をぎゅっと握りしめる。

 お好み焼きを焼き始める前に遥が語った言葉が思い出された。

『ここに引っ越してくるまでは、ずっと家と学校の間を往復するような……家と学校の間を往復するだけの毎日を送っていた』

 ……多分、これが初めてではないのだろう。

 美容院だけではなく、色んなお店で「そういう事」があったに違いない。バスや電車などの公共の乗り物に乗る時も、同じような気分を味わった事があるのかもしれない。

 そりゃあ外出が億劫になって、出不精な性格にもなるだろうさ。



 彼女は自分の知らない所で、様々な障害を感じながら生きてきたのだろう。

 色んな壁にぶつかりながら、生きてきた。

 自由に動く足を持つ和隆には想像も出来ないような世界で。

 これから先も、彼女は車イス生活者ということで、身体障害者という事で様々な所でつまずき、不自由を感じるのだろう。バリアフリーやノーマライゼーションといっても、所詮限界はある。

 この世のあらゆるしがらみや苦しみが彼女を襲い、その心に、徐々に徐々に「諦観」という名の杭を穿つのだろう。

「私はこんな体だから、そういう扱いをされても仕方ない……」

 そう言って、全てを諦めてしまう。諦め癖がついてしまう。

 澱のように、彼女の心に絶望が降り積もる。

 その心を犯していく。

 それを思うと何だかひどくやるせなくて、泣きたくなった。



  ―5―


「……代わりの美容院を探しといてやるよ」

 和隆はぽつりと切り出した。

「一人で行くのが不安だったら、俺が付いて行ってもいい。訪問美容ってのに頼んでもいい。俺も付き合うから」

「うん……いや、やっぱりいいよ」

 しかし、彼女はふるふると首を振ってその申し出を断った。

「見た目も悪いし髪の毛切らなきゃいけないなとは思ってたけど、私自身、本当はあんまり切りたいとは思ってなかったし……」

 遥は物憂げな口調で答えた。

 それはまるで、他にも美容院に行きたくない理由、髪を切りたくない理由があるかのような口ぶりだった。本当の事を押し隠すかのように気まずげに顔を俯かせ、和隆から視線を逸らす。長い前髪で表情を覆い隠そうとする。

(なんだ……?)

 そんな彼女の様子を見て、和隆は再び訝しげ眉をひそめた。

「なんだよ、まだ何か問題でもあるのかよ?」

 まだ何か、彼女は憂いや悩みを抱えているのだろうか?

 この子は一体どれだけの憂鬱を一人で抱えているんだよ、と思った。



「何か悩みや問題事を抱えてるんなら……俺でよければ、相談に乗るよ。力になる」

 和隆は彼女の瞳を見詰めながら言った。

「俺じゃあ頼りにならないかもしれないけど、人には話しにくいこともあるだろうけど……一人で抱え込んでいても、重いだけだろ?」

 彼女の抱えている問題、憂いがどういった類のものなのかは分からなかったが、彼女のために何かをしてやりたかった。

 例え日常の中で嫌なことがあったりしても、他人にグチをこぼすだけで結構楽になったりするものだ。俺でよければ、何十時間だって付き合ってやる。



「俺が駄目なら、なんならあのじいちゃんに相談してみてもいい」

「……おじいちゃんに?」

 遥は顔を持ち上げて、不思議そうに店主のおじいちゃんの背中を見詰めた。彼はこちらの視線には気付かず、よその高校の制服を着た女子高生たちと親しげにおしゃべりをしていた。

 亀の甲より年の功。松傘より年嵩。

 あの老人は普段はとぼけた言動をしているが、この店でお好み焼きを焼きながら、教会の神父のように、迷える子供たちの話を聞いてはその悩みを解決してきた。

 新宿の母ならぬ、お好み焼き屋のじぃじ。

 取り分けて建設的なアドバイスをしてくれるわけではないけれど、相談して心が軽くなった、問題が解決したという学生は少なくない。

「そうかそうか、そんなことで悩んでたのか。今まで一人で、よく頑張ったなぁ」

 そう言っておじいちゃんの無骨な手で頭を撫でられたりすると、なんだかすっと肩の力が抜けたりする。心が軽くなったりする。自分は一人ではないのだと実感させてくれる。和隆も、昔はよくお世話になったものだ。



 周囲に迷惑をかけないように、他人の手を煩わせないようにと自分を殺してばかりいる彼女。

 そんな彼女に、和隆は真摯な顔をして語りかけた。

「とにかくだ。『自分で出来ることは自分で何とかするようにしてる』とかなんとか言って、何でもかんでも一人で抱えこんでんなよ。俺にも背負わせろ。俺はお前の味方だ」

 もう一度、その言葉を繰り返す。

「例え何があっても、誰が何を言おうと、俺はお前の味方をする。無理矢理にでも、手を貸すぜ」

 勝手に一人になんか、させはしない。

 何でもかんでも自分でやろうとする、自分一人で何とかしようとするのは、自立ではなく孤立である。

 いいじゃねえか、たまには人に頼ったって。泣き言を言ったって。

「赤坂くん……」

 遥は和隆の瞳を見詰め返しながら、小さく呟いた。


  ☆


 しらばくの間、遥は思い詰めたような表情をして、和隆のことを見詰めていた。長い前髪の隙間から、綺麗な黒い瞳でじっと見詰められる。

 言葉につっかえながら、彼女は何事かを言いかけた。

「あのね赤坂くん、私は……」

 何かを言いかけては、遥は躊躇うように「でも、やっぱり……」などと呟いて、言いにくそうに口ごもっていた。

 和隆は口を挟まず、じっと彼女の言葉を待った。



 しばしの逡巡、葛藤の末、遥は何かを決意したような顔をして口を開いた。

「それじゃあ……赤坂くん。私の悩みっていうか、お願いを……聞いてくれるかな?」

「おう、何でも言え」

 和隆は力強く頷いた。どんなお願いだろうが、どんと来いだ。

 遥は和隆の目を見詰めながら、そのお願いとやらをを口にした。

「だったら、赤坂くんが切ってくれへんかな? 私の髪の毛」

 束の間の静寂の後、和隆は呆気に取られたように聞き返した。

「……はい?」

 この子は予想外のことばかり口走るなと思った。



「え、なんて?」

「だから、私の髪を赤坂くんがカットしてくれへんかなー、って」

 どうやら聞き間違いではなかったらしい。

「この俺がヘアカットぉ? いやいや、無理無理!」

 和隆は素っ頓狂な声を上げて、ぶんぶんと手を振った。そんなお願いは承れませんと、いきなりの前言撤回である。

 つーか、なんだその願いは?

「俺にそんなスキルねーよ。っていうか、なんで俺だよ? 普通に美容院に行って、プロの人にお願いしたらいいだろうが?」

「それでまた、美容師の人に色々言われて断られたらどうするんよ? 私は立ち直れなくなってしまうわ。私は美容院恐怖症になってしまうわ」

 遥は冗談を言うような、あっけらかんとした口調で言った。

 今までの思い詰めたような表情を打ち消し、彼女はなんだか、穏やかな表情をしていた。「これで問題は全て解決!」というような、さっぱりとした顔をしている。



「いやいや。だからそんなことは二度とないようにと俺がお店を手配して、付き添ってやるって言ってるんじゃないか」

 そう言って説得しようとしたのだが、遥はこちらの話をさらりと聞き流していた。

「いやぁ、赤坂くんがいい人で良かったぁ。これで私の髪の毛の問題も、万事解決!」

 勝手に話を推し進め、一人で勝手に良かった良かったと頷いていた。

「待てやこら。まだ誰も了承してないっての」



 遥は唇を尖らせながら言った。

「最初に髪を切らないの、髪を切れって言い出したのは赤坂くんの方やろ? それに、相談に乗るよ、力になるよって言ってくれたやん」

「いや、言ったけど。確かに言ったけども。そんな事頼まれても……」

「あれは嘘だったの? 口当たりのいい言葉だけを並べて、私のことを誑かしていただけの? 人の弱みに付け込んで、たらし込もうとしていただけなの?」

 ものすごく純真無垢な目をして見詰められた。雨の日に段ボールに入れられて捨てられた子犬のように、ウルウルとした瞳で和隆のことを見詰めてくる。

「いや、別に誑かすつもりはなかったんだけど……人聞き悪ぃな」

 和隆は困ったようにポリポリと頭をかいた。

 何だかよく分からないが、いきなりキャラ変わり過ぎじゃないか、こいつ? 春川遥ってこんなキャラだっけ?



 和隆はあれやこれやと切言して遥の考えを改めさせようとした。

「髪を切ってと言われても……こっちは生まれてこの方、他人の髪の毛なんてカットしたことのないズブの素人なんだぞ?」

 小学校の図工の時間に、チョキチョキ画用紙を切ったことがあるくらいだ。

「そんな奴にヘアカットを頼むなんて正気か、お前?」

 しかし、遥はひどく楽観的な口調で言った。

「大丈夫やって。簡単だよ。くしで梳かして、ハサミでチョキチョキ切るだけやん」

 女は度胸という風に、ドーンとしている。何だこの男前っぷりは?



「切るだけやんって……。他人事のようにあっさり言ってるけど、それお前の髪の毛なんだぞ? 俺なんかが手を出して、もし失敗したらどうするんだよ?」

「その時はその時だよ。まだ起きてもいないことを心配して躊躇っていたら、私たち人類は何も出来なくなってしまうわ」

「いや、まあ、それはそうだけど……」

 正論中の正論を言われ、和隆は言葉に詰まった。何だかスケールが大きくなってきたな。

 遥は話を切り上げるように、パンッと大きく手を打った。

「とにかく! その時は、よろしくね。私の味方さん?」

 テーブルの向こうに座る遥は、なんだか吹っ切れたような表情をしていた。

 にこりと爽やかな頬笑みを浮かべている。

 和隆は不安げに尋ね返した。

「……マジっすか?」


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