葉擦れ
掲載日:2026/08/24
ざわわわぁ、ざわわぁざっざっざざざ、葉擦れの音が聞こえる。
彼は振り返る。しかしどこにも葉擦れを鳴らすようなこずえは見えない。
アスファルトで埋め立てられた足元。
周囲の建物はコンクリート製。緑色のものは小さな鉢植えくらい。
だがずっと聞こえている。その葉擦れの音。
いったい何なんだと周囲を見回す。その彼のすぐそばを歩く人たちは不思議そうに横目で見てすれ違う。
この音は自分にしか聞こえていないのか。
だけど音が聞こえてくる。
葉擦れの音が。
耳を押さえてその音を封じようとした。
だけど目を閉じて、再び開くとそこは深い森の中。
巨樹が周囲を取り囲みその向こうから何かが吠える音が。
彼は必死に走り出す。だが森は途切れることがなく。どこまで走っても出られることはなかった。




