タイトル未定2026/01/08 22:27
とある町はずれの河原で、たくさんの子どもたちが遊んでいました。
水はさらさら、石はころころ。
赤や青や白や、いろんな石が太陽のひかりを受けて、きらきら光っています。
そこへ、ひとりの男の人がやってきました。
黒い帽子をかぶり、にこにこと笑いながら、こう言いました。
「さあ、みんな。
この河原で、いちばんきれいな石を持ってきてごらん。
いちばんの子には、ごほうびをあげよう」
それを聞いた子どもたちは、わあっと声をあげて散らばりました。
「これ、きれい!」
「いや、こっちのほうが光ってる!」
「やっぱり赤がいいかな?」
拾っては捨て、捨てては拾い、
目がきらきらするたびに、手の中の石は入れ替わっていきます。
「それ、ぼくが先に見つけたんだぞ!」
「ちがうよ、わたしのだもん!」
なんて、言い争いをはじめる子もいました。
そんな中、
河原のはしっこで、いちばん小さな子がしゃがみこんでいました。
その子は、青い色をした石をひとつ、見つけていました。
少し角ばっていて、光に透かしてみると、ほのかに光って見える石です。
「それ、いい色だね」
年上の男の子が声をかけました。
「でもさ、そんなのより……こっちのほうがキミにはいいだろ?」
そう言って、くすんだ、灰色の小さな石を差し出します。
小さな子は少し考えてから、うなずきました。
「うん。これ、まんまるでかわいい」
そうして石を交換すると、
その子は河原のすみに座り、
ポケットからハンカチを取り出しました。
近くの砂をすこしだけ集めて、
くるくる、くるくる。
ごしごし、ていねいに。
石を、磨きはじめたのです。
そのころ、ほかの子どもたちは、
まだ石を見くらべていました。
「やっぱりこっちのほうがきれいかな」
「さっきのに戻そうかな」
そして男の人が、手をたたいて言いました。
「さあ、みんな。集まって」
子どもたちは、色とりどりの石を並べます。
男の人は、ひとつひとつ、うなずきながら見ていきました。
けれどふと、
まだ背を向けて、何かをしている小さな子に気づきました。
「おや。きみは、どうしたんだい?」
声をかけると、
その子は、そっと手をひらきました。
そこには——
きらきらと、太陽を閉じこめたような、
黄金色の石がありました。
「……きれいだね」
男の人は、静かに笑いました。
「きみが、いちばんだ」
そう言って、
男の人はポケットから、とびきりきれいなアメを取り出しました。
透きとおって、光を受けると、
まるで宝石みたいに輝くアメでした。
小さな子は、うれしそうにアメを受け取り、
石をぎゅっと握りしめました。
男の人は、子どもたちにこう言いました。
「きらきらはね、見つけるものじゃない。向き合ったぶんだけ、そう見えてくるものなんだよ」
そう言って、男の人は、河原の向こうへ歩いていきました。
男が去っていった河原には、小さい子を称える子どもたちの笑い声と川の音だけが、いつまでも残っていました。




