表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

タイトル未定2026/01/08 22:27

とある町はずれの河原で、たくさんの子どもたちが遊んでいました。


水はさらさら、石はころころ。

赤や青や白や、いろんな石が太陽のひかりを受けて、きらきら光っています。


そこへ、ひとりの男の人がやってきました。

黒い帽子をかぶり、にこにこと笑いながら、こう言いました。


「さあ、みんな。

この河原で、いちばんきれいな石を持ってきてごらん。

いちばんの子には、ごほうびをあげよう」


それを聞いた子どもたちは、わあっと声をあげて散らばりました。


「これ、きれい!」

「いや、こっちのほうが光ってる!」

「やっぱり赤がいいかな?」


拾っては捨て、捨てては拾い、

目がきらきらするたびに、手の中の石は入れ替わっていきます。



「それ、ぼくが先に見つけたんだぞ!」

「ちがうよ、わたしのだもん!」


なんて、言い争いをはじめる子もいました。


そんな中、

河原のはしっこで、いちばん小さな子がしゃがみこんでいました。


その子は、青い色をした石をひとつ、見つけていました。

少し角ばっていて、光に透かしてみると、ほのかに光って見える石です。


「それ、いい色だね」


年上の男の子が声をかけました。


「でもさ、そんなのより……こっちのほうがキミにはいいだろ?」


そう言って、くすんだ、灰色の小さな石を差し出します。


小さな子は少し考えてから、うなずきました。


「うん。これ、まんまるでかわいい」


そうして石を交換すると、

その子は河原のすみに座り、

ポケットからハンカチを取り出しました。


近くの砂をすこしだけ集めて、

くるくる、くるくる。


ごしごし、ていねいに。


石を、磨きはじめたのです。


そのころ、ほかの子どもたちは、

まだ石を見くらべていました。


「やっぱりこっちのほうがきれいかな」

「さっきのに戻そうかな」


そして男の人が、手をたたいて言いました。


「さあ、みんな。集まって」


子どもたちは、色とりどりの石を並べます。

男の人は、ひとつひとつ、うなずきながら見ていきました。


けれどふと、

まだ背を向けて、何かをしている小さな子に気づきました。


「おや。きみは、どうしたんだい?」


声をかけると、

その子は、そっと手をひらきました。


そこには——

きらきらと、太陽を閉じこめたような、

黄金色の石がありました。


「……きれいだね」


男の人は、静かに笑いました。


「きみが、いちばんだ」


そう言って、

男の人はポケットから、とびきりきれいなアメを取り出しました。


透きとおって、光を受けると、

まるで宝石みたいに輝くアメでした。


小さな子は、うれしそうにアメを受け取り、

石をぎゅっと握りしめました。


男の人は、子どもたちにこう言いました。


「きらきらはね、見つけるものじゃない。向き合ったぶんだけ、そう見えてくるものなんだよ」


そう言って、男の人は、河原の向こうへ歩いていきました。



男が去っていった河原には、小さい子を称える子どもたちの笑い声と川の音だけが、いつまでも残っていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ