第7話「信じたいからこそ」
~翌日の夜~
~植道家 蓮翔の部屋~
「...今日は活動、無かったな。」
「(暇だな。何かしようかな。)」
「えっと...『Musicgram』で、俺の『tale』になんか文章でも書こうかな。」
Musicgramとは現実で言う、〇nsta〇ramみたいなものだ。『tale』で自分の短い文章を書けたり、投稿機能で、自分の写真などを投稿できる。
「えっと...『俺は毎日、音楽活動をしています。音樂団集というサイトで投稿しています。
音樂団集に投稿している曲は、著作権のない曲と、ボーカル付きの著作権ありの曲があります。
フリーの曲は商用もOKです!許可なしで良いですので是非、使って下さい。また、ボーカル付きも許可を取れば利用可能です!勿論、商用もです!
※ただし、無断でボーカル曲を使ったり、フリーの曲だったとしても許可なしで商用で扱うのは辞めて下さい。
連絡先は、音樂団集の”my pace”氏へ!』
『後、俺は写真も投稿しています!もしいい顔と感じたら良いと思ってくれたらフォローしてくれると嬉しいです!』
「よし。投稿しようと。後、ついでに俺のブログも書けたから投稿しよう。」
二つを同時に投稿した蓮翔。すると、
──(ピロン)
「あ!通知だ。」
いきなり通知が来た。
『「Rento U」、やっぱりビジュアル良いよね。』
『うん。人気なのが分かるよね。』
『あ、顔でしょ?めっちゃ良いよね!』
『Rentoさーん!フォローしました!』
「(はは。俺、やっぱり写真を撮る技術高いよねー)」
蓮翔は自分を自画自賛した。
〈...はあ。お前はこんな虚無的な評価をされて楽しいのかよ。〉
すると【鬼灯】が現れた。蓮翔はうっとうしがる。
「(何言ってるんだよ!これは虚無的な評価じゃない!皆の評価だ!)」
〈じゃあお前のブログを見てみろよ。明らかに文章量は多いのに【睡蓮】じゃなくて、『植道蓮翔』という本当の姿?を見たものは誰にも見られていない。〉
〈少なくともお前の苦しんでいる姿は誰も興味がないんだよ。ただただお前の顔が見たいだけだ。〉
〈いや、もしかしたらお前の文章もきっと興味がないんだろな。アイツらは。〉
「(おまえの妄想だろ!それは!なんでごちゃごちゃ言えるんだよ。)」
蓮翔はそう言いながらも自分のブログを見た。
すると。
「...あれ?見られている回数は...2回?」
「嘘だろ?あれは1000回は見られているのに。」
〈ほらな。やっぱりお前の才能とか、内面は求めてないんだよ。アイツらは。〉
「...そ、そんな。」
「だけどそれで俺が音楽辞める理由にはならない!だからおまえは引っ込んでてくれ!」
〈............はあ。〉
【鬼灯】は一時的に蓮翔の心から無くなった。
「(なんだったんだよ、アイツは。...いや、今更気にしても...)」
「........俺は外面以外でも認められないと。」
「そうじゃないと...また皆に”裏切られる”。」
蓮翔は意味深な事を言って、作業を始めた。
「(そうなると俺は...)」
そして数十分後。
「..はあ。.ボーカルの調声や著作権ありの曲の絵が全然かけない。」
実は蓮翔は絵を描くのが得意である。ただ、別に好きという感情だけでやっている訳ではない。寧ろ、描いていたせいで馬鹿にされた為、恨みもある。
「...やっぱり俺はビジュアル以外は...”平凡”なのか?」
「いいや、それでも俺は【桜】の期待に応えたい。」
「(だって、俺が心の底から凄いと感じたのは【桜】が初めてだったから。)」
「(そして俺の絵を悪くないって馬鹿にしなかったのも【桜】だった。)」
蓮翔は昔の事を思い出す。
「(あの時、俺は皆に絵の事とか馬鹿にされていたんだよな。それでも味方してくれたのが【桜】だった。)」
「だったら描かないと。そしてボーカルの調声の仕方とかも考えないと。」
そうして蓮翔は作業を再開するが...
「...違う!違う違う違う!」
「こんなのでメンバーが納得する筈がない!こんなの失敗作だ!」
大きい声で叫んでいると突然、
──(電話の音)
「え?電話?どうして?」
誰かから電話が来た。
「...っ!」
その電話の主はかつて自分に絵を教えてくれた恩師、切藤だった。だが、今はとある出来事がきっかけで...?
『こんにちは。切藤です。』
『...切藤先生。』
『突然、すみません。植道さんが心配になってしまって。』
『...それで。どうしましたか?』
『ええ。また時間があったら私の教室に来て学びませんかと言いたくて。』
蓮翔ははっとする。
『もう貴方を馬鹿にする生徒もいません。だからこそ今、もう一度絵に向き合うって言うのは...』
しかし、蓮翔は断った。
『辞めて下さい!切藤先生!もう俺を侮辱しないで下さい!』
『私は別に侮辱はしていません。意見を述べただけです。それも正しい意見を。』
『そんな事を受け入れないからこそ、一部の酷い生徒に馬鹿にされたのでは?』
『貴方にはやはりそんなにやる気がないと一部生徒に見られたのではないでしょうか?』
切藤は明らかにきつい言葉を浴びせる。だが、その言葉でついに蓮翔は腹が立った。
『...もう良いです!さようなら!』
蓮翔は電話を切った。
「(......なんだよ。どいつもこいつも。俺を馬鹿にしやがって。)」
〈な?だからお前の才能はないって誰もが言ってるんだよ。〉
【鬼灯】が現れる。
「(今回ばかりはおまえの言っている事は間違っていないのかな。あはは。)」
「(なあ。【梅】。最近、お前の気持ちが分かる気がする。本当は何も分かっていないのに分かったフリする奴が腹立つとかさあ。)」
〈(【梅】。実は俺、お前の事が嫌いだ。だってお前はやる気も無く見えるし。本当はあまり好きなタイプでは無かったんだ。)〉
「(まあ、俺は演じているからそうは見えなかったかもしれないけど。それでも【桜】並に心酔している訳じゃなかったよ。)」
【梅】への思いを語る【睡蓮】。その表情は複雑に見えた。
「(だけど本当は好きかどうか言われたら微妙でもこれだけは言える。)」
「(【梅】...my paceの音楽が好きなんだって。)」
「(だからさ。お前の曲が聴けなくなるのはさみしいよ。)」
思い返すのは四人で活動してきた日の頃──。
『my paceさんって人の音楽好きかも。』
『my paceさんってやっぱり凄いよね。』
「(だから【梅】。お前がいなくなるとmy paceとしての音楽を聴けなくなるなんて、悲しいよ。)」
「(ずるいよ。確かにお前がいなくなると【桜】達の負担は減るのかもしれないけど...お前の作った音楽が聴けなくなるなんて何よりも嫌だ。)」
「(お願い。【梅】。また四人で活動したいよ。)」
蓮翔はただ願った──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回は完全に蓮翔メインですね。他のメンバーがあまり登場しない特徴的な回となっています。本来であるなら此処は物語的にも進めたかったのですが、第20話まで作るとなると、明らかにキャラクターの掘り下げが足りていないと思い、この回は蓮翔の掘り下げにしました。
次回は真亜菜の掘り下げをしようと思います。
次回予告
ある日の平日。真亜菜は学校に行っていた。そこでは真亜菜はいつも通り、音楽の事を考えていた。しかし、クラスメイトへの距離感などからクラスメイトからは変な目で見られており...?




