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The dream never ends〜不定期、不仲な音楽活動を。編〜  作者: 小山シホ
不仲で不定期活動のサークル
8/8

第6話「『お前に何が出来る?』」

~咲良の部屋〜

「はあ…前の【梅】の態度…あれは酷かった…」

咲良はまたその事を思い出す。

「……でも【梅】も何かあるのかな…」

「(私のような過去が、もしくは私なんかより重い過去が…)」

咲良は考えると同時に自分の過去を思い出す──。

〜数年前〜

〜高梨家 リビング〜

「咲良。いい加減に勉強を初めてくれ。」

「え?私には音楽があるから。」

数年前、中学生の咲良は自分の父親と揉めていた。

「そもそも私は音楽で生きていくの。だから勉強は音楽の勉強だけで良い。数学なんていらない。」

そう言った咲良は自分の部屋に籠ってしまった。

「おい。待てよ。咲良。」

〜咲良の部屋〜

「はああ……なんでいちいち、皆にそうに言われないといけないの?」

「(別に私の自由じゃん。あ、もしかして父も納得していないのって私の夢を伝えていないからかな?)」

「よし。こうなったら伝えた方が良いな。早速、行ってこよう。」

咲良はリビングに戻って行った。

「──父さん。私、」

「なんだ?」

「私、将来、音楽家…ソングライターになりたい。」

「ソングライター?」

「うん。私、まともに出来るのがそれくらいだからさ、音楽の先生とも悩んだけどやっぱり無理かなって」

「…………辞めとけ。」

しかし、咲良の意見は父に伝わらない。

あるのは拒絶と警告。

「え?」

「咲良にはそれは無理だ。」

「でも昔は…!」

「咲良は、お前は、ソングライターの辛さを分かっているのか?」

「決まってる!分かってるよ!」

「だったら辞めろ。尚更だ。」

しかし、どれだけ咲良が意見を言おうが否定された。

「え……?」

「一部のソングライターがどうなったかは分かるだろう?」

「……」

「それに今のお前だと誰かの曲を尊重する意思がない。」

「──お前に何が出来る?」

「…………っ!ふざけないでよ…」

度重なる厳しい言葉に流石の咲良も腹が立った。

「お前は…ソングライターになっても成功しない。というかこのままの性格だと嫌われる。」

「例え、好んでくれたとしても……それは相手が優しくて親切なだけだ。」

その言葉を聞いた咲良は机を叩いた。

「っ!もう知らない!そんなに言われるんだったら言わなかったら良かった!!」

咲良は自分の部屋に再度戻って行った。

「………………………アイツなら分かる筈なんだけどな。」

〜咲良の部屋〜

「(………なんなの?アイツは。)」

咲良は父に失望していた。

「(大した事も知らない癖によく私にだけ批判出来るよね。父も皆と変わらない存在でしかない。)」

「…明日はオンラインでの音楽講座か…」

「乙音先生……」

乙音おとね先生はオンラインで音楽講座をしている先生。実は咲良は普通制の学校ではなく通信制の学校に通っている。そこで音楽を教えているのが乙音先生だ。

乙音先生は厳しいが生徒からは好まれている。が、何故か咲良は苦手意識を持っている。

咲良は人に命令されるのが苦手だからだ。

「(まあ流石に父じゃあるまいし。私を真正面から批判する事は無いよね。)」

「宿題、間違っているところあったから直そう。」


そして後日──

〜午前9時〜

〜咲良の部屋〜

『さて、まずは1週間前に出した宿題について見ていきましょう。』

乙音先生は冷静に話した。

『まず1週間前に出した宿題の内容を覚えていますか?』

『はい!乙音先生が送った有名なソングライターの音楽の音源を聞いてどう思ったのか書く宿題でしたよね!』

生徒の一人が答える。

『そうです。今回は皆さんの回答を見ていきたいと思います。そしてその後、その人にあったアドバイスをしたいと思います。』

「(私はその人に対して真っ当な感想を書いた。)」

「(流石の乙音先生もこれは悪くないと思うはず。)」

『さてまずは…栩木さんから見ていきましょう。』

『お願いします!』

町田が音楽家の音楽へ思った感想は、

『Leoさんは分かりやすくてそれなのに歌詞は軽くないと感じた。』

『私は軽いと思う歌詞ばかり書いてしまうので、Leoさんみたいになりたいと感じた。』

というものだ。

『悪くはありません。』

『あ、ありがとうございます!』

『(嘘!?乙音先生が褒めた!?)』

咲良は衝撃を隠せない。自分の時は褒めることは殆ど無かったからだ。

『ただどの歌詞が深いのかどうか書くと良いかもしれません。これだと何処の歌詞が良いのかが分かりませんから。』

「はい!ありがとうございます!」

栩木は嬉しそうに言った。

『さて次は…』

『あ、私です。』

『高梨さんですね。それじゃあ見ていきたいと思います。』

乙音先生が咲良の書いた感想を見せた瞬間、ザワザワし始めた。

『え?何その文?』

『書いたのホントに高梨さん?』

『まあ仕方がないよ。彼女いつもそうだから書くのは適当だから。』

『いやいやそうじゃなくて何この「彼はまあまあ凄いだけ」って。』

咲良の文章は以下の通りだった。

『まず率直に私が思ったのはメロディが単純過ぎると思った。』

『特にサビ辺り。あれは本当に本気で作ったのか分からない。いくらなんでも手を抜きすぎだと思った。』

『さらに歌詞も一部の人しか刺さらないように出来ている。その上、大半の人はその歌詞に共感できない。』

『そんな作曲しか出来ないのなら彼は音楽家なんか辞めてしまえばいい。』

『彼はまあまあ凄いだけだ。』

正直これはただの感想文と言っても過言では無い。前半はともかく、後半はただの愚痴だ。

『これは酷いですね。』

乙音先生は淡々と言った。

『え?最初はそれなりに…』

『確かに最初の文章は他の人にはなくて良かった。だけど最後の文章はなんですか?』

『そんなの宿題には関係ないでしょう?貴方が例え、その人のアンチだったとしても音楽家としては認められる部分はあったでしょう?』

乙音先生は批判をする。

『………貴方、ソングライターになりたいと言いましたね。』

『はい。』

『そんなんじゃなれませんよ。音楽家になんか。』

『っ!』

それは咲良にとっては一番聞きたくない言葉だった。

『彼が音楽家にふさわしくないなら貴方も音楽家…というか生徒としてふさわしくありません。』

『もう良いです。退出してください。今日はこれでおしまいです。』

『こんなくだらない文章を書いて欲しいために私は宿題を出している訳ではありません。』

『事情がなんなのかは知りませんが、さっきの文章はやり直しです。明後日までに仕上げてください。』

そう言った乙音先生は咲良を強制退出した。

「(…………乙音先生……)」

「(………私は……嫌われて…当然……?)」

「(乙音先生も言っていたから…嘘って言うことは…)」

「(私、何やってるんだろ…音楽家としてふさわしくないって言って……それはアンチとしている事が変わらないのに…)」

実は有名な音楽家と言うのは咲良の父の事である。咲良は前日に父の言われたことが腹立って文章を変えた。ただその文章は的外れでしか無かった。

──(ピロン)

「あれ?『ミュージックチューブ』の通知?」

ミュージックチューブとは音楽を投稿できるサイト。『ITube』とは違って音楽専門なのが特徴。

因みに『ITube』とは動画を投稿できるサイトである。

「こんな私にコメント…?」

しかし、コメントの内容はあまり良いものではなかった。

『コイツの音楽、平凡じゃない?』

──by 音楽好きなやつ

『なんか最近微妙?になった気がする。スランプ?』

──by ミュージックチューブの運営は何も分かっていない

『やっぱりLeoさんみたいなものを期待すると違うのか…』

──by Leoさんファン


「………あ…」

「(どうして…?あまりコメントの内容は良くないのにどうして納得してしまうの?)」

「(…『Leo』…それは私の父の事。)」

咲良の父はミュージックチューブで有名なシンガーソングライター。チャンネル名は『Leo channel』。本名は高梨(たかなし)礼央(れお)

「(私より…『高梨礼央』の方が凄い…少なくとも皆はそう言っている…)」

「…私も頑張っているのに…」

「(私は確かに才能は皆に比べたら少ない。それは乙音先生も言っていた。だけど…)」

「(努力はしているはず。プロと比べたら少ないかもしれないけど。)」

「……ううん。」

咲良はさっきのコメントは気にしないことにした。

「プロと比べたら少ない、じゃ駄目なんだ。」

「プロの人と同じくらい努力しないと。」

「…私がソングライターになる為には。」

そう言った咲良はいつまでも曲を作り続けた。いつもまでも長い間…

しかし。


「………駄目」

「全然、曲が良くならない。」

「(皆は上手く作れるのに私だけどうして?なんで並の曲も作れないの?)」

──(通知音)

すると誰かからメッセージが来た。

「こんな時に誰…って椿!?」

椿は咲良の数少ない友達。本名、栩木(とちぎ)椿(つばき)。咲良みたいな関わりづらい性格ではなく誰に対しても優しく明るい。最初、乙音先生の講座に参加した時は音楽の才能は散々だったのだが今はかなり上手くなってきている。


『咲良ちゃん。今日、大丈夫だった?乙音先生、今日も言い方厳しかったね。』

「(椿は優しいなあ。)」

『あ、うん。勿論大丈夫。それより椿凄いね。あの乙音先生に褒められるなんて。』

『え?いや私なんてまだまだだよ。咲良ちゃんの方が凄いよ。』

『あ、ありがとう。』

「(本当は椿の方が凄いのに…椿は優しいから私の事を凄いって言ってくれる。)」

咲良は心の中で思った。

『咲良ちゃんは音楽作り?講座終わってばかりなのに凄いね。』

『音楽作り頑張ってね!』

そう言って椿はオフラインになった。

「はは…椿は私より凄いのに…」

「………私も成長しないと。」

「(そうでなきゃ私は…)」

礼央の事を思い出す。

『お前には何が出来る?』

「(アイツの言っている事になってしまうから。)」

皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回は【桜】の過去です。どうして彼女が音楽に執着するのかが分かるように書きました。果たしてそれがどのように影響するのか。次回からの話を期待ください!

次回予告

自分の過去を思い出した咲良。そして自分は何ができるのか悩む。一方、それ以外のメンバーは作業が全然、進まないらしく…?

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