第3話「【梅】がいないと」
〜翌日の日曜日〜
〜高梨家〜
〜桜良の部屋〜
「朝だけど皆ログインしているかな。」
「確認してみよう。」
日曜日の朝なのに【桜】は早起きして皆がログインしているかチェックをしていた。
「まあいる筈も無いか。今朝の9時だし。」
だが朝だったので誰もログインしている人はいなかった。すると…?
──(ピロン)
「え?『ONLINE Code』の通知?」
『大変だ!【桜】!【梅】が何処にも見つからない!』
『ちょっといきなり何…?まあでも流石に行方不明になったらそれはまずいかもしれないけど。』
「………【睡蓮】は探していたんだ。【梅】の事。」
「(流石にメンバーの事なんかどうでも良い発言は常識が無さすぎる…だからせめて)」
『──分かった。情報は理解した。』
『今日は【梅】に戻ってもらう為に本気で曲を作ろう。』
『その為に今日は早めに作業をするからサボる事の無いように。』
【桜】はそのメッセージを「ONLINE Code」のメッセージ欄に送った。なんだかんだ【桜】でもメンバーの事を気にしたりはするようだ。
「さて。」
「私も本気で作業の準備をしよう。そうじゃないと…」
「──【梅】は………」
そして各メンバーの思いがあり、作業はかなりと言って良い程進んだ。
〜作業中〜
『【桜】。あたし、ここ出来たけど…これで良いかな?』
『【松】、此処はこうした方が見てくれてる人に伝わる。だから其処だけ変えて。他は文句無しかな。』
『(すっげー!まさか俺達のサークルで此処まで作業が進むのって初めてサークルを組んで作業した以来じゃないか?)』
「俺も頑張らないとな!」
「──【梅】の為にも、な。」
『(私…もしかして今までより集中している?どうしてだろう…)』
「【松】も【睡蓮】も曲を作っているんだから私も本気で作らないと。」
そして数時間後…
〜数時間後〜
〜作業終了時〜
『皆、今日は此処でサークルとしての活動はおしまい。キリもよかったし。』
『そうだな!それじゃあ俺はログアウトするぜ!お疲れ!』
『……あたしもログアウトするね。お疲れ。』
「さて私もログアウトしよう。」
三人全員がログアウトして各自のやりたい事をやる。"普通"ならそうだった。だが今日の【桜】は違った。
「………にしても【梅】は何が原因でサークルに来なくなったんだろう…」
「(何かトラウマを思い出したとか?いやそれだったらいつもでも辛そうな顔をする筈だけど…)」
「(まあでも【梅】のペースに合わせる必要が無くなったのは寧ろ良かったかな?最も【梅】の作曲、作詞を聞けなくなったのは嫌だけど。)」
「………」
【桜】は【梅】の事を考えつつも休憩する事にした。
一方、その頃…
〜狭い部屋〜
「……」
「はあ、ウザい…なんで昔の事、思い出しているんだろう…」
「(『渋谷区道玄坂中学校』…彼処は本当にクズばっかりだったな…)」
渋谷区道玄坂中学校。区立の中高一貫校であり、高校の名前は渋谷区道玄坂高等学校と言う。一見すると普通の中高一貫校に見えるが、その実態はいじめなどがかなり多い闇深き学校。その為、他校からは何で潰れないのか疑問に思われている。
「(渋谷区道玄坂中学校の奴らは俺を馬鹿にしかしていなかったしな…女子だろうが男子だろうが。)」
「(じゃあそれだったら他の奴にはそんな対応かと言われたらそうでは無い。何故なら皆、俺をいじめたいからだ。)」
「……俺をいじめた奴はどうやら渋谷区道玄坂中学校を退学させられたらしいけど…」
「中学校で退学させられるのって重大だよな。義務教育なのにも関わらず。」
ドリネバの世界でも小学校と中学校に行くのは義務教育である。だがいじめなどを行った場合は中学校でも退学の可能性がある。まあ、退学と言っても何処かの公立校を探してそこに遅れて入学すれば良い話だが。
「まあアイツらが居なくなってくれたから良かった!」
「なあ?『逢阪竜馬』?数少ない俺の友達。」
「………呼んだか?『梅野葉留佳』。」
逢阪竜馬。渋谷区道玄坂中学校の数少ない友達。だが本人は感情を顔に出さず、経歴すら不明な不思議な人。何処か並の高校生より達観している。一応、高二推定。因みに【梅】も高二。
「ああ。お前と話すのは久しぶりだな。」
「……それは私にとってはどうでも良い事だが…お前にとっては『重要な事』か。」
「でなんだ?久しぶりに私を呼んだ理由は?」
「ちょっとサークル?の事でな。」
「『サークル』ってお前達四人で『音楽活動』?しているあのサークルか?」
「そうだ。それでちょっと良くない事があってな…」
葉留佳はこの前会った事を全て話した。
「要するに『my pace』って言う人がお前である事が『サークル』の『メンバー』にバレそうになったんだな?」
「そうなんだよ…それでバレたら怖くてさ。」
「……私は『バレる事』の何が怖いのか分からないが…お前の事だ。恐らく『良くない出来事』を思い出したんだろうな。」
「うん…でアイツらは恐らく…俺を探して来ると思う。」
「ん?」
竜馬は葉留佳の疑問詞していた。何故なら流石にメンバーを探す為に葉留佳の家に来るとは思ってないからだ。
「いやいや流石に『サークル』の『メンバー』だったとしてもお前の住所を『追跡』するのは不可能だろ。」
「あーマジでこれはお前に謝らないといけないんだけど実はあのサークル組んだ時にちょっと此処にいるよってサークルメンバーの一人に送っちゃったんだよな…」
「はぁ?お前さぁ、今、どれだけ『セキュリティ』が大事なのか分かってないだろ…私の方が『セキュリティ』や『インターネット』の事知っているレベルだぞ…」
竜馬は葉留佳に呆れた。竜馬はあまりネットを使った事が無い。その竜馬に言われる葉留佳は相当なものである。
「ごめんな!竜馬!だからさ作戦があるんだ。聞いてくれるか?」
「仕方ない。『そんな事』があるなら聞くしかないな。」
葉留佳は竜馬に自分の考えている作戦を話した。
「…成程な。」
「もし『サークルメンバー』が来たら私たちしか知らない『裏側』から家を出て速攻で何処かに隠れるんだな?」
「そう!んでもしも何処かに隠れても見つけられたら竜馬と俺で『俺に関わって来んな!』って言おう!」
竜馬は葉留佳の言っている意味に多少の疑問を持ちつつも、
「…分かった。お前の作戦、成功するかは分からないがやってみよう。」
と葉留佳の作戦に賛成した。
そしてこの後、葉留佳と竜馬は別れて竜馬は自分の家(仮)に戻り、葉留佳は自分の部屋に戻った。
「(俺は……アイツらとはもう活動しない。)」
葉留佳はそう決意しながら竜馬との作戦についてメモした。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回、逢阪竜馬が登場しましたね。彼は一体誰で何なのか。謎が謎を呼びます。そして次回は遂にサークルメンバーが葉留佳を見つけるのでお楽しみに!
次回予告
流石に【梅】が戻ってこない事に違和感を持つサークルメンバー三人。【梅】の住所を知っている【睡蓮】と共に【梅】の家に行くが…




