第2話「何処にも”見つからない”【梅】」
【睡蓮】の心の中の悪い声は〈〉で囲っています。
〜日曜日の昼〜
〜松川家〜
〜真亜菜の部屋〜
「ん?もう昼…?眠い…」
「皆ログインしているかな…ログインしようっと。」
「(と言うか流石にあたしは寝不足過ぎるよね…昼なのに眠いなんて…)」
【松】は眠さを堪えながら「ONLINE Code」にログインした。
『皆。揃ってる?俺は勿論いるよ。』
『【睡蓮】。珍しく早いね。』
『ああ。今日はなんか早く起きれたんだ。』
『さて、今回は前回言った通り、曲を作っていこうと思う。』
『しっかりと作業して。』
【桜】はそうメンバーに指示する。だが何処かメンバーには違和感があった。
『(…あれ?なんだかあたしツッコミの言葉を言うのが少ない?)』
『(そう言えば今更だけど【梅】は?いつもならこのくらいにはログインしているのに。)』
『(どうしてだろう…いつもなら気にならないのに今日は気になる。【梅】が居ないから?いやいや私がそんな訳…)』
『…………………』
三人はあまり作業が進まなかった。そしてそれはたまたま調子が良くなかったと考えるにはおかしかった。
〜数時間後〜
『……今日はあまり進まなかったね。』
『そうだよな。俺かなり調子悪かったのかも。』
『…皆。今日はここで作業終了。私もあまり調子良くなかったしこのままやっても進展が無いと思ったから。』
『そうだな。じゃあ俺は切る!また次回!』
『はいはい。いつも元気だね。それじゃああたしも切るよ。』
【睡蓮】と【松】が切った後、【桜】も切った。
「……なあ一体どうしたんだよ。【梅】。」
「いきなりログインしなくなるなんて。…いやでも」
「多分、勉強の可能性も無くはないからな!」
するとまた蓮翔の悪い心が蘇る。
〈いや何言ってんだ?あんな怠惰な奴が勉強とか大変な事やってる筈が無いだろ。〉
「(っ!そんな事!勝手に!)」
〈──まあアイツは過去に嫌われてたってのはありそうだけどな。〉
「……!」
蓮翔は悪い心の声から逃れる為に大きい声を出した。運良くその声は誰にも聞かれてなかった。
「はあ…!はあ…!はあ…!」
「な、なんで【梅】の事の偏見を言えるんだよ!」
「……こうなったら【梅】を探して"おまえ"の言ってる事が正しいか確かめてやる!」
そうすると【睡蓮】は【梅】を探しに行った。だが──
〜何処かの街〜
「【梅】!此処にい…」
「あ、此処の店行こうっと。」
「【梅】!?おい!」
〜公園〜
「あ!【梅】!偶然だな!」
「なんだよ?ストーカー?犯罪なのに知らないのか?」
「あ、ちょっ!」
〜路地裏〜
「【梅】!居るか!?」
──(バシッ!)
「痛っ!?蹴るなよ!」
──何処に言っても散々な目にしか合わなかった。
因みに何故、【睡蓮】が【梅】の事を知ってるかと言うと『ONLINE Code』は顔出しも可能で【睡蓮】達のサークルは顔出しで活動していたからだ。
「…クソっ!一体どうすれば!」
〜数分後〜
〜植道家〜
〜蓮翔の部屋〜
「はあ…結局、ログインしなかった理由聞けなかったな…」
「(まあ【梅】、忙しそうだったしたまにはログインしない日があるのかもな。)」
「(これから様子を見て判断しないとな!)」
次にメンバーが集まる日は来週の火曜日の夜である。だがその日になっても【梅】はログインしなかった。なんなら来週の土曜日になっても…
流石にメンバーは違和感を抱き始めた。
〜一週間後〜
『な、なあ。流石におかしいんじゃないか?ここまで【梅】がログインしないって言うのは。』
『まあ確かにね。ログイン出来ないんだったら彼奴は絶対に連絡するのにね。』
『そんな事気にしていても曲は進まない。一旦作業をしないと。』
『それもそうか。』
三人は【梅】がいない事を気にしつつも仕方がなく作業を進めた。一方、【梅】は──。
〜【梅】の部屋〜
「…ん?これ…」
「ああ。俺の好きなゲーム、『arts&RPG』だ。」
arts&RPGは芸術に拘った無料のRPG。知っている人も多く人気。絵だけではなくストーリーもかなり好評である。
「(このゲームを作っている人は凄いなぁ…どんな事にも挫けずに努力して笑顔でクレームにも対応している。)」
「…………」
「(にしても俺が『my pace』である事をバレそうになった時は怖かったな。)」
「だから──」
「──もうあのサークルの活動に参加しないでおこうかな。)」
そう言った【梅】は自分の部屋とは別の狭い部屋に入って行った。
〜狭い部屋〜
「(……此処は落ち着く。誰にも干渉されず自分の好きな事が出来る。)」
「(此処にいたらアイツらも俺を探す事は出来ないだろう。)」
「(だって──アイツらは俺なんてどうでも良いと思ってる上に俺の気持ちも分かる筈無いから。)」
「(──なあ、『莠疲ィケ』。俺、こんな酷い性格になっちゃったんだよ。)」
「(やっぱり俺はダメな奴だよ。でもお前なら大丈夫!だってお前は本当に凄い奴だから!)」
「何か虚しくなって来たな。そりゃあただかつての友達を思っただけだから仕方ないけどさ。」
【梅】はただ独り言を話す。そしてその中にはかつての友達を思い出すが名前を思い出すのは出来なかった。
「………もう俺を探さないでくれ。」
【梅】はそう呟きながらも何処か寂しげだった。
そしてそんな彼が思い出すのは──
「梅野さん、もうこっちに来ないで。こっちのモチベーションが下がるから。」
「才能とかを見せられて本当に自分が惨めになる。その癖、お前が語るのは明るい話ばかり!」
「全然学校を良くするつもりも無いんでしょ!?先生も他の人も言ってた!」
「八方美人過ぎない?課題くらいは成すべきだと思うけど?」
「お願い。梅野さん。」
「──もう私達を巻き込むのは辞めて。」
思い出したくも無い過去だった──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回、いきなり【梅】が来なくなりましたね。ここから一体どうなるか──。
因みに『莠疲ィケ』という文字を文字化け解読サイトで打ち込むと元の文字が出てきます。それを読み取ると【梅】の友達の下の名前が分かります。
次回予告
いつまで経ってもログインしない【梅】。【桜】と【松】は「うるさくないから良い」と言う。するとその後に【睡蓮】が「【梅】がいなくて寂しい」と言って──?




