表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/36

1 過去からの案内状 2

 図書室の閉室15分前の放送が流れてきた。

 我が港町中学校の図書室は、月曜日から金曜日の放課後は一般市民にも開放されている。


 わたしは席を立ち、『シャーロック・ホームズの冒険』を書架に戻そうとした。


 「それ、返すの?」

 わたしとおなじくらいの背丈の男子生徒がいった。

 わたしは身長153㎝くらいだ。


 「ラッキー! この本は中々ないからな。これを読めば、ホームズシリーズはすべて読破したことになるんだ」


 男子生徒は満面の笑顔で、わたしから、『シャーロック・ホームズの冒険』を受け取った。


 「あれ、おまえ、もしかして、D組の二宮麻子?」

 男子生徒は、メガネをかけていたわたしの顔をましまじと見た。


 「そうよ」わたしは答えた。

 「そんなもの外してしまえよ」

 「えっ?」

 「メガネだよ」


 わたしはメガネを外した。

 「うん、おまえはその方がずっとかわいいよ」


 ーかわいいよーわたしはこの言葉を聞いてもあまり嬉しくなかった。過去の嫌な思い出が、また、頭の中でぐるぐる回る。


 「あれ~、おまえ、俺がせっかくほめてやってんのに、あんまり嬉しくなさそうだな」

 「だって……」

 「おっといけない」

 男子生徒は、壁の時計を見た。

 「あと5分だ。早く借りに行かなきゃ。あっ、俺、仁川真司っていうんだ。じゃあな」


 仁川真司、どこかで見たことがある名前だ。そうだ、テストの順位表で、1学期の中間、期末考査の両方とも、10番以内に入っていたっけ。1学年200人だから、かなり勉強ができる。

 ちなみに綾乃もいつも10番以内に入っている。わたしといえば、国語と英語のおかげで60番以内に入っていられたらいい方だった。


 仁川真司、名前なんて教えてくれても、友だちになれるわけがないのに……。


 わたしは早くもあきらめてそう思った。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ