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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Maybe talk

作者: 中谷工場

友人のF君が僕にある日記を読ましてくれた。その日記にはこう書いてある。


『4月9日。天気はくもり。』

あたし、レイプされた事あるの。2回ぐらい。3人の男から。あたしは24歳の女の子。名前はまいこ。あたしが18歳の時でした。隣のあの子から携帯に電話があったのは。カラオケに一緒に行こうと誘いの電話があったのは。社会の事がなにもわからない、あたしはなにも、わからずに、その男友達の誘いに乗りました。行ってみると、その男友達ともう1人、年上の男性がいました。『気にするな。まいちゃん。俺の先輩だ。』とその男友達は言いました。そんな、あたしが油断したのが大敵でした。すっかり、安心したのが原因でした。あたしは心を許し、カラオケで盛り上がり、つい、うっかり、その場で眠りこみました。そして、起きた時にあたしは地獄を見ることになりました。あたしの乳首は勃起し、あたしの膣は見事に割れていました。すると、2人の男性は嬉しそうな笑みを浮かべ、2人ともペニスは勃起していました。その時、わかったの。自分がレイプされたことを。あたしはショックのあまり、なにも言うことは出来ませんでした。あたしがレイプされるとは。その日から、あたしは精神安定剤を飲むようになりました。その日から、あたしは対人恐怖症になり、通信制高校にしか行けなくなりました。脅迫され、その年上の先輩から電話番号を聞かれ、あたしは泣く泣く、電話番号を教えました。ずっと、無視してたけど、ある日、その先輩から電話が入りました。電話の内容はこうです。『3万円を俺に渡せ。じゃないとまいちゃんをレイプするよ?』と。あたしはレイプされるのが怖くて、泣く泣く、その先輩と一緒に郵便貯金で現金3万円を降ろしました。その降ろした3万円をその人に渡すとその先輩とやら男性は気持ちよさそうな笑みだけを浮かべ立ち去っていきました。事実上、あたしは恐喝されたのです。その日から、あたしは人が怖くなったし、日々が苦しくなって、あたしを包む精神安定剤の量は増しました。事実上の病です。その日から、あたしが療養する日々が続いたのです。あたしは精神病院にも通いました。主治医の先生からは強迫性不安障害だと診断されました。ただ、あたしは福祉では救済されないらしい。自力で社会を歩んでいきなさい。と辛いことも言われました。俺の事、怖いだろう?と先輩らしき男性から言われましたが、正直、全然、怖くありませんでした。数年前まで、暴走族の男友達からチヤホヤされていた、あたしの立場からすれば。こうして、あたしは精神病で療養することにもなりました。


『2007年4月✕✕日 天気はくもり』

強迫性不安障害と診断されてから、早や2年と半年。長期間の療養の甲斐あって、ようやく、精神安定剤を手放すことができた。長期間の療養の甲斐あって、ようやく、通信制高校も卒業することができた。睡眠薬がなくても、ようやく、眠ることが出来るようになれた。そんな、ある日、年上の知り合いのSさんから着信が入る。Sさんはあたしを恐喝した人の年上の友人です。『まいちゃん。お酒飲みに行こうよ。』あたしはこう言われ、誘われました。辛い思いをしたのは昔の事だからと思っていたあたしは容易く、その誘いにのることにしました。その誘いにのって、あたしを車で迎えにきたのはSさんです。でも、何故かあたしを恐喝した男性も車に同乗していました。まあ、何年も前の話だから

と、その場では安易に考え、あたしは車に乗ることにしました。お酒を飲む場所はSさんの自宅らしいです。Sさんの自宅の部屋に入るとSさんとあたしを恐喝した男性はやたら、あたしのことを褒めてきました。『まいちゃん。可愛いな。』と。そんな褒め言葉には慣れっ子のあたしはなんにも感じませんでした。いや。本当に。『それよりもまいちゃん飲もうよ~。』とSさんとあたしを恐喝した男性は言葉巧みにあたしに飲酒を勧めてきました。まだ、若かった、あたしは未熟にも、その場の空気に呑まれてしまい大量のアルコールを摂取した記憶が若干、あたしのなかにあります。そして、あたしが起きた時があたしの青春を失う瞬間になったのです。あたしは下着一枚でベッドの上に寝かされ、乳首はビンビンに勃起してました。その上、膣は濡れ、下着に膣の割れ目が形状していました。その時、あたしはわかったの。再び、レイプされたんだって。その時、あたしは失った。なにもかも。女も美しさも。そして、この世界をも。しかも、Sとあたしを恐喝した男はあたしのパンティー1枚しか履いていない、ほぼ全裸のあたしの寝姿をカメラで撮影し、ネット上に配信したらしいの。その時、あたしの全てが崩壊していった。家屋が地震で倒壊するかのごとく。


『2009年9月✕✕日 天気は晴れ』

『統合失調症ですね、、。』目の前の医師は精神崩壊を起こしたあたしにそう言った。精神科医で優しそうな先生はこんなあたしにそう言った。『古谷さんの場合、当分、働く事が出来ないと思うので、当分の間、休養して下さい。』目の前の優しそうな精神科医は続けてそう言った。目の前のあたしと淀みなく流れる時間のなか、柔和に、ボロボロに壊れたあたしに優しそうにそう告げた。統合失調症!?確かに、あたしの精神はボロボロで外出、出来ないほどの心理状態になっていたのも事実。でも、あたしが外も怖くなったのは、あたしの裸がSらに撮影されて、しかも、その撮影された動画がネット上に流出させられ、誰があたしの事やあたしの裸を知っているかの分からない恐怖から視線恐怖や被害妄想が生まれるようになったし、自然と誰かがあたしの家のトイレに監視カメラを設置したんじゃないのかという被害妄想に至った訳。でも、その事を目の前の精神科医に話しても『そうなんですね。』と同調するばかりで、あたしの言っていることは理解してくれる様子はなさそう。なんでかって?あたしが目の前の医師の診察を受けた日には見事にネット上からあたしのエッチな動画は消え去っていたから。でも、そんな、あたしを統合失調症と診断した目の前の精神科医に対して、あたしは、もの凄く優しい印象を受けたのも事実。『それでは、古谷さん。今回は薬を処方しておきますね。あと、古谷さんが受けれる福祉サービスについて、後日でもいいのでケースワーカーさんと相談して下さいね。』と医師が言うと、その日の診察は終了した。そして、家に帰って部屋で処箋してもらった薬を見てみると、大量の精神安定剤が処箋されていた。少し、戸惑ったあたしであったが、今の精神混乱から抜け出せると思うと、無意識に処箋された精神薬を全て飲んでいた。すると、頭がぼっ~となり、身体全体に薬が浸透し、もはや、自分で生きている心地ではなくなり、異世界に行くような感覚だけが働いた。あたしはその時、思ったの。また、長い療養生活を送らなきゃいけないことを。もはや、あたしは当分、普通の生活が出来ない事も確信したの。その時になにもかもがあたしのなかで、崩れ落ちていく事がわかったの。もう、無理だと。まともに生きている実感はありません。ただの廃人だと。あたしは思ったの。当分の間、病人として空虚な生活を送る事を余儀なくされることだけがわかったの。だから、もう小説を書くことはしません。最後に日記を書くことも今日で終わりにします。 


と友人のF君が読ましてくれた日記はそのような形で終わっていた。僕は日記を、書いたまいこちゃんの事が気になり、不意に『まいこちゃんは今は元気に過ごしてるの?』とF君に聞いた。『さぁ~。どうだろう?古谷さんとは日記を渡されて以来、音信不通だし、今は知らないよ。』『本当にまいこちゃんの事、なにも知らないの?』『本当に知らないよ、、。H君には悪いけど。でも、もう、古谷さん。小説は書いてないんじゃないかなぁ、、。』『そっかぁ、、。』と僕は溜め息まじりにF君に返した。F君と僕とのカラオケのオールナイトの終わりに、そっと。


僕はまいこちゃんの惨憺なる過去に悲しくなり、まいこちゃんが少しでも今、幸せになるようにと、そっと、瞳を閉じ、まいこちゃんの幸せを祈った。


南無。南無と。


その時、僕は何かを感じる。すると、女の子の声が僕の耳のなかでこだました。


H君。あたしの幸せを祈ってくれてありがとう。


あなたはあたしの良き理解者です。


本当にありがとう。


それよりも、あたしをレイプした3人の男達とは話せてるかな?


ねえ?ねえ?女の子をレイプして恥ずかしくないの?女の子から3万円を恐喝した男は今、どう思ってるの?


ねえ?ねえ?

本当は全て計画だったのかもしれない。作家になってあたしが異性からモテるための計画だったのかもしれない。だから、簡単に男達の誘いに乗ったのかもしれない。今、思えば。


今も病魔に侵されているあたしだけど、最近、ある計画を立てたの。これは、計画である。必ず実現される。最早、必然でもあると。同じ病に罹病している男の子をあたしの彼氏にする事を考えたの。あたしにはもの凄く優しくしてくれたけど、結局、その男の子、1年ぐらい思い続けてる好きな女の子がいるんだって。もう、その事実を知った時、あたしのなかでなにもかもが崩れ出したし、今だに対人面での被害妄想が湧くし、不安や焦りで仕方ない日々を送ってるし、まともに仕事をすることが出来ないことが明白なあたし。まともに人付き合い出来ないあたし。なにもかもが被害妄想に包まれてるから。そんな、あたしに残ってるのは作家になること。真から、そう思えた。それ以外はなにも出来ないあたし。脅迫と不安に包まれる日々。作家になることが唯一のあたしの救い。そして、あたしは決めたの。プロ、アマ問わずに2023年5月22日、あたしは本当の意味で作家になることを決めた、あたしは2023年5月22日、作家になっている。  


Hはまいこのその言葉を聞いて、まいこの深い想いを感じた時、嬉しさとともにまいこは作家になると確信した。(終) 

  

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