表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/5

アリスの剣技と二人の関係

 歩いていて視界に映るものは、全てが新鮮なものだった。

「すっごい……」

 思わず声が出てしまう。いろいろな店やたくさんの人、にぎやかで楽しそう!

「アリスー、置いてくよー?」

「あ、待って」

 はぐれない程度にミドについていく。ミドにとっては見慣れた光景なのだろうが、私にとっては未知の世界だった。

 少し走って、ミドに追いつき話しかける。

「ねえ、ミド。少し気になってたんだけど、移動は基本的に歩いているの?馬車はあんまり見ないし……」

「そうねぇ。基本的に、私たち冒険者の移動は歩きだよー。馬車に乗れるほどお金を持っているわけじゃないしね。魔法使いの中には、魔力を全身に纏わせたり風魔法を使ったりして飛ぶ人もいるんだけど、相当な魔力が必要だからやる人は少ないかな」

「ふーん、そうなんだ。大変、なのね」

「今後アリスも体験することになるけどね」

 ほどほどにしてほしい……。


 少し歩いて、森にたどり着いた。

「さて、どこかに魔物は、っと……」

 ミドが辺りを見回す。

 自分自身でも少し見渡してみると、視線の先に何やら水色の物体を発見した。

「お、スライムね。それじゃあ腕試しに倒してみようか。剣は短剣と長剣どっちを使う?」

「長剣」

「はい」

 私はミドから長剣を受け取る。いつも家で握っていた時と同じ感覚になる。

 私はスライムへと剣を向け、構える。

 右手で柄の部分を持ち、刃を左でなぞる。そして右手で弧を描いて刃の向きを背後へと移動させる。左手を右手と身体の間に、右手と十字に交差させ、目を閉じて構える。

 母上から教わった、プライド家直伝の特別な型。相手へ気を集中させ、最初に強力な一撃を与えるスタイルだ。

【長剣→プライドスタイル】

 パッと目を開くと同時に突撃!

 高速で移動するとともに、左手を使い、重みのある剣を持った右手を前へ押し出す。右手で剣を振り下ろす力と左手で右手を押し出す力が重なり、剣は高速でスライムを捉える。

スパァン!

 スライムは防御も虚しく、線を描き振り下ろされた剣に屈した。

「ふぅ」

 気を集中させたため、終わった途端に少し疲れが襲ってくる。

 私は太陽を見上げ、目をつぶった―――


 ミドは一瞬のことに唖然としていた。

「え……」

 ただアリスを見つめる。

 鮮やかな一撃。まさかアリスがここまで凄いとは。これだけで、Sランク。いや、特階位程度には実力があるのではないか。

 そんなことを考えていた矢先であった。

バタン

 何か重いものが落ちたような音が耳に響いた。視界には、アリスが剣を持ったまま倒れた姿が映った。

「アリス!!!」

 私は、急いで駆け寄った。怪我をしたのか、気を失ったのか。何が原因か全く見当もつかない。

 しかし、答えはとても単純であった。

「すぅ、すぅ……」

「寝て、る……?」

 アリスは静かに息をして寝ていた。

「なんだ、ビックリしたぁ……」

 顔にかかった赤色のきれいな髪を、そっと撫でる。

「んぅ……ぁ……」

 気持ちよさそうに寝ているアリスに、思わず笑みをこぼした。

「全く……。世話が焼けるねえ。まあ、私は全然いいんだけどね」

 ミドはアリスをおぶって、街へと歩き始めた。


「……ぅん……あれ?」

 気が付くと、そこは朝いた宿屋のベッドの上だった。

 窓の外を見ると、陽は沈みかけていた。

「あ、起きた?」

 隣のベッドにはミドが座っていた。

「私……」

「剣を振ったと思ったら倒れちゃうもんだから、ビックリしたよ」

「ご、ごめんなさい」

「気にしないでいいよ~。個人的には倒れたときの寝顔がとても可愛かったからそれが見れて満足満足」

「……!!」

 すぐに顔が赤くなる。やっぱりこの人、ズルい……!

「でも、一つだけ約束してほしいな」

 ミドの表情が真剣になる。

「国の外は、アリスが思っている以上に危ないの。今日みたいにいきなり倒れると、そのまま襲われて死んでしまう可能性だってある。だから、絶対に無理だけはしないでほしいの」

「うん……。気を付ける……」

「そうしてくれると嬉しいな。あと、一緒に過ごすんだから、もうちょっと心を開いてくれる、というか親しくしてもらえると、ミドさん嬉しいんだけどー?」

 ミドはそう言って、駄々をこねるような表情で私を見た。

「ふふっ」

 思わず笑ってしまう。

「まあ、考えといてあげるね、ミ、ド、ちゃん」

 言ってやったり。やり返せた喜びが、私の身体の中に広がった。

 ミドを見やると、やはり不機嫌な様子で、

「むー!なんか子供みたいに扱われてて納得できない!というか強調しないでよ!」

「本当に子供のように見えたから、仕方ないでしょ(笑)」

「笑うなー!!このー!!」

「えっ!ちょっと!?」

 ミドはこちらに向かって飛びかかってきた。

ドシン!!

 避けようとするも虚しく、そのまま二人ともベッドから重なった状態で落ちてしまった。

「っ痛ぅ……!」「痛たたた……」

「何てことするの!?」

「だってカチンと来たんだもん!」

「そういうところよ。子供って言われても仕方ないんじゃないの?(笑)」

「お、またやる気?」

 互いに睨み合う。

「「ぷっ……!」」

 二人同時に噴き出してしまった。

「あははは、あー面白いわね。どうやらアリスを助けたのは、間違った選択じゃなかったみたい。これからよろしくね、アリス?」

「こちらこそよろしくね、ミド」

「面白かった!」

「今後の展開が気になる!」

と思ったら、↓にある☆ ☆ ☆ ☆ ☆より、作品に対しての評価をしていただけると嬉しいです。

 また、ブックマークも登録していただけると、とても嬉しいです。

 よろしくお願いします。


 今週も遅くなってしまい申しわけないです。

 期末も終わったので、来週あたりからはしっかり時間が取れるはず、です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ