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リブートメタバース  作者: 山田サンタ
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メタバース

 その日、ワシントンD.CにてNASAがYOUTUBEの生配信で衝撃的な発表を行った。地球へ隕石が落下するらしい。


 そんな映画みたいな事があるのか?俺はTwitterのタイムラインを見ながら、必死に否定出来る材料を探していた。しかし、どんなに探しても見つからない。俺もとうとう認めざるを得なかった。


 「これはマジだ……」

 

 人類滅亡まで残り3週間と迫ったこのタイミングで、世界は大混乱に陥った。アメリカ大統領や各国首脳達は緊急会議を開き、対応策を練った。


 人間の叡智を結集して考え抜かれた対策としては、隕石の起動を逸らすために月の裏側にある小惑星帯アステロイドベルトに核ミサイルを撃ち込み、破壊する事だった。もしくは軌道を地球から逸らすというものだ。まるでブライ○艦長が判断したかのような結果だ。


 しかし、結果から言おう。これは失敗した。本来20kmに及ぶ隕石を壊すためには同時多発的に攻撃を仕掛ける必要があった。


 しかし、仮に作戦が失敗した場合、隕石が中国、ロシアあたりに衝突するという予測が立てられたせいだ。つまり一部の国がタイミングをずらして攻撃したため、破壊力が足りずに失敗に終わった。


 その結果、10時間後に隕石が衝突する先は日本になってしまった。


 「あー、えーっとですね。 皆さん冷静にあー、なる必要がございます。 たいへん遺憾な結果となりましたが、もはや我々ではえー、どうしようもないのであります。 国民の皆さんには苦労をおかけしますが、ここは一致団結をしようじゃありませんか。 隕石さんどうか止まって下さい。と。」


 日本の総理大臣である中道はそういって会見上から去っていった。


 街は大パニックになるかと思いきや、ネット上で日本人が発狂する声が多く聞こえるだけで、すぐには何も起こらなかった。


 かくいう俺も同様だ。いきなり死ぬと言われても実感がない。空を見ても何も見えないし、何も起こってない。ただ、Twitterで書かれていた、死ぬ直前に悔いを残さない3つの手順を読み実戦してみようとは思った。


 (まずそうだな。 あの子に告白しよう。 そしてそのまま…) 


 俺はベットに横たわりながら彼女の事を考えた。彼女はコスプレ会場で知り合った女の子だ。名前はみゆきだ。小柄でなにより可愛い。目付きは少し悪いんだが、声もきれいだし、歌も上手い。声優になりたいと言ってから今頃もしかして。


 俺の中の彼女は清楚だ。しかし、コスプレの衣装は魔法少女的なものをよくやっていたが、如何せん胸が小さいのに大きく見せようとしているせいで、B地区が覗き込める事が何度かあった。キレイなピンク。小ぶりな白い肌。なのに柔らかそうな。


 思い出すだけで色々疼く。俺は少し賢者になる事にした。 

----------------------------

 素数でも数えよう。


 そういえば昔こんな話を聞いた事がある。

 人は死の直前になると、それまで生きてきた中で得た記憶が脳内で再生されるという話だ。いわゆる走馬灯という奴だろう。もしそれが本当なら、彼女との記憶が見れるかもしれない。俺は期待に胸を膨らませた。


 「1・2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47・51・53・59・61・67・71・73……」


 あれ?なんかおかしいぞ。1秒毎に彼女が見える。それも裸だ。真っ白で透き通るような肌。綺麗なピンク色の先端がピンと立っている。顔を見ると頬を赤らめている。これはどういうことなんだ?俺は目を凝らす。すると、彼女の体の一部が透明になっていることに気づく。

「あっ、ああぁっ!」

俺は思わず叫んでしまう。そう、彼女が消えかけているのだ!


 「おい!消えるなって!!」

  

 俺は必死に呼びかける。しかし反応はない。どんどん薄くなっていく。


「待ってくれよぉ……。まだ死にたくないんだよ……。」

 涙が溢れてくる。視界がぼやける。もうだめなのか?諦めかけたその時だった。

 「ん?」

よく見るとここは俺の部屋だ。俺は泣きながら寝てしまっていたようだ。


 (今何時だろう)


 時計は0時を回ろうとしているところだった。おれば十時間ほど寝てしまってようだ。


 (あれ?十時間ってなんだっけ?)


 俺はスマホでTwitterを見て気がついた。あぁ、隕石が衝突するのか。もうTwitterは大荒れだ。死にたくないというメッセージで溢れている。


 俺は寝起きで頭が回っていないながら、必死にコメントを追った。


 (お母さん、死にたくないよ、)


 とか


 (明日結婚式だったのに。大好きな彼との新しい一歩だったなのに。なんでよ)


 といったコメントを読んでいるうちに俺自身も震えてきた。


 「待って、やばいやばい。死にたくないよ死にたくない死にたくない死にたくないしにたくない し、に、たく、なななななななあああああああああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」















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