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最強王子と騎士姫様  作者: 朝姫 夢
その後の二人編
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11.デートに行きましょう!

 どうしよう、どうしよう、どうしようっ…!!

 は、初めて聖也くんとこんな風に電話で話したけどっ…なんかっ、すごくっ…いつもより聖也くんの声が近くてっ…!!

 恥ずかしいけど嬉しくて。悶えそうになるのを必死でこらえていたの、ばれてないよね…?


「大好きだよ、なんて…あんな耳元で言われたらっ…!!」


 前までは何ともなかったのに。今ではあの優しい声で甘く囁かれると、どうしていいのか分からなくなる。

 けど、心は温かい何かで満たされて。


「私だって…好き、だもん……」


 普段は恥ずかしくてなかなか言えないけど、なんとなく電話越しなら言える気がして。

 でも今思い返してみたら、結構大胆というか…私もだいぶ恥ずかしいこと言ってたよね…!?


「うああぁぁ~~…」


 今になって悶えるなんて…!!

 ベッドの上でゴロゴロと転がりながら、自分の発言と聖也くんに言われた言葉の両方にもだもだする。

 でも……


「最近、あんなに近くで直接言ってくれなくなったから…」


 だから尚更嬉しかった、なんて。流石に言えないよね。

 正直あの日の話題を避けられてるのは分かってる。きっとそれは聖也くんの中で譲れない何かがあって、それに何かしらが触れてしまった出来事だったから。

 でも正直このままでいいとも思ってなくて。

 幼馴染だけだった関係を変えてくれたのは聖也くんだったから。今度はきっと、私の番。

 今のこの状態を打破するには、私はずっと受け身でいちゃいけないと思うから。私からちゃんと、行動に移さなきゃ。

 だから初めて電話なんてしてみたんだし。

 ……いや、うん。なんかちょっと珍しい状態の聖也くんがいたから、ついカーテンを閉めるのを忘れて見つめてたなんて。そんなこと本人には口が裂けても言えないけど。

 っていうか!あんなに部屋の中暗いのに、月の光だけで姿が浮き上がってたんだけど!?何あれ!?色々出来すぎじゃない!?


「…………かっこよかった……」


 思わず本音が口から洩れて、慌てて手でふさぐ。

 幻想的なあの光景は、なるほど確かに王子様なんて言われるわけだと思ったけど。そのあとの私の視線に気づいて、すっとこっちに目線を向けた瞬間の流し目。


「あれが、本当に……」


 ものすごく、格好良かった。

 そして同時に、私の方を見てくれたのが嬉しくて。思わず締まりのない顔で手を振ってしまって。

 っていうか、あんな風に見られたら女の子なんてイチコロだと思う。

 案外、流し目されて倒れたっていう一年女子の話は嘘でもなんでもなく、それこそが真実なのかもしれない。


「いや、違う…そうじゃなくて」


 私から行動を起こさなきゃっていう話だったはずだ。思わず聖也くんの格好良さを思い出してしまっていたけれど。

 まず第一にやるべきは、ちゃんとあの日のことを話し合う。それだろう。

 きっと聖也くんは何かを勘違いしてる。なんとなくだけど、長い付き合いからそんな気がする。

 で!

 もしも、その…私の勇気がちゃんとあったら、だけど……


「嫌じゃ、ないし……」


 触られて嫌だったわけでも怖かったわけでもなく、むしろ、その……う、嬉しかった、とか…そういう、のを……

 言えたらね!?いや、言えるわけないような気もするけど!!

 でも、その……抱きしめてもらえないのもキスしてもらえないのも、私としては嫌なわけで…。それはちゃんと、伝えないと、ダメだと思うし…。


「言える、かなぁ…?」


 いや、言わなきゃいけないのか。

 だって私が言わなきゃ進まない。ずっとこのままなんて、私が嫌だ!!


「そのためには、まず…」


 ゆっくり話せるような場所に行かないと。

 せっかくだから公園デートとか、誘ってみればいい。まだこの時期なら外も暑くないし、ちょっとしたピクニックみたいな感じで。

 あ、いや。お弁当は荷物になるから、どっかで食べてから行った方がいいかな?聖也くんのことだから、いつの間にか私の荷物全部取られてそうだし。買い物デートだと、いつもなぜか全部荷物持たれてて、私は自分のバッグだけなんだよね。あれ本当に何なんだろ?

 まぁ、とにかく。

 一緒に作っても楽しいだろうけど、それはまた今度にしよう。今回の目的はそこじゃないんだから。

 ってことで!!


「公園デート?」

「うん。この間見せてもらった雑誌にそういうのがあってね?確かにこの季節ならいいかなーって」

「それは、いいけど…珍しいね?愛ちゃんから出かけようって言うの」

「あー、うん、まぁ…ほら、私あんまり公園とか小さい頃行ったことないし。この歳で遊具で遊ぶっていうわけじゃないけど、どういう感じなのかなーって」

「そ、っか…。そういうところは流石に友達とも行ったことないんだもんね?」

「うん。だから純粋に行ってみたいなーって。ほらあの、ちょっと大きな池のあるところ。あそこ行ってみたいの」

「いいよ。愛ちゃんの行きたいところならどこにだって連れて行ってあげる」


 ほら、そういう優しい顔してそんなこと言うんだから。

 なのに。

 その手は通学鞄を握ったまま、私の髪には触れてくれないから。

 撫でて欲しいなぁ、なんて。子供みたいなことを考えてる。


「あ、お昼とかはどうする?持ってく?」

「んー…それもいいなーって思ったんだけど、そしたら一緒に作りたいし、いっそ買い出しも一緒の方が楽しいかなって思ったから。ピクニックはまた今度」

「じゃあ気になってるお店行ってみてもいいかな?」

「近くにあるの?」

「うん。猫のいる喫茶店っていうのがあってね?」

「え!?何それ気になる…!!」

「だよね。この間教えてもらったんだけど、ちょうどその公園の近くだから行ってみない?」

「行くー!!」

「じゃあ決定ね」


 一緒に考えればいいかと思って保留にしていた昼食の場所もすんなり決まったし、あとは出かける時間を決めて当日を待つだけ。

 話すべきこともあるけど、実は今回はそれだけじゃない。前回のお家デートの時の聖也くんの反応からして、私が本当に楽しみにしてるかどうかを基準にしてるみたいだったから。本当に一度行ってみたいと思っていた場所を提案することで、前みたいに変に悟られないようにする。

 実際公園なんて、小さい頃に行ったきり。しかもその時も変な男の人に連れて行かれそうになって。結局何か起こるよりはってことで、外で遊ぶこと自体なくなっちゃったから。


「あ。何か外で遊べるような道具持っていこうか?」

「んーん。今回はいいや。荷物になるのいやだし。ゆっくりあの中を歩いてみたいんだ」

「そっか。じゃあ今度ピクニックする時にでも持っていこうね」

「うん、そうだね」


 当然のように次回の約束が交わされるのも、もう当たり前のようになっていて。それがどこかくすぐったい。

 けど今はまず目の前のことに集中しないと。

 とりあえず服装は運動しないと決めたから、折角なら前に買ってもらったシンプルな淡い青のハイウェストのワンピースに、丸いバックルのついたベルトを合わせて。歩くことを考えたら足元はスニーカーでしょ?となるとバッグは……


「愛ちゃん楽しそうだね」

「うん、楽しいよ!どんな服着ようかなーって考えるのも、最近になって出来るようになったことだから。全部が初めてでわくわくして楽しいの」

「そっか。よかった。愛ちゃんが楽しそうなら俺も嬉しいな」

「ん?聖也くんはそういうの楽しくないの?」

「う~ん……俺の場合、ちょっと身長が高すぎるみたいで。あんまり合う服がないから、シンプルなのかダボっとしたやつしか基本的に売ってないんだよね」

「だからいつも私服はシンプルなのが多いんだ」

「うん。あんまりダボっとしてる服装好きじゃないんだよね。動きにくいし」

「でもシンプルな方が似合っててカッコイイと思うよ?」

「ホント?じゃあ今度、愛ちゃんに服選んでもらおうかなぁ」

「あ、いいねそれ!今度は私が聖也くんの全身コーデしてみたい!」

「ふふ。じゃあもうちょっと暑い時期になったらやってもらおうかな」

「わー!楽しみー!」


 こうやって先の約束もどんどんできていく。

 だからこそ!ちゃんと今回で色んなモヤモヤとかは終わりにするんだから!

 覚悟しててよ聖也くん!今度こそ、ちゃんと言わせてもらうんだからね!!





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