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0.プロローグ
どうして物語はいつも、王子様がお姫様を助けに来て
どうしていつも、王子様のキスで目覚めるのだろう?
それが逆では、ダメなのだろうか――
そう思っていたのは小さい頃のことだった。まだ私が、自分も"お姫様"になれるのだと思っていた頃の話。
けれど。
あれは、小学校高学年の時だった。
「聖也くんっ、大好きだよっ…!!」
思い切って幼馴染に告白した私に。
「うん。俺も愛ちゃんのこと大好き~」
そう、普段通りに返してきた相手に。誰に対する時も変わらない態度と口調に。
私は彼の"特別"にはなれないのだと、初めて気づいたのだ。
それが私、志野崎愛の初めての告白が玉砕した瞬間だった。