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才能に縛られた世界の『無能』でも、『運』が良ければ成り上がれるはずだ  作者: 飛楽季 【兵器創造 コミカライズ配信!】
3章 凸凹コンビと黒い人

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聖剣少年と黒い影 2

ーーーーーー

※ムノ視点


 僕はエラーとの戦いの後ヒメさんに事情を説明し、急いでグンセさんの店に戻った。そしてグンセさんに事情を説明した。


 だがその夜にはエラーの情報を掴めず、結局朝を待つことになってしまった。


 そして、その翌朝。


「昨日の夜、ここから割と近くにエラーが出てたみたいですね」


「……そうみてえだな。だがDHギルドが情報を開示しなかったせいで見失ったようだな」


「まあ、普通なら信じられないのかな……」


「分からないでも無いが、被害が出たのも事実だ」


「昨日の夜から一人行方不明。一人で済んだ、と思えばいいのか一人被害が出てしまったと思えば良いのか」


 

 あの人は言っていた。


 エラーが出たのは僕のせいだ、と。


 もしそうなら、一人エラーの被害に遭ったのは……僕のせいなのだろうか?


 その真偽は分からない。


 ただ……とても後味が悪いのは確かだ。



「ムノのせいじゃねえから気にすんじゃねえよ。むしろ、エラーとやらを見つけれるソイツが操ってるんじゃねえか?そんな大事な情報を出してない所からも怪しさしかねえだろ」


「そうですかね……でももしそうなら、アイツの思い通りにはさせたくないですね。僕、捻くれた性格してるので」


「ハッ、俺も同じだよ。それなら、俺達で全部潰して悔しがらせてやろうぜ?」


 グンセさんはフッと笑う。


「そうですね。僕の聖剣が効くのは分かってるんで、向こうが諦めるまで全部潰して回りますよ」


 僕もグンセさんに笑って返す。


「やるぜ」

「やりましょう」


 


 それから僕とグンセさん、それと一度家に戻ってから合流したヒメさんの三人で情報収集を始めた。


 けれどすぐにエラーが現れるわけでは無く、情報元もネットを回るしか無い。


 せめて名称が固定されれば、もう少し見つけやすいのに。


 僕とグンセさんが意気込んだのに、それがから回る虚しさよ。



 と、そんな事を考えていたらグンセさんが急に立ち上がり口を開く。

 

「おいムノ。渋谷の大通り、時間は間は恐らく10分前位だ。車を出すからすぐに行くぞ」


「はい」


 そこでヒメさんが複雑な顔で手を挙げる。


「……あの、私はどうすれば?」


 僕とグンセさんは少し悩む。


 ヒメさんが多彩な魔法を使える分、動きやすくはなるだろうが……そこから顔バレして騒ぎになるのも面倒だ。


 僕も同じなのだが、僕には鑑定阻害の隠蔽の指輪が有る。

 グンセさんはまあ居ても何とか揉み消すだろう。多分。


 それなら——。


 と思ったらヒメさんは自分から話し始める。


「やっぱり良いわここで待って情報収集でもしてるわ。ま、行っても危なさそうだし。二人共、怪我だけはしないでね」


 僕はヒメさんに向けて頷いて見せた。




ーーーーーー



 シル爺が運転する車に乗り15分程度。

 渋谷に近づくにつれて渋滞が酷くなってきた。


 その光景にグンセさんは舌打ちをする。


「チッ。こりゃダメだ。走って後五分ってとこか。ムノの全力なら2、3分で行けるか?」


「位置情報は入れたんで、後は現地で合流しましょう。じゃ、先行きます」




 そう言うと僕は渋滞で止まっている車から飛び降り、渋谷の大通りを目指す。


 聖剣や指輪で上乗せされた僕の敏捷値で、全力で走れば原付程度の速度が出る。


 でもグンセさんは僕より敏捷値が低いので、恐らく着くのは僕が先になるだろう。



 街中の人を避けながら走るが、人が多くてうまくスピードに乗れない。ぶつかって怪我をさせるわけにもいかないし。


 かなりの速度で走り人を避けていけば、それに驚いて振り返る人も多い。……見られるのはあまり得意じゃ無いなあ。


 ——それなら。


 僕は車の上を飛び移りながら走ることにした。これなら人を避けるよりは早いかもしれない。乗られた車の人には申し訳ないけど、人命に関わるかもしれないから大目に見てね。


 ——うーん。でも、逆に目立ってる気がするぞ?


 そこの外国人!NINJAじゃないから!!それにNARUOでもないわ!




 ま、まあそれは置いといて、あっという間に目的地に近づいてきた。


 目的地から慌ててこっち側に向かってきているのは、逃げてきた人たちだろうか。


 我先にと人を押し除けながら進むのは少し見苦しいが、エラーを見た後だとしたらその気持ちも分からなくはない。


 

 ここを曲がれば目的地。まだエラーは居るのだろうか?




 僕は角を曲がり——その先の光景を見ると、居た。エラーだ。




 どうやら一人のスーツの男性がエラーの攻撃を回避して時間を稼いでいるように見える。動きからするに男性はかなりの手練れだ。



 ——ってあれ?早川さんじゃない?



 何でスーツに片方靴下姿で戦ってるんだろう?


 ま、まあ。様子を見る限り危なげなく見えるし、取り敢えず大丈夫かな。少し安心した。



 さて、どんな風に参戦すべきだろうか……。



 鑑定は阻害出来るにしても、これだけ人の注目を浴びているのに顔を出すのはちょっと……。


 僕は人目の付きにくい角でマントを顔にグルグルと巻き、目以外は見えないように隠す。

 



 来い!



 そして聖剣を取り出して、深呼吸しながらタイミングを伺う。




 ——次の瞬間。早川さんがエラーの刺突攻撃を避け、後ろに大きく下がる。

 

 僕はそれと同時に一直線にエラーへと駆け寄る。


「光弾」


 エラーの意識をこちらに向けるため光弾を放つ。


 光弾は見えない何かに拒まれて消失するが、別に構わない。


 早川さんは何かを察したのか、大きく後ろへと跳躍する。




 僕は聖剣を逆手に持ち、それを——エラーに向かって投げた。


 エラーは聖剣に対応する為か槍のように体を変形させ、横薙ぎに聖剣を払おうとする。


 けれど聖剣はそれを物ともせず、それを打ち消して——エラーの身体へと到達する。


 聖剣が通過したエラーの身体中心部に大きく穴が開き、エラーはまるで痛がるかのように身体を震わせる。


『ウヴォッ……ォッオッ……』


 エラーが気味の悪い声のようなものをあげる。だがまだ、僕は走って距離を詰めている。


「来い」


 そう呟くと、聖剣が僕の右手に戻って来る。


 そして——走り込んだ勢いそのままに、エラーを両断した。



 

 僕は追撃に身構えながら振り返る——が。


 そこに見えたのは、エラーの黒い影が散るように消えていく光景だった。


 


 僕はそれを確認すると早川さんの方へと向かい、すれ違い様に呟く。



「あれはエラーです。あと、エラー出現情報を全てのDHにすぐ伝達するよう伝えて貰えますか」


 早川さんは僕を見ないようにしたまま返事を返す。


「君は……聞きたい事は有るが今度にしよう。エラーの件は私からDHギルドへ伝えておく」


 返事を確認し、僕はその場を走り去る。


「誰かは分からないがありがとう!」



 早川さんは僕に向けてそう叫ぶが、僕は振り返らずその場を離れていった。



 ——そして少し遅れてから、大通りの方で人々の歓声が挙がった。



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