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才能に縛られた世界の『無能』でも、『運』が良ければ成り上がれるはずだ  作者: 飛楽季 【兵器創造 コミカライズ配信!】
3章 凸凹コンビと黒い人

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凸凹コンビとダンジョン深部 2

 翌日朝早くに僕達は歌舞伎町ダンジョンの入り口で合流する。


 お互いの荷物を見せ合って、抜けが無いことを確認する。

 特に深部に潜るのに必須となるのは帰還石。


 帰還石は砕けばどのような状態であってもダンジョン入り口へと離脱するアイテム。個人で使う必要は有るがその効果は緊急時の保険としては破格の性能で、中級以上のDHの命綱となっている。


 むしろこれが無ければDHの死亡率は格段に上がり、職業としては成立しなかったかもしれない。


 その分値段は20万円とお高いが、命と引き換えにと考えれば安いものだ。


 一方的に物を貰うのは嫌がるヒメさんだが、帰還石だけは無理に押し付けて各自三個ずつ所持している。



「よし、今回の目標はマッピングしながら十五階まで。その下には絶対に行かないよ」


「了解。段階を踏んで下を目指しましょう」


 

 ——そうして僕達は歌舞伎町ダンジョンの中へと入っていく。



 僕とヒメさんは既に十階までは到達していて、そこまでならマッピングもほぼしてある。もし問題が起こるとしたら、その先だろうか。


ーーーーーー


「よっと」


 僕はグールを一刀両断にし、周囲に敵がないことを確認する。

 ここは既に九階。この階層はまた暗い地下墓地のようなマップで、ヒメさんと出会った三階にとても雰囲気が似ている。


「ここ、デイドリームを思い出すなあ」


 僕の呟きにヒメさんが反応する。


「あの死にかけた日からもう一ヶ月以上経ったのよね……。ほんと今思い出しても寒気がするわ」


「今なら中級魔法一撃で倒せるんじゃないかな?」


「ワールドエンドが有れば余裕でしょうね。ほんと何よあの性能。今まで使ってた杖がまるで玩具みたい」


 そう言っているヒメさんの脇には黒い本、"ワールドエンド"がふよふよと浮かんでいる。


 ワールドエンドの所有者は僕になっている。けれどJHWの一件で杖を忘れたヒメさんに貸したところ、その効果が問題なく発揮するが分かった。

 

 ただ、収納スキルだけは僕が扱えるようで、ヒメさんには扱えない。まあ近接職でもなければ使い道があまり無いスキルなので、問題無いのだけど。


 そしてワールドエンドを宙に浮かべて使うのがヒメさんのお気に入りだそうだ。手が空く利点はあるけど、常に魔法で浮かべている分余計な意識を使う。うーん……。


 本人に聞いたら「何かカッコいいじゃない!」、だそうだ。


 ……正直、その良さは僕には分からない。


 


 そんな話をしながら、僕達は10階への階段へと到着し、すぐに下へと向かう。


 ここまで三時間程度の時間が掛かっていて、更にここから先は僕達にとって未知の領域だ。


 グンセさんが「ま、15階位ならムノ達なら余裕だろ」と軽く言っていたのでそこまで身構えては居ないけど。


「予定通りここで昼食とりながら休憩しよう」


「ええ」


 各々が持ってきた食事をマジックバッグから取り出す。

 僕は今回はコンビニで買ったサンドイッチだが、夕飯からはカップ麺とDH用の携帯食だ。


 というのも、マジックバックは保管量だけで時間停止も冷蔵もしてくれない。そのせいで腐る可能性のある物は最初の食事くらい。


 食事に拘る人は魔石で動く冷蔵庫をマジックバッグに入れるらしいけど、そんな物まで入れてたら素材があまり入らなくなってしまう。ただでさえ確定ドロップで素材が溢れ返るのに。


 あとはあまり美味しくない携帯食かカップ麺。何故ここまで文明は進んでいるのに、DH用の携帯食は美味しくならないのだろうか?


 腹は膨れるし、栄養は有るんだけどね。


 あ、今度DH向けの缶詰めアレンジの本でも買おうかな。




 と不意にヒメさんの方を向くと、彼女はラクドナルドのハンバーガーを食べている。そしておまけにポテトまで置いてある。


 

「ヒメさん……ポテトしなしなになってない?」


「あら、それでも私は好きだけど」


 ヒメさんはポテトを口に運ぶ。


「僕は出来たてが良いなあ」


「ま、どうせ私のだし」


 冷たくしなしなになっていると分かっていても、そしてどんな味か分かっていても、何故か食べているのを見ると不思議と食べたくなってくる。


「ヒメさん、一本だけ……!」


「断る」


「外出たら奢るから!」


「けど、断る」


 くっ……失敗した。僕もラクドナルドにすれば良かった!ダンジョンの中のせいかジャンクフードの魅力が増して見える——ッ!!


 何故僕は簡単にコンビニに逃げてしまったのか!今では後悔しか無い……ッ!


「あーポテト美味しいわー」


 そんな僕の様子を見ながら、指で摘んだポテトを見せびらかすヒメさん。

 

 くっ……それなら!


「今度箱を開けた時に欲しい装備があったら譲るから……ッ!!」


「……へえ」


 ヒメさんはニヤリと笑う。


「レジェンドレア……いや、ゴッドレアでも良い!!」


「ふう、それなら仕方ないわね。交渉成立よ」


 そして僕達は握手を交わす。


 あ、でも、あのさ……ヒメさんの手ポテトで油だらけなんだけど。


 僕は油のついた自分の手を見ながら呟く。



「ティッシュとか、有る?」


「……そう言えば無いわね」


 

 こうして僕達は大事な物を忘れた事に気付く。ああ……準備って大事だ。


 この後、手は水魔法で高圧洗浄した。

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