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才能に縛られた世界の『無能』でも、『運』が良ければ成り上がれるはずだ  作者: 飛楽季 【兵器創造 コミカライズ配信!】
2章 少年と不運の少女

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幸運少年と大企業 商戦 1

 ——計画実行の日、当日の朝。

 グンセさんの店の中には、僕とグンセさん、それにシル爺の三人。


 シル爺はグンセさんの右腕で、群瀬組のNo.2で組長代をしている人物。本名は銀次という白髪に白い口髭にスーツと、まるでヨーロッパの老紳士のような人物。流石に執事服では無いが。

 年齢は還暦を超えている筈なのだが——詳しく聞いても、毎度はぐらかされてしまう。



「若。既に各企業には、販売を開始するように連絡済みです」


「ああ、分かった。まずは第一ステップだが、ここは大丈夫だろう。それとここでは俺たちの出番はねえ」



 第一ステップは——中小企業がJHWを裏切り、JHWの設定価格を下回った価格で武具の出品を行い、JHW全体を混乱させる。僕達は茶々入れはするが、このステップでは大きく動くことはない。


 なお、取引に使っているのは日本DH協会が運営している取引サイトで、これは信用の高いオークションサイトと思ってくれれば良い。

 ここでの相場変動が日本全体に影響を与える。だから今回の戦いはここで基本的に行われる事になる。



ーーーーーー


 現在の装備価格。


 マジックレア——武器20万、防具一箇所10万。

 レア——武器100万、防具一箇所40万。


ーーーーーー



 この価格はJHWが設定したもので、中小企業もこの価格に従う形となってからは価格競争があまり起きていない。

 その事で、最大手であり商社のような業態を取っているJHWは、安定した売上を可能にしている。


 JHWの仕入れ値としては売り値の半分位だろうか?

 もしもそこまで装備価格を下げる事が出来れば、文句なしにJHWの経営が傾くだろうが——やり過ぎると他の装備を取り扱う業者も、連鎖的に大きな被害を受けてしまう。


 他の企業へは、武具——特に防具の在庫を最小限にするように連絡してある。もし、それを無視して行動するようなら僕達も知った事ではない。


 

「これを2日続けて、出品した物だけで値段が少しでも下がれば、俺達の勝ちが見えてくる」


「本当にJHWが買い叩いて来るんですかね?」


「……相場の7割以下なら、奴らは必ず買い占めに走るさ。DHの連中に相場が荒れてるのが気づかれて買い控えされれば、JHWも下げざるを得なくなってくるからな」


「もし、海外から輸入されたら?」


「それをしても大赤字だぜ?日本DH協会が馬鹿みたいな関税を掛けてるからな。輸出でも6割ラインを下回らなければそう売れる事は無い」




 ——そして2日後。


「相場の8割なら数時間は残ってるようになったな。JHWも冷静になってきたか?」


「若、企業の数社からJHWの忠告が来たとの連絡が」


「忠告が来た所は、もっと荒れるまで大人しくしてろと伝えろ」


「了解しました」


「さて——次の第二ステップだ」


 グンセさんはパソコンを操作し、取引サイトに次々と出品していく。今出品しているのは、僕が集めたシャドウウルフの皮を、中小企業に協力して加工してもらったシャドウウルフ装備。


 これを——相場の下がった市場に一気に投入する。



「ポチッとな」


 グンセさんが出品を終えたようだ。


「幾らで出品したんです?」


「同性能なら各部位の相場30万位の所を、15万で取り敢えず50セット分だ」


 僕が集めた皮で、シャドウウルフ防具は500セット以上作れるそうだ。もし50セットが全部売れたとしてもまだまだ弾はある。

 なお、防具のワンセットは頭、手、胴上、胴下、靴の五箇所で1セット。一箇所15万なら、1セットだと75万で売っている事になる。

 

 今回の出品分を全て買い叩くと3750万だが、JHW程の大企業ならそこまでの金額では無いだろう。

 最もそれが転売出来れば、の話だが。




 ——その5分後。

 

「お、JHWが頑張ってるみてえだな……即完売したぜ。じゃ、14万に下げてもう50セット行くか」


 グンセさんは悪どい顔をしてニヤニヤしながらパソコンを操作する。


「うわあ……流石に可哀想になってくる」


 ——その20分後。


「流石に売れるまで時間掛かったな。じゃ、13万に下げて30セット」


「うへぇ……」


「冷静になってここで止めないと、マズい事なるぜ?JHWさんよ」


「やってるの僕達なんですけどね……」




 ——その一時間後。


「ハッハッハッ!あいつらまだ意地になってやがる!また売り切れだ!12万でもう30セット行くぜ!!」


「うわあ……他の同レア等級の防具、全く売れて無いですよ」


 同等の防具が20万程度で売りに出されているが、全く売れている気配が無い。まあ、これを狙ってのシャドウウルフ防具の出品なのだが、まさかここまで影響が大きいとは。


「まあ、一時間も売れ残ってりゃDH同士でも噂になるだろ。現に掲示板の話題はシャドウウルフ装備の話題で持ちきりだ。もっと広まれば、DHの連中は買うのが怖くて様子を見るだろうぜ」


「まあ、これだけ価格が荒れてるのに買う人は余程のギャンブラーですね……」


「後はJHWがどれだけ買取の予算を持ってるかだな。流石にこれ以上シャドウウルフ防具には手を出さねえとは思うが……」




 ——その二時間後。


「やっぱり残ったか。よし、ここまでは予想通りだな。数セットは売れてるが、DHが買った単発だろう。問題ねえ」


「うわあ……計画通り過ぎて怖い」


「当たり前だろ。失敗出来ねえんだ、計画通りにいかせるんだよ」


「はあ。それと、言い出しっぺの僕が何もしてないんですが、何かやる事有ります?ちょっと申し訳なくて」


 あれだけ僕が言い切ったのに、実際に商戦を仕掛けてるのはグンセさんだ。確かに向き不向きは有るのだろうけど。


「今は無い。ただ、ムノのお陰でここまでうまく行ってんだ。そんなの気にすんな。それに、緊急事態に対応出来る人員は必要だ。そんときゃ頼むぜ」


「……分かりました」



 ——こうしてJHW崩壊作戦は順調に第二ステップまで進み、翌日に次のステップへと進む事になる。

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