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少年と不運の少女 2

 いや、まさか……僕が倒していたのが、レアポップの魔物だったなんて。

 ——となると、もしかして……彼女がデイドリームに遭遇したのは、僕のせいなんじゃないだろうか……?


 そう考えると、少し彼女に対して申し訳ない気持ちになる。


「……それは運が悪かったですね。僕は三階には来たばかりで、ゴーストとはまだ戦って居なかったんですよ。……だ、だからさっきのがゴーストだと思ってしまって」


「……ああ、それで。でもあなた、いきなり飛び込んで来たのは危なかったわよ?デイドリームのモヤのような身体に触れると、どうやら魅了されてしまうそうなの。魅力されている間に襲われて、そのまま帰らぬ人に——なんて事も、少なくないそうよ」


「そんな危ない魔物なんですか……い、いやーでも助けられて良かった!そ、それじゃあ、僕はこれで——」


 このまま彼女と一緒に居ると、間違いなくボロが出てしまう。

 ——ここは、早々に立ち去った方が良い。


「待って」


 立ち去ろうと歩き出した——その時、彼女は僕にかけて来た。


「……何でしょうか?」


「……デイドリームとの戦いで、魔力があまり残っていないの。申し訳ないんだけど……二階への階段まで、送ってもらえなかしら?」


 ——マズい、捕まった。


「ああ、そうですよね。確かに魔力の切れた魔法使い一人で、こんな所に居るのは危険だ。分かりました、階段まで同行しますよ」


 内心離れたい気持ちはあったが、流石にここで見捨てるのも申し訳ない。もしそれで死なれでもしたら、僕は後悔することになるだろう。


 ——そうして、二人で二階への階段に向かって歩き始める。


 ど、どうか……デイドリームには遭遇しませんように……!



 ——そんな僕の願いは、僅か数十秒で打ち砕かれる事となった。僕達の進行方向にはまた、白いモヤの姿の……デイドリームが現れていた。


「え!?ま、またデイドリームが……!!な、なんて事……」


 彼女は唖然とした表情で、後ろへ後ずさる。


「……僕が倒します。下がっていてください」


 聖剣の一閃でデイドリームを屠る。


「め、珍しい事も有るもんですねーあはは……」


「今日は厄日だわ。本当にありがとう」


 そうしてまた歩き出す——が。


「ちょ、ちょっと!?デイドリームがまた!?」


「……倒します」


 また歩き出す。


「ま、また……!」


「倒します……」


「また…」


「……」




「「……」」




 ——何度、デイドリームを倒しただろうか?もう、言い逃れが出来ない所まで来ている気がする。


 僕の後ろを歩く彼女は、僕が倒したデイドリームの魔石を……両手一杯に抱えている。

 

 後ろを振り返るのが怖い。

 それに、5匹目を倒した辺りから、既に会話は無くなっていた。



 ——そうして、僕達は……二階へと戻る、階段前の広場に到着した。


「ここまでで大丈夫でしょうか?ぼ、僕ちょっと用事を思い出しちゃって……」

 

 彼女を見ると——説明し難い程の、無の表情。

 これは……完全に手遅れだ。


「……少し、座って話しましょうか」


「……はい」


 何故か怒られる気分になり、僕はダンジョンの床に正座で座る。


「何から話せば良いのか……信じられない事だらけで、まだ頭が混乱しているわ」


「い、いやーまさか、デイドリームがあれだけ出てくるなんて!本当に不思議な事も有るもんですね!」


「……まさか、それで押し通せると思ってる?」


 あ、ダメだこれ。


「レアポップのはずのデイドリームが当然のように出現して、低確率ドロップの魔石が、まるで石ころのようにポロポロと落ちて、強敵のはずのデイドリームが、剣の一撃で何も居なかったかのように消滅して……はあ。頭がおかしくなりそうだわ」


「……すいません」


「……やっぱり、思い当たる節があるのね」


「あはは……僕、人よりもちょっと運が良いみたいで……」


「運が良いにしても限度が有るわ……でも」


「でも?」


 彼女は少し考える素振りをした後——決意した表情を見せる。


「……私でも、あなたとなら——パーティーを組めるかもしれない」

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