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ガチャ日和

 今、僕の目の前にあるカウンターに並べられているのは、最下級3個、下級5個、中級2個の計10個の古い箱。


 ——僕は、今からガチャを引こうと思う。



ーーーーーー



 ——遡る事一週間前。


「ああ、そうだ。スライムゼリーの件でかなりの金が稼げたから、ムノにもボーナスをやろうと思う」


「ボーナスですか?」


 僕は既に借金が無くなっていて、適度なダンジョン生活を心掛けていた。そんな、早寝早起きダンジョン生活を送っていた僕に、グンセさんがボーナスを支給してくれるそうだ。


「おう。何か欲しいものがありゃ買ってやるよ。けど、流石に高すぎるもんは無理だぜ?」


「欲しいものですか。うーん…」


 僕が顎に手を当てて考えていると、妙案が思い付く。


「どうだ?」


「それなら……ガチャがしたいです」


「は?ガチャ?古い箱って事か?」


「そうです。あ、等級は最下級でも何でも良いんで、10個位買って下さい。それがボーナスで良いですか?」


「それなら構わねえが……最下級なんてゴミしか出ねぇぞ?」


「それは分かってますよ。少し試したい事が有るんです——」



ーーーーーー



 ——そうしてボーナスとして支給された物が、この10個の古い箱だ。


 最下級の古い箱1個で、運良くユニークレアを引き当てた僕だが、果たしてそれは一回きりの豪運だったのか?

 それとも、素材のドロップ率のように、僕の運の高さが反映されて出たものなのか?

 ——それを、今から検証しようと思う。



「なあ。この一週間ずっと考えてたんだが、一つ聞かせてくれ」


 古い箱を前に腕組みをしている僕に、グンセさんが尋ねてくる。


「何ですか?」


「もしかして、お前のユニークレアの聖剣ってよ……」


「ああ、古い箱から出ましたよ」


「やっぱそうか。た、確かに古い箱に伝説級が有るって噂は聞いたことが有る。ん?でもよ…金がねぇテメェが、どうやって伝説級の古い箱なんて手に入れたんだ?」


「最下級から出ました」


「はっ?ちゃんと聞こえなかった。もう一度言ってくれ」


「最下級の古い箱から出たんですよ」


「……マジかよ」


「もう一つ言うと、聖剣が出たのは神級の箱です。それも最下級から始まって、どんどんレア等級が上がっていったんですよ」


「はぁ!?神級だあ!?そんなもんが存在する事自体初めて聞いたぞ!?いくら何でも常識を覆しすぎだろ!!」


「いや、僕も神級なんて知らなかったですって……」


「確かに箱から一つ上の等級が出るってのは、既に検証されて実績が有る!けどな!」


「けど?」


「上の等級の箱が出る確率は、1%辺りだろうって話だ。で、それを最下級から神級まで、何回も引き続けたんだろ?そんなの、確率を計算するだけで嫌になるわ!」


 最下級、下級、中級、上級、伝説級、神級で6段階か。

 ——確かに、計算するのも面倒臭い程の確率だ。


「まあ、単にまぐれだったのかも」


 僕は笑いながらグンセさんに返す。


「まぐれでそれだけ引けるわけがねぇだろうがああああ!!!ピンポイントにここへ隕石が落ちる方がまだ確率たけぇよ!!絶対にテメェの運のせいだよ!!」


 グンセさんは息継ぎもなしに叫んだせいで、息が荒くなっている。


「ま、まあグンセさん落ち着いて。今回はそれを検証しようって事で、箱を準備してもらったんですよ」


「はぁ…はぁ…テメェが現れてから驚きっぱなしだ。次の健康診断、絶対に血圧引っかかるぜ……」


「お、お大事に……」


「…テメェのせいだよ」


 グンセさんのドスの効いた声に、僕はちょっとビビってしまう。

 ここは話題を変えよう!


「よ、よーし!僕、古い箱開けちゃおっかなーっ!!」


 と言うことで、最下級から順に箱を開けていくことに。



古い箱(下級)を入手しました。 ×3



チラッ


 グンセさんの様子を見ると、無表情で…何も言わずに腕組みをしている。

 次は8個の下級。



古い箱(中級)を入手しました。 ×8



 これで中級が10個。

 うん。グンセさんの眉がピクピクしているのが分かる。


 ——次だ。

 


古い箱(上級)を入手しました。 ×10



 グンセさんが肩を落とし、椅子に崩れるように座って、ため息をつき始めた。


 ——つ、次!



古い箱(伝説級)を入手しました。 ×6

ミスリルソード(SR)を入手しました。

ミスリルヘルム(SR)を入手しました。

奈落のマント(LR)を入手しました。

隠蔽の指輪(LR)を入手しました。



 あ、装備が出た!


「…!ほらグンセさん!ちゃんとアイテムが出ましたよ!」


「馬鹿野郎!!上級10個の時点で、既に異常過ぎだろうが!!それに上級でレジェンドレア装備引いてるのも、普通じゃあり得ねえ位の豪運だっての!!そもそも何で全部装備なんだよ!!テメェのガチャだけ他の奴と前提がちげぇよ!!」


「ええ……」


「はぁ。…もう何が出ようが驚かねぇから、さっさと開けちまえ…」



 ——残るは伝説級が6個。結果は果たして?


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