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1-1 神様はへこたれない

推敲はあと回しにして投下優先

「うおっちゃいってえええええええ……え?」


 目を開けば、あたりは殺風景な白一色の世界。

 あるのは自分が臥せているカプセルベッドと、そのカプセルから自分に繋がっているいくつかのケーブルのみ。

 慣れ親しんだ、そして自分が死ぬまでを過ごす、一見すると簡素なだけの部屋だ。

 とはいえ、世冶が望めば、机も、作業用コンソールも、モニタも、瞬時に出てきて、ものの1日もたてば不精な彼が使う様々な物が散乱してしっちゃかめっちゃかになるのではあるが。


<お疲れ様でした。いかがでしたか。皆様が作り上げた世界、『アーカシャ』を初体験されたご感想は>


「最悪だよ!くっそいってえわ!」


<反抗期でしょうか。創造主(パパ)に手を上げるなんて、まったくもう。ふふ、やんちゃな子でしたねえ>


「やんちゃどころじゃないよ!殺意っていうか完全に食欲もたれてたじゃん!反抗期だから食われるってどんな殺伐世界だよ!」


 カプセルを開けてみれば室内に響いてきたセスの言葉に、世冶は「うがー」と奇声を上げながら拳を振り回した。


 巨大な口蓋を視認して、直後に訪れた今まで経験したこともない鋭い痛み。

 治療の薬の副作用で散々に感じた内から来る痛みとは全く別種の強烈で鮮烈なそれは、一瞬だけのものだった。

 体が腰から真っ二つにちぎられ、絶叫を上げる間もなく頭部がさらに噛み砕かれたのか、そこですぐさま世界が暗転したからだ。

 そして、その直後に、今がある。


「……俺、どうなったん?」


<竜に食べられましたね。そのままその竜の血肉となり、搾りかすは糞尿として大概に排出されましたが、ご覧になりますか?>


「みないよ!見たくないよ、んなもん!!」


 自分――多少肉体の能力はいじってあるにしろ、自分自身をベースに作った存在の死体をみるとか御免こうむる。

 すでに糞尿となってるらしいけど。


<あれは翼の大きいタイプのウィングドラゴンの系列ですね。といっても皆様が最初に作り上げた始祖《トゥルース》に比べると、世代交代が行われて大分力を落としているようですが>


「まあエネルギー食うしなあ。古代の環境ならともかく、安定した世界だといくら『マナ』があっても自然交配していけばそうなるか。……って、そんなことはいいんだよ!あの森、ドラゴンがいるのは知ってたけど、肉食のはいないんじゃなかったの!?森を下手に傷つけない限りは襲ってこないはずじゃん」


<調査したタイミングから数百年ほどはたっていますし、生態系が変化したのでは? ご希望であれば調査しますが>


「……数百年? あれ、調査って、俺が『降りる』直前にしてもらってなかったっけ。最終設定をして起動して、それでもう一度だけ俺が『降りる』場所について調査報告してもらって、だから安心して行ったと思ったんだけど」


<はい。ですがデフォルトでの進行倍率が1分あたり50年となっていましたので最終設定はそれを追従しています。機動直後からアーカシャの時間は動き始めていますので、その直後でのセイジ様と私とのやりとりで6分10秒。そのためセイジ様がカプセルを閉じて『降下』され、アーカシャに顕現されたとき、すでにあちらでは308年と122日が経っていたのです>


「オッフ……あれ、それじゃ今のこの間も?」


<流れています。セイジ様が覚醒されてから、現在2分2秒です。>


「そこは止めておこうよ!いや確かに二度と『止めない』ってお前には言ったけどそういうことじゃなくて!あー、糞尿になってたってのはそれが理由――って、もういい、とっとと『降りる』ぞ!こうやって時間食ってまた何か大きく変わってたらたまらんわ!!」」


憑り代(アートマン)は同じでよろしいですか?>


「一旦そのままで。基本死んだらその憑り代(アートマン)はそれまでとするつもりだったけどさすがにこれはなあ。もしそのステータスで色々詰むようならまた考えるわ」


 1憑り代(アートマン)1人生。1人生1憑り代(アートマン)

 あくまでその人生をその体で生きて死ぬ。

 絶対とは言わないが、基本路線はコレで行きたい。

 それに、生きるのに詰まったからといって、自殺リセットとかはしたくない。

 こっちは絶対だ。

 そういう能力を持った存在だ、というならともかく、自分は「普通の人間」としてあの世界に行くのだ。

 ならば「死んでところから同じ体ですぐやり直し」をするなんて、『生きている』なんて言わないだろう。それはもう、別の何かだ。たとえ自分が創造神という立場であろうとも、あくまで自分は『普通の人間』としてそこで生きるのだからして。

 もっとも、死にそうになったらわりと気軽にセスに頼んで(チートして)、ヌルく生きるつもりではあるのだが、それは気にしてはいけない。


「よし、じゃあいくぞ。拠点のほうはどうだ、問題なく残っているか?まあ破壊とかはまず不可能なはずなんだけどさ。始祖竜のブレスにだってびくともしない設定なんだし。でもなんか虫とかわいてたら困る」


 世冶が用意した拠点の小屋は、外見も内装も、産業革命以前のそれであるが、決められた権限のものが決められた手順を踏めば色々と快適な近代科学文明インフラが成立しているようになっている。

 正確に言えば、アーカシャ内の物理法則によって模した、なんちゃって科学ではあるのだが。

 あくまで彼が楽しみたいのは「楽して楽して非文明生活を充実したい」ので、その辺はこだわりである。、


<問題ありません。セイジ様の憑り代(アートマン)である人間種に害ある生物は侵入できないようになっていますので。塵芥等による汚れなどは発生していますが、通常の清掃で対応可能です>


「よし、ならスタート地点はまず拠点内だ。一度テンションを落ち着けて、安全を確認して、それからのんびり異世界ライフをはじめるとしよう。さっきはテンションがあがりすぎてたからな」


<了解です。ではセイジ様の憑り代(アートマン)を、拠点の個室にて開始いたします>


「では――憑り代(アートマン)、起動!」


 カプセルを閉じてそういうと、彼の意識はあっという間に遠くなり、そして――



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ツェッ?」


「えっ」


 世冶が顕現したのは、予定通り拠点の小屋、自室として設定した、少し広めの個室である。

 と行っても寝るスペース以外には切り株を模した小さな机しかない簡素なものだが。


 そんな彼の部屋で、今世治の目の前には13、14ほどの栗色の髪の少女が一人。

 手には粗末な布地――おそらくは肌着だろうか、かなりほつれが目だってはいるが清潔そうなそれを持ちながら、目を大きく見開いて世冶を見つめている。

 その体は健康そうではあるが、貧相――というよりは、やや、やせている。

 恐らくは栄養状態がそれほど良くはないのだろう。

 ただ、おっぱいはよろしい。大変よろしい。

 こぶりながら形は良い。

 見た目の年と、栄養状態にしてはなかなかのものである。


 思わず彼は「うむ」と特に意味もなく頷いてしまった。


 別にロリコンと言うわけではない。

 なので欲情したわけではないが、「ええものをみた」とは素直に思った。


 さて、なんでそこまではっきりと彼女の体つきがわかったのかといえば――裸である。

 著度着替えの途中だったのか、下半身はパジャマのような下着――ドロワーズの一種だろうか、それを吐いているが、上半身は完全に裸体だった。


 え、なんなの。なんでファンタジーでスローライフ使用としてラッキースケベなの。

 どういうことなの教えてセスえもん、と声を上げようとしたとき、目の前の彼女は動いた。


「ヤ、ヤヤヤヤ……」


「や?」


「ヤヤヤ……ヤァラエッラァァァ!」


 あ、これわかる。

 キャアア!とかそんな感じの悲鳴だ。


 そんなどうでもいいことを思っていた世冶だが、


「マニ!?ナシューカ、マニ、セルカッ!」


 ゴウン、と。


 後ろから少女に良く似た声が聞こえて――世冶は後頭部に強烈な痛みと鈍い音を脳内に響かせて、再び意識を失ったのだった。

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