閑話 第2回?経験会議
「ここに! 第――何回かしら⁉︎ 分からないから第2回にするわね⁉︎ いい? 第2回、経験会議よ!」
「また酔っておるのか……そして、また主人様がおらんのじゃ」
「フィオは今、寝室の内装を考えてるの! 邪魔しちゃダメよ⁉︎」
「じゃから、主人様が居る時に会議をしたら良いじゃろう? ……言っても無駄かの」
「フィオが居ない代わりに、今回は参加者が増えたわ⁉︎ 点呼! ……あ、わたくしが 1!」
「2じゃ」
「3でございます」
「4でありんす」
「……5よ」
「わん」
「以上! なんと総勢6名よ⁉︎ 拍手!」
「……のう? またかの? ウル……『誓約ぷれい』に嵌っておるのか?」
「わ、わん!」
「むぅ……お主とトゥアエは情事をひた隠しにするからのう? 何をしたのか分からんのじゃ」
「あ、当たり前でしょ⁉︎ 見られて気分がいい訳無いじゃない!」
「なるほど。見られなければ気分が良いのじゃな?」
「はぁ⁉︎ そんな事言ってないでしょ⁉︎ なんで私がクソ主人と――」
「ああ⁉︎ フィオの事クソって言った! トゥアエ……めっ!」
「っ……あんたは何なのよ⁉︎ その歳で吸血酔いとか恥ずかしく無いの⁉︎ このクソ吸血鬼!」
「……ふ、ふぇえ」
「なっ⁉︎ 泣くんじゃ無いわよ! わ、私が悪い事したみたいじゃない!」
「トゥアエ? 少し落ち着いたらどうですか? 私が舞いますか?」
「舞わんでいい! あんたの舞は長いのよ!」
「わ、わたくしの前では丁寧に話すって約束したのに……」
「どうせ酔いが覚めたら忘れてるじゃない! ……ああ、もう! こっち向きなさい! 顔が汚れてるわよ……はい、ちーんして」
「んんっ」
「はぁ……世話がやけるわね」
「……案外仲が良いのかの? お主からはどう見えるのじゃ? キリリス」
「うふ……うふふ」
「き、聞いておるかの? キリリス?」
「わん! わわん!」
「ウルは何を言ってるか分からんのじゃ……すまんのう」
「くっ、わん!」
「ほんに……夢の様なひと時でありんした……」
「ワシらは見られたが、お主の番を見る事は適わんかったからのう? ど、どうじゃ? 何をしたのか言えんかの?」
「まさか、わちきがいい様に弄ばれるなんて……」
「な、なんと! やはり尻尾かの⁉︎ それとも、入れる直前で焦らされたのか⁉︎」
「あれが【絡舌】……つ、次は【千手】と言っておりんしたが――」
「なんじゃ……まだその段階じゃったか」
「わ、わん!」
「そうじゃな。ワシらとは経験が違うからの?」
「わ――わん⁉︎」
「勘で答えただけじゃ。そう何度も期待するでないぞ?」
「ニール様? こちら、淹れたてのお茶にございます」
「む、流石はウーナじゃな。丁度喉が渇いておったのじゃ」
「いえ、私にはお茶汲みと舞くらいしか能がありませんので……」
「そう謙遜するでない。この場にお主の様な常識人がおるだけで、ワシがどれだけ助かっておると――」
「では、僭越ながら舞わせていただいます」
「……お主もか。お主も壊れてしまうのか」
「よっ……ほっ!」
「ワシは思うんじゃがな? 毎回脱ぐならメイド服はやめたらどうじゃ?」
「はっ……ここでっ……着ます!」
「むっ⁉︎ 新しい展開じゃ……脱いでまた着るとは」
「ぐすっ……会議! 会議をするの!」
「もう……ほら! ク――吸血鬼が会議したいって言ってるわよ⁉︎ 早く始めないとまた泣くわよ⁉︎」
「お主が常識人枠じゃったか……トゥアエ」
「な、なによ? そんな地獄に仏を見た様な顔して……」
「言い得て妙じゃな。ワシは正にそんな気分じゃ」
「はぁ? いいから始めるわよ! ……私は何話すのか知らないけど」
「ワシも分からん。恐らくカリンも分かっておらんぞ?」
「……じゃあ何の為に集まったのよ⁉︎ クソ吸血鬼が話があるって言うから集まったんでしょ⁉︎」
「ふ、ふぇ――」
「ああ⁉︎ ち、違うわね? 吸血鬼、吸血鬼ね? クソって言っちゃダメなのよね?」
「……うん」
「き、気を付けるから! ……な、何なのよこいつ。調子狂うわね」
「……実は姉妹だったりせんかの?」
「はぁ⁉︎ 何言ってんのよ⁉︎ こんなク――ッキーが食べたいわねぇ⁉︎」
「やるのう?」
「ほっ……こちら、がっ……焼き立て……ですっ!」
「もう!ありがとね⁉︎ でも何で結局舞ってんのよ⁉︎」
「トゥアエ……クッキー」
「た、食べたいの? ほら、口開けなさいよ……お茶もあるわよ?」
「微笑ましいのう? ……会議はいつ始まるんじゃ?」
「っ! ふぁいふぃ!」
「ああ⁉︎ ちょっと! 口に物を入れたまま喋っちゃダメよ⁉︎」
「んっ……会議をするわよ! 議題は――ニール⁉︎」
「なんじゃ?」
「議題! 議題は何かしら⁉︎」
「な、なんでワシに聞くんじゃ? カリンが皆を集めたんじゃぞ?」
「いいから教えて! 議題は何かしら⁉︎」
「む、無茶苦茶じゃ……」
「し、獅子? 何でもいいから言いなさいよ……このままじゃ永遠に終わらないわよ⁉︎ 」
「うぐっ……誰の能力が一番強いか、なんてどうじゃ?」
「うーん……ダメ!」
「も、もっと吸血鬼の琴線に触れそうなやつにしなさい! ク――主人の役に立てそうな議題に!」
「そんな咄嗟に思い浮かばんのじゃ! お主こそ何か無いのか⁉︎」
「ある訳ないでしょ⁉︎ 何で招集された側が議題を考えなくちゃいけないのよ⁉︎」
「その常識が通用せんから困っておるのじゃ! 無くても絞り出さねば――」
「わん……わ、わん!」
「いいわね! それに決定よ!」
「……な、なんじゃと?」
「議題は『次は誰がフィオと一緒に行動するか』よ!」
「でかしたわよ!狼! ……何で通じたのかは知らないけど!」
「酔っておると勘が冴えるのかの? いや、助かったのじゃ……」
「わふ!」
「次にフィオが向かうのは『特派』よ! 臨機応変な対応が求められるわ⁉︎ ……自信がある者は名乗り出なさい!」
「「「「「……」」」」」
「ダメよ⁉︎ 誰も行かないなんて許されないわ⁉︎」
「そうは言われてものう……ワシは戦闘以外で役に立てんのじゃ」
「そう言う吸血鬼が行けばいいじゃない。あんたも万能でしょ?」
「わたくしだって行きたいわ⁉︎ でも、司令塔が動いたら混乱するでしょ⁉︎」
「な、なんでそういう所だけ冷静なのよ……」
「わたくしは何時だって冷静よ! そうね……トゥアエ! 行きなさい!」
「はぁ⁉︎ ちょ、ちょっと待って! 私達メイドが表立って動いてもいいの⁉︎」
「許可するわ! フィオの役に立って来なさい!」
「いや……でも、あんたここで話した事覚えてないんじゃ――」
「むー、なら書面に残すわよ! ……はい! これでいいでしょ⁉︎」
「ほ、本気なの? まぁ……動いていいなら行くわよ」
「良し! これで一人目は決定ね! 次は⁉︎」
「わちきは数に含まれるのでありんすか?」
「キリリスも当然含まれるわ! これで二人! ……後一人くらい欲しいわね⁉︎」
「ウーナはどうじゃ? お主も割と万能型じゃろう?」
「僭越ながら――と、行きたい所ですが……ここに残るメイドがトリス、トリアだけでは心配ですので」
「む、そう言えば姿が見えんのう? どこにおるのじゃ?」
「今はエイリーンの監視を頼んでるわ! わたくしが動かしたのよ!」
「なんじゃ……もう天界に出ておるのか」
「ほ、本当に動いていいのね……前例があるなら安心だわ」
「と、なると……消去法でウルしか残らんな?」
「流石は第三使徒だわ⁉︎ わたくしの分までしっかり役に立って来なさい!」
「わん!」
「……締まらんのう?」
「はぁ……大丈夫かしら。頼むわよ? 狼……私は天界に行くの久々なんだから」
「わん! わん!」
「……せめて、その『誓約』は引っ張って来ないで」
「今回も有意義な会議になったわね! これにて解散よ! わたくしは……寝るわ!」
「はぁ……やっと終わった――って待ちなさい! あんたクッキー溢してたでしょ⁉︎ その格好のまま寝ないで!」
「うっ……やだ! 《転移》!」
「逃さないわよ⁉︎ 《転移》!」
「つ、疲れたのじゃ……ワシも寝るとするかのう」
「ふふ……わちきは帰って使徒――マリーに今日の事を報告いたしんす」
「む、マリーは息災かの? しばらく会っておらんのじゃが……」
「ええ、平穏無事な毎日を送っておりんす。そのうちここへ連れて来ても良いでありんすか?」
「主人様に聞いてみないと分からんが……拒否はされんじゃろうな」
「ふふ……きっとマリーも喜ぶでありんしょう。では、また」
「うむ。主人様を頼むぞ?」
「任せておくんなし……《転移》」
「さて、ワシも休む故……何かあったら起こすのじゃぞ? 特に戦闘になったら必ず呼ぶのじゃ!」
「わん!」
「……た、頼むぞ? ワシだけ仲間外れは嫌じゃからな?」
「わ、わん!」
「安心してお休みください、ニール様。このウーナ……いざとなれば、舞にて起こさせていただきますので」
「いや、普通に起こして欲しいのじゃが……まぁ良い。《転移》じゃ」
「……」
「……」
「わふ!」
「……」
「わ、わん?」
「……」
「わ――」
「お手」
「ん゛ん゛⁉︎」




