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色魔狩り

引き続き、天使シクティス視点です。




「これは裁判よ? エイリーン」


「さ、裁判⁉︎ エイリーンの何が裁かれると言うのです⁉︎」


「『総括官』の仕事を放って、フィオと戯れていたそうね?」


「あ、あれはシクティスが居なくなったから! それに、開発局から『装置に過負荷が掛かっている』との報告が――」


「その後の乱闘騒ぎは何だったのかしら? フィオに鎖まで巻き付けて……監禁しようとしてたわね?」


「話を聞いてください! ……べ、弁護人! エイリーンの弁護人は――シクティス!」


「シクティス? 分かってるわね?」


「わ、私は……カリンに呼ばれただけ……何も知らない」


「くっ、ならキリリス様に――」


「ふふ……わちきは『執行人』でありんす故」


「そ、そんな⁉︎ 聞いてください! キリリス様、エイリーンは何も悪い事なんかしてま――」


「死刑よ」


「なっ⁉︎ ……不当です! やり直しを要求します!」


「フィオに手を出したわね? 死刑よ」


「斬りんす」


「待って! あ、あれはほんの少し……ちょっと精力を吸っただけです!」



 せ、精力を……吸う? どうしよう……エイリーン様が思ってたより変態だった。

 フィオドールの精力……どこから吸ったの? まさか私より先に……やっぱりうかうかして居られない。リーリアもするらしいし……

 わ、私も彼の精力を吸わなくちゃ――あぅ……想像しただけでこんなに恥ずかしい。やっぱり私には無理かも……



「それでも有罪には変わりないわ? 一太刀か二太刀かの違いくらいね?」


「抜刀でありんす」


「お、お待ちくださいキリリス様⁉︎ エイリーンは『総括官』! 引き継ぎも無しに処刑されては、天界にも支障が出ます!」


「この場で出来るわね? シクティスが居るもの」


「カリン……流石に私一人じゃ厳しい」


「シクティス……エイリーンは信じていましたよ? その調子で弁護をお願いします! ついでにこの鎖を解く様に言ってください! 胸が痛くて――」


「私一人でも頑張る」


「死刑ね?」


「斬りんす?」


「ああ⁉︎ ごめんなさいシクティス! 気にしてたんですね⁉︎ いつも気丈に振舞っていたのはやせ我慢だったんですね⁉︎」


「……死刑」


「三回くらい斬ってくれるかしら? わたくしとシクティスの私怨も籠めてね?」


「ふふ……もう斬りんした」


「え――ひゃぁあああああ⁉︎ ふ、服がっ⁉︎」


「……見事」


「やるわね? キリリス。鎖の上から服だけを斬るなんて」


「ふふ……造作もありんせん。首を刎ねるより楽でありんすよ?」



 むぅ……太刀筋が全く見えなかった。それに、どうやって鎖の下まで斬ったの?

 やっぱりあの刀が……それともキリリス様の技量が優れているから? どちらにせよ、敵じゃなくて本当に良かった……

 でも、カリンはどうするつもりなのだろう? まだエイリーン様を追い詰める? さっきは勢いで言ってしまったけど、私一人で天界をまとめるのは難しい。


 エイリーン様を消すつもりなら、私も黙っている訳にはいかない。



「……そう。エイリーン? そろそろ自分の立場が分かったかしら?」


「くぅ……カリンさん! こんな事していいと思ってるんですか⁉︎ いくらフィオ様の使徒でも横暴が過ぎますよ⁉︎」


「貴女の代わりは居るわ? けど、フィオの代わりは居ない……それだけよ?」


「その思想……やはり貴女が一番の危険人物です! 貴女さえ居なければ! エイリーンがフィオ様の隣に――」


「言葉は選びなさい? ヤンデレ色魔。うちのメイドにしてもいいのよ?」


「ど、どういう意味ですか⁉︎ そんな脅し文句聞いたことありませんよ⁉︎」


「……分かり難かったかしら? まぁ、わたくしが言いたいのは貴女に拒否権なんて無いって事よ?」


「脅して従わせる……それが貴女のやり方ですか? その程度でエイリーンがフィオ様を諦めるとでも?」


「諦めて貰う必要は無いのだけど……面倒ね? 単刀直入に言うわ? フィオを『特派』へ編入しなさい」


「は、はぁ? フィオ様はつい先日、干渉局に復帰したばかりですよ? それに、なぜ貴女がフィオ様の役職に口を出すのです!」


「わたくしが何をしようと貴女には関係無いわ? エイリーン。死ぬか生きるか……フィオを諦めるか諦めないかの二択よ?」


「諦めません! 必ず貴女からフィオ様を取り戻して――」


「良い子ね? なら、早く帰ってやるべき事をやりなさい……キリリス?」


「さ、最後まで聞いてくださ――ひぃ⁉︎ ……あ、鎖が」


「ふふ……斬りんした」


「これで動けるでしょう? 早く帰りなさい。それとも……わたくし達と一戦交えるつもりかしら?」


「……お、覚えてなさい! カリンさん――いえ、カリン! エイリーンを逃した事、絶対に後悔させてあげます……《転移》!」



 口を挟めなかった……しかし、これでは完全に敵対してしまう。今はカリンに敵意が向いているけど、下手したら私だって……

 カリンの意図が読めない。仲間を集めるのでは無かったの? フェリスに対抗する為、七階位を味方につけるという計画だったはず。

 まさか……エイリーン様はフェリス側? どうあっても味方にはなり得ない存在? 油断した……その手の存在がいる事を考慮していなかった。


 流石はカリン。私も負けていられない……まずは任せられた役割をきっちり熟さなければ。

 私が任されたのは――本契約? あ、あぅぅ……



「……《転移》! ……て、《転移》」


「言い忘れていたけど、貴女とフェリスは『経験の園』で《転移》禁止よ? 勝手に荒らされたら困るもの」


「そんな⁉︎ ど、道理でフィオ様の領域に入れないと思ったら……」


「どうしてもと言うなら……フィオに頼みなさい? 勿論、その格好のままでね?」


「うぅ……そ、それは……」


「あら? そんな度量もないのかしら? 大きいのは口と胸だけね」


「くぅ……フィ、フィオ様ぁ〜! エイリーンにも……エイリーンにも《転移》させてくださ〜い!」






***






「行ったわね? これで鬱憤は晴れたかしら? シクティス」


「わ、私は……別に」


「嘘をおっしゃい。わたくしは貴女の気持ちが良く分かるわ? 周りは皆大きいもの」


「……確かに。ニールもウルも大きい」


「そう。キリリスもウーナも立派だわ?」


「ふふ……わちきは獣人でありんす故」


「わ、私は……メイドでございますから」


「ん……関係ない」


「そうね? この世は不条理な事ばかりだわ?」



 カリンからの信頼を感じる。け、けどこんな事で信頼感が芽生えても……納得がいかない。

 なぜこの肉体は胸が小さいのか……水精霊の体なら融通が利くのに――あれ? 私が精霊形態になったらこの信頼も無くなるの?

 ま、不味い……カリンの前では体型を変えない方がいいかもしれない。けど、彼には喜んでもらいたいし……


 私はどうすればいいの? いや、今は仕事に集中して――本契約……あ、あぅあぁ……



「さて、面倒事も終わったし……わたくし達も行くわよ? シクティス」


「ん? 行くって……どこへ?」


「勿論、フィオの所よ? 新しいベッドの使用感を確かめるの」


「い、行かない!」


「イクのよ」


「ふふ……わちきもフィオ坊と――」


「キリリスはダメよ? まだやって貰う事があるもの」


「……斬りんす?」


「あら? わたくしとやる気かしら?」


「ま、待つ! 仲間割れは良くない!」


「シクティスの言う通りです、カリン様。ここは私の舞に免じてお許しください……いざっ!」


「ま、舞わなくていい! ……そうやってすぐ脱がない!」



「キリリス。わたくしを視なさい」


「なにを――っ⁉︎……そ、それは事実でありんすか?」


「事実だわ? だから、戦闘要員の貴女はまだダメなの」


「むぅ……仕方ありんせん」


「その分、きちんと報いるわ? フェリスを打倒した――いえ、天界を支配した暁にはね?」


「その言葉……忘れないでおくんなし? わちきはカリン嬢の駒じゃありんせん。フィオ坊の狐でありんす」


「そうね? ……ああ、触れ合うのは構わないわよ? フィオの体を好きにする分には――」


「それを早く言いなんし! ほら、わちきらも急ぎ向かいんしょう?」



「カ、カリン! ウーナが止められない!」


「シクティス! 私が舞っているのに音を奏でないとは何事ですか⁉︎ 【人形劇】でございます!」


「や、やめて……演奏したくないのに――」


「はぁ……シクティス? ちゃんと自分からフィオの所に行くのよ? 『誓約』も忘れないでね?」


「んん⁉︎ ま、待って! 置いて行かないで!」


「……行くわよ? キリリス。まずはわたくし達の行為を見ているといいわ?」


「ふふっ……胸が躍りんす」


「カリン⁉︎ 待って! ウーナを止めて!」


「さぁ、シクティス! 朝まで踊り明かしますよ?」


「な、長すぎる!」



 は、早く【人形劇】から脱出しないと……でも、この糸が全然凍らない!

 ウーナに私の【氷嵐】は効かないし……ほ、本当に朝まで付き合わなくてはいけないの? 今この瞬間にも仕事が溜まっているのに?

 か、帰りたくない……戻ったら絶対エイリーン様に怒られる。ただでさえ敵対気味なのに……


 助けて……フィオドール。ああ……でも、会ったら『誓約』が――

これにて三章完結です。

次は閑話を投稿いたします。

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