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局長からの依頼




「落ち着きましたか? リーリアさん」


「は、はい。お見苦しいところをお見せしました……」


「くぅ……千載一遇の好機が」


「では改めて、干渉局の局員に聞いた『リーリア局長のここがダメ』を報告します」


「そんなっ⁉︎」


「ご主人様、あまりリーリアを虐めるなよ? 見たら分かると思うが……冗談が通じない」


「ふむ、『リーリア局長に似合いそうな下着の色』でしたか?」


「あぅ……」


「冗談は――待て。本当に聞いて来ていないだろうな? ご主人様ならやりかねん……」


「残念ながら……聞きそびれてしまいましたね。さて、本題は――」


「あ、あの! フィオ先輩は……何色が似合うと思いますか?」


「ッ!……ッ‼︎ ……ガァ!」


「そうですね――ウル? うるさいですよ。壁を殴るのはやめてください」


「何なのだ⁉︎ どうして今のやり取りでこんな空気になる⁉︎」


「えっとぉ……フィオ先輩?」


「そうですね……個人的には白、いや淡い黄色もいいですね。思い切って赤い下着でも――」


「赤はダメよ。わたくしの色だもの」


「そうでしたね。でしたら私のオススメは淡い黄色です」


「さ、参考にします! 淡い黄色……」


「では調査した内容を――なんですか?ウル……服を引っ張らないでください」


「い、今カリン様がいなかったか⁉︎ 現れて一瞬で消えなかったか⁉︎」


「……疲れているのですか? ニールさんと一緒に寝ていても構いませんよ?」



 このところずっと働き続けていますからね……そろそろ休養が必要でしょうか?

 ウルには頼み事をしやすいので、ついつい仕事を任せてしまうのです。ウルに倒れられてしまっては困りますからね……無理はしないでください。



「すまない……少し自室で休ませて貰う」


「ニールさんは――」


「ワシは起きとるのじゃ! ちとフラフラするがの……」


「では、しばらく私の補佐は交代して貰いましょうか」


「申し訳ありません。ニール様……ご主人様をお願いします」


「うむ! お主は働き過ぎじゃ。ここはワシに任せて、しっかりと休むのじゃぞ?」


「はっ! 失礼します……《転移》」



「よし、ワシは何をしたら良いのじゃ? 主人様?」


「そうですね……特に何も」


「む……案外、主人様の補佐とはやる事が無いのじゃな」


「ええ、ニールさんはどっしり構えていていただければ」


「なるほど。それなら得意じゃぞ? 任せるのじゃ!」



 臣下時代のウルもこんな気持ちだったのでしょうか……ニールさんには動いて欲しくありません。

 計画の邪魔に――ではなく、悠然と構えている方が似合いますからね。ただそこに居るだけで安心感があります。

 私もそういう立ち位置が良かったですね……何がいけないのでしょうか? 気質は十分備えていると思うのですが……



「黄色の……あ、あれ? ウルさんは……」


「ウルは休養をとりに行きました。リーリアさんは疲れていませんか?」


「わ、私は大丈夫ですよ! フィオ先輩!」


「……本当ですか? 顔色が優れない様に見えますが――」


「む? そうかの? むしろ血色が良すぎると思うのじゃが」


「あ、あの……近いです。フィオ先輩……」


「どうでしょうか? 私と一緒に休憩をとりませんか?」


「ワシも一緒に休んで良いかの? 一人だと暇でかなわん」


「ニ、ニールさんが見ていますので!」



 存在感……存在感を消してください。ニールさん、主張が激し過ぎませんか?

 こういう時にウルだったら気配を消してくれたりするのですが……ニールさんは影に潜む事もできませんしね。

 方針を変えるべきでしょう。ここは個人プレイではなく、ニールさんと二人で攻めるというのはどうですか? ニールさんも使徒ですから、私の意図を汲む事が出来るはずです。



「くくっ……任せるが良い。主人様」


「ふふ、頼りにしていますよ? ニールさん」


「……あ、あの?」


「これは失礼しました。リーリアさん……休憩ですね?」


「い、いえ! そろそろ報告をお聞きしたくて……」


「……そうでした。干渉局に対する不満調査をして来たのです」


「不満調査……ですか?」


「くくっ、リーリアよ……お主も不満が溜まっておるのではないか?」


「具体的には『もっと仕事が欲しい』や、『温泉が欲しい』などですね」


「仕事……観測課でしょうか? けど、流石に温泉は難しいです……」


「主人様と温泉でさっぱりしたらどうじゃ? 裸の付き合い、という文化もあるのじゃぞ?」


「それと、介入部の装置……『介入補助装置』でしたか? あれを使わずに介入できる様にして欲しい、との声もありましたね」


「は、裸の付き合い……ダメです! そんなの……エ、エッチですよニールさん⁉︎」


「何を恥ずかしがる必要があるのじゃ? 主人様に身を任せよ。さすれば欲求不満は――ふにゃぁああああ⁉︎」



 ニールさん……今ではありません。今の私は『頼れるフィオ先輩』モードです。

 リーリアさんに良い所を見せ、魅了した上で堕とします。いきなり口説いたところで、リーリアさんは恥ずかしがり屋ですからね……おそらく逃げられてしまうでしょう。

 まずは思考能力を奪う事から始めるのですよ? 分かりましたね?



「そんなことせずとも……リーリアは――うにゃぁあああああ⁉︎」


「分かりましたね?」


「わ、分かった!心得たのじゃ主人様!だから尻尾はやめて欲しいのじゃ!」


「……し、尻尾ってそんなに気持ちいいんでしょうか?」


「ふむ、リーリアさん。先の件ですが……検討していただけますか?」


「はぇっ⁉︎ い、一緒に温泉ですか⁉︎ ……それとも尻尾ですか⁉︎」


「『介入補助装置』の件ですね」


「あっ……す、すみませんフィオ先輩! 私ったら……」


「今じゃろ……今じゃろあるじさ――みゃぁあああああ⁉︎」



「すまないご主人様……やはり心配で眠れなくて――ニール様⁉︎」


「ウ、ウル……ワシはここまでじゃ……主人様を、頼む――」


「ニール様ぁあああ⁉︎ い、一体何があったのですか⁉︎」



 落ち着きなさい。ウル……ニールさんは気を失っただけです。いつもの事ではありませんか?

 今から『介入補助装置』の件をリーリアさんと話し合いますので、貴女も参加してください。



「くっ、真面目モードのご主人様か……分かった」


「ウルは良い子ですね。さぁ、リーリアさん?」


「は、はい! あの装置の件ですね!」


「そうです。確かに安全性が高いのは理解しましたが、任務の成功率が落ちている様ですね?」


「うっ……そうなんです。どうしても高位天使の出力に耐えきれないみたいで……」


「天使の消滅を防ごうとするのは良い事です。しかし、介入に失敗して強力な力を持った者が魔界へ墜ちてしまえば……天魔大戦での被害が大きくなってしまうのですよ?」


「お、おっしゃる通りです。でも……私の命令で天使が死んでしまうのが怖くて」


「ふむ……それも局長の責務であると思いますが……」



 リーリアさんは若いですからね。通常なら新人天使でもおかしくない年齢です……もちろん、天使としての年齢ですが。

 天魔大戦がある以上、戦いに関わらない者はいません。つまり、誰しもが消滅とは隣り合わせなのです。残虐非道になれとは言いませんが……七階位としての立場を忘れてはいけませんよ?



「ご、ご主人様……」


「どうしましたか? ウル」


「いや、その……格好いいぞ」


「……急にどうしたのです? ウル、やはり疲れて――」


「で、でもフィオ先輩! 天魔大戦の被害は私たち七階位が抑える……それもまた責務ではないでしょうか?」


「その通りです。そして干渉局内の決定権はリーリアさんが持っています。私に出来るのはこうして助言をする事と……いざとなった時に皆さんを守る事くらいですね」


「あぅ……フィオ先輩」


「はぅ……ご主人様」


「私は局長補佐。リーリアさんの代わりに責任を負う事も出来ますから、失敗を恐れる事はありませんよ?」


「フィオ先輩……ありがとうございます! 実は最近、介入の成功率が下がってしまってエイリーン様から――」


「お腹が痛いので帰ります」


「あぇえ⁉︎」


「……帰ろう。ご主人様」



 エイリーンさん……エイリーンさんの名前が出て来ましたね? 彼女が関わってくるのなら話は別です。

 帰ります。『頼れるフィオ先輩』モードも終わりです。私はハーレム計画を進めなければならないのです。

 エイリーンさんの前で『責任は私が負います』なんて言ってみてください。良くて軟禁……最悪の場合、彼女以外愛せない体になってしまうでしょう。



「オレは今でも覚えてるぞ……『【重鎖】乱心』だ」


「『天界引き回し事件』ですね……私も堕とされる寸前でした」


「えっ……あの、何が……」


「リーリアさんが天使になる前の事件です。理由がありまして、私はエイリーンさんとの相性が良くありません……帰ります」


「そ、そんな⁉︎ 待ってくださいフィオ先輩!」


「行くぞ。ご主人様……その、さっきは格好良かった。か、帰ったらオレを抱いても――」


「このままじゃ……わ、私はいつになったらフィオ先輩と……うぅ」


「くっ……リーリアさん」


「い、行くぞ? ご主人様……惑わされるなよ?」


「私だって……フィオ先輩と二人きりで……」


「ふむ……続きをどうぞ」


「ご主人様⁉︎ 騙されるな! あれはエイリーンの手口と一緒だぞ⁉︎」



 大丈夫ですよ、ウル。リーリアさんはエイリーンさんとは違います。私を拘束する事も、私を精神的に墜とそうとする事もないでしょう……

 それに、ハーレム計画で次に堕とすのはリーリアさんなのです。ここで逃げてしまっては計画に遅れが出てしまいますからね。



「フィオ先輩っ!」


「私に頼りたい事があるのですね? お任せください。リーリアさん」


「くぅ……オレの誘い方が悪かったのか? も、もう少し女らしく……」


「フィオ先輩、私のお願い……聞いてもらえますか?」


「もちろんです。お話をお聞かせください」


「仕方ない……次だな。次にご主人様が真面目モードになった時、勝負を仕掛ける」


「はい! 実はエイリーン様から――」



 問題はエイリーンさんがどこまで関わってくるのか……直接会う事は避けたいですね?

 私の計画上、避けては通れないのですが……今ではありません。それに私は堕とされたいのでは無く堕としたいのです……どうか彼女と遭遇する依頼ではありませんように……

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