閑話 平行する計画
「失礼いたします。フェリス様……我が主人、フィオドール様よりお届け物です」
「うーん? フィオちゃんから? ご苦労様――って貴女誰だっけ?」
いつも通り私――フェリスの領域で休んでいたらお客さんが来た。
フィオちゃんからの届け物? それにこのメイド……どっかで見た事ある気がするんだけど、思い出せないなー?
「これは失礼いたしました。私、フィオドール様専属メイドのウーナと申します」
「……ウーナ? ああ、元天使の……大変だね? でも罪はしっかり償わなきゃね?」
「……はい。もう二度と反乱など考えられない様……我が主人に調教していただきましたので、ご心配には及びません」
「あはは……まあ、命があるだけマシじゃない? 私だったら絶対消しちゃうなー」
そうだ……思い出した。私の弟を消そうとした馬鹿な天使だ。今はフィオちゃんの温情で生かされてるけど、何かヘマしたら私が消すから。
フィオちゃんに敵対するなんて、私に逆らっている様なものだからね? ……っと、最近また力の制御が甘くなってるから気を付けなきゃ。
睨んだら消滅させちゃうかもしれないし……
「……左様でございますか。こちら、我が主人より届ける様に依頼された物でございます」
「おっとそうだったね? 確かに受け取ったよ。贖罪、頑張ってね」
「ご忠告痛み入ります……では、これにて失礼いたします」
「んー」
ウーナと名乗ったメイドが《転移》で消えた。
ふーん? 私を前にしても臆せず動けるなんて、随分力が残ってるんだね? もう天界から聖力は供給されてないはずなんだけど……
まあいいや。今はフィオちゃんからの届け物の方が気になるし! わざわざ袋に入れちゃって……中は何かなー?
「……わ、私のパンツ?」
そ、そういえばフィオちゃんに盗られたままだったなぁ……
まさか私の障壁を突破するなんて思わなかったし、そこまで求められて悪い気もしなかったから……そのままにしちゃったんだよね。
「フィオちゃん使ったのかな……ちゃんと洗ってあるよね?」
自分のだし、匂いを嗅いでも大丈夫――
「えっ……嘘⁉︎」
これはフィオちゃんの匂い! フィオちゃんの匂いが染み込んでる……本当に使ったの? お姉ちゃんのだよ? それにこれ――
「ちょっと破けてる……」
嘘でしょ……私の聖力で編んだ下着だよ? どんだけ激しくしたら損傷するの? そ、そんなに興奮したんだ……ふ、ふーん?
「《完全知覚領域》!」
よし、周囲に誰も居ない――
「んもー! フィオちゃんそこまでするならお姉ちゃんのこと抱いてよぉおおお!」
私の事好きなら言ってくれればいいのに! お姉ちゃんはいつでもウェルカムなのに! もう自分から言っちゃおうかな? 絶対嫌われてはないよね?
でもなぁ……ここまで育てたのに最後が自分からってのは違うよねぇ……やっぱ押し倒してもらわないと。こう『もう我慢できない!』って感じでさー?
「もうちょっとかなぁ?」
多分そろそろだと思うんだよねー。フィオちゃんも十分強くなったし、もうお姉ちゃん以外に止められないんじゃないかな?
キリリスがこそこそ動いてるみたいだけど……無駄だから。
フィオちゃんは生まれた時からお姉ちゃんのモノ。私の弟で、私の恋人候補。私とフィオちゃんだけで天界が維持できる様になったら――
「邪魔者は要らないよね」
天界を私とフィオちゃんの愛の巣にする……それが私の計画。ちょろちょろ鬱陶しいんだよね……私のフィオちゃんにお情けを貰ってる使徒も、色目を使う他の天使も。
そこのお前の事だよ―――
「今は帰ってもらえるかな……【影狼】のウル」
「……」
「残念だけど、私にその能力は効かないよ。というか一人で私の所に来るって死にたいの?」
「……」
「んー?なんで何も言わないの?フィオちゃんの使徒だからって油断しない方が――っ⁉︎」
……消えた? 私に感知されずに?《完全知覚領域》に入って来たのは感知できた……なんで消える時だけ?
それに存在が希薄すぎた……あれじゃまるで死人の様な――
「……ま、いっか」
どうせ何もできないでしょ。今の時点で天界中の天使と敵対しても私が勝てちゃうし、時間は私の味方……害してくれるなら消す口実が出来て万々歳かな?
でも何しに来たんだろ? もしかしてまた届け物とか? だとしたら悪いことしちゃったかな……うーん、フィオちゃん以外の事は考える気になれないなぁ……
「どうでもいいや! フィオちゃんの匂い嗅ぎながら寝よーっと」
本当はフィオちゃん本人と一緒に寝たいけど、もう少しの辛抱だから。
んふふ……お姉ちゃんの誘惑に勝てるかなぁ? フィオちゃん?
チリン――




