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水精霊の仮契約




「――む、シクティに呼ばれた気がする」



「何を言っているのですか? フレイヤ様……そんな事言っても逃がしませんからね」


「いや、シクティが助けを求めている気がしたのだ」


「はぁ……ダメです。今日こそは《転移》を使える様になっていただきますから」


「むぅ……どうしても使えなくてはいけないのか? 走れば良いだろうに」


「七階位で《転移》を使えないのはフレイヤ様だけです。私もフレイヤ様の使徒として、主人の不得手をそのままにしたくありません」



「しかし聖術は苦手でな……《転移》!」


「熱っ⁉︎」


「また失敗か……炎は出るのだがな」


「逆にどうやったら《転移》で炎が出せるのですか? すごいですフレイヤ様」


「む、そうか? ならばもう一度……《転移》!」


「熱っ⁉︎」


「炎を出す聖術としては成功ではないか?」


「《転移》を火系統の聖術に変えてしまうとは……流石ですフレイヤ様」


「ふっ……褒めても何も出んぞ? そら!《転移》だ!」


「熱っ⁉︎」






***






「フレイ……助けて……」


「覚悟を決めなさい? シクティス。フィオのキスはすごいわよ?」


「力を抜いてください、シクティスさん」



 彼が近付いて来る……私――シクティスと仮契約、口付けをする為に。


 だ、大丈夫……本契約とは違って仮契約はただの口付け。こんなの人間からしてみれば挨拶みたいなもの……恋人同士なら、だけど。

 彼と……恋人になるの? で、でも私は七階位で……けどリーリアが……もし彼女が本当にフィオドールと……エ、エッチな事をするなら七階位の意地なんて張る意味がない。


 そう、リーリアよりは軽い行為だから。まだ仮契約なら取り消しもできる……これも情報を引き出す為、仕方なくだから……



「ん……フィオドール、来て」



「何を言っているのかしら? 貴女からするのよ? シクティス」


「んん⁉︎」


「当たり前でしょう? わたくし達は帰ってもいいのよ?」


「ちょ、ちょっと待つ!」



 私からするの⁉︎ そんな破廉恥な……いや、ここでやらなきゃ本当に帰ってしまう……これも情報の為よ、シクティス。



「ん……今度こそ」



「何故、服を着たままなのかしら? シクティス」


「んん⁉︎」


「キスをする時は服なんて着ないわよね? フィオ?」


「それは――着ませんね」


「お、おかしい! 絶対におかしい!」



 わざわざ服を脱いでからキスするなんて聞いた事ない! 仮に脱いでするとしても、それはエッチする時のキスで……だ、だめ。きっとこれもカリンの策……



「カリン……初めては普通のがいい」



「ふーん? ……精霊らしくないわね?」


「わ、私は風変わりな精霊だから……お願い」


「そうね……いいわ? でも貴女からするのよ?」


「ん……それは大丈夫……フィオドール、する」



 これ以上何か言われる前に仮契約をしてしまおう……次はキスをする場所まで指定されてしまうかもしれない……



「そ、そのまま……目は開かないで」


「ええ、どうぞ。シクティスさん」



 彼が両腕を広げ、私を待っている……背伸びしないと届かない。綺麗な彼の唇――



「ん……っ……」



 し、しちゃった……私の唇に柔らかい感触が伝わる。温かい……これが、キス――



「今よ、フィオ」


「んぅ⁉︎」



 彼に抱き締められた――それに舌が⁉︎ 彼の舌が入ってきて⁉︎



「ん……ぅ……」



 な、何これ……口の中、私の舌も余す所なく彼に舐められている。

 彼の舌が口内をなぞる度、脳の奥が痺れる様な……



「っ⁉︎」



 彼の手が服の中に! だ、だめ! それはだめ……止めたいのに体が動かない。

 それどころか力がどんどん抜けていく……な、なにこれ……


 だめ……もう――






***






「聞こえてるかしら? 洪水精霊のシクティスさん?」


「っ……ぁ……」


「やり過ぎてしまったでしょうか?」


「……そうね。壊れてしまったわ?」



 シクティスさんの反応が良かった為、私も止められなくなってしまいました……

 本来は仮契約の後、私達の計画をシクティスさんに話す予定だったのですが……これでは話を聞ける状態ではありませんね? 私の失態です。



「まぁいいわ? このまま『経験の園』へ運んでしまいましょう」


「……よろしいのですか?」


「仮契約は済んでいるし、フィオの領域なら逃す心配も無いわ?」



 それはそうなのですが……シクティスさんは天界の頭脳。彼女がいないと天界の統治に支障が出てしまうのではないでしょうか?



「【重鎖】のエイリーンがいるわ? それに、シクティスは少し休むべきよ」


「……そうですね。今のシクティスさんを放っておく訳にもいきませんし、エイリーンさんには後で詫びましょう」



 それにいざとなったらフェリス姉さんが何とかしてくれるでしょう。

 ああ、そういえば姉さんに御守りを返しに行かなければいけませんね……洗ってから返せばいいのでしたか?



「さあ……帰るわよ? フィオ。後はわたくしに任せて、しっかり休んでちょうだい」


「お言葉に甘えます……カリンさん」



 聖力を回復させるには寝るのが一番ですからね……御守りの返却はメイドに頼みましょう。今は休息が必要です。

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