表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/201

想い一撃




「シッ――」


「……ほう?」



 【腐敗】を発動したワシ――ニールの爪に触れて形を保ったままとは……あの槍、かなりの業物じゃのう?【魔槍】のギグニじゃったか?よく能力を使い込んでおる。


 【魔槍召喚】は珍しい能力では無い……むしろ魔族ではありふれた能力と言えるじゃろう。

 しかし、召喚される槍は形、付属効果共に千差万別……一つとして同じ物を見た事が無い故、【経験】の耐性には期待できんのう。主人様ならまた話は別なんじゃろうが……



「ハッ!」


「ふむ……」



 直槍……素槍じゃな。形状はそこまで厄介では無い。まぁ無手に対しての槍というだけで十分厄介なのじゃが……問題は――



「ッ! セイ! ヤッ!」


「……ちっ」



 この『三段突き』じゃ。間合いを完全に見切られておる。この者……槍術家としても優秀なのじゃろう。槍の退きが速く、いつまで経っても間合いを詰められん。

 ワシの一挙手一投足に反応し、刻一刻と構えが変わっておる……良い、良いぞ? これはあの【魔槍】の効果によっては、ワシでも討たれてしまうやもしれぬ。やはり闘争とはこうで無くてはな……



「フッ――《火炎球》!」


「それは効かぬ」


「……チッ」



 今度は退き際に《魔術》を放ってきおった。なるほど……【経験】以外には良い手じゃ。

 近中距離での槍、更に一歩引いた距離からの《魔術》……完全にワシの間合いには入らぬつもりじゃな。


 ここは【腐敗】の最高出力でも良いのじゃが……これだけの武芸者を力押しというのも味気ない。

 かと言って技を競い、傷を負おうものなら……後でカリンに何を言われるか分からん。あやつは効率重視じゃからのう……



「《雷装》《迅速》……三段突きィ‼︎」


「むっ⁉︎」


「ッ……まだ届かんか」



 付属効果と身体強化による変調……多彩じゃな。考え事をしていたせいで、危うく一撃もらう所じゃった。

 やはり得物が無いのは不便じゃのう……かと言ってワシの【腐敗】に耐えられる武具など、得ようと思って得られる物では無い。


 【天狐】に頼んでみようかのう……奴のような刀でもあれば、また違った戦いが出来るのじゃが……



「ッ⁉︎《強撃》《背水》《集中》《即応》……」


「……多彩じゃの?」


「《風纏》《炎手》《加速》、《決死》!」


「何? ……《決死》じゃと?」



 《決死》は次の一撃に自身の魔力を全て乗せる、下級悪魔御用達の魔術だったはずじゃ。効果は威力倍増……破格じゃが、当然代償がある。

 それは自身の消滅……故に、天魔大戦で捨て駒にされる悪魔共しか使っている所を見ておらん。


 それにどんな一撃でも繰り出してしまえば、当たらずとも効果は発揮される。ワシが避ければ無駄撃ちじゃぞ? 奴は一体何を考えておるのじゃ……



「お主、何を――ッ⁉︎」


「はぐじゃぐ……いまでず‼︎」



 此奴――生き残った魔族が居たか⁉︎ 腐った体でワシを拘束するとは……何という執念じゃ。



「【魔槍解放】! うぉおおおおおおおおお‼︎」


「はぐしゃぐ――ゴホッ」



「見事じゃ」



 実に美しい一撃じゃ。これに討たれるのなら……悔いは無いのう。






***






 手に伝わる衝撃……奴の目を狙った一撃は、部下の助けもあって確かに届いた。


 【魔槍解放】は魔槍の効果を解放、発揮するだけの能力……俺の魔槍は傷付けた相手の聖力・魔力を流出させる効果を持っている。《決死》まで使った全身全霊の一撃。例え槍で仕留め切れずとも、槍の効果で致命傷を負わせる事ができる。


 結局最後まで情けない姿を見せてしまった……俺の一撃を届かせてくれた部下は、既に光へと変わってしまっている。

 俺の体も粒子化が始まっている……《決死》か。まさか自分が使う事になるとは思わなかった。だが……部下と共に逝けるのだ、悪くない。


願わくば――



「……傷くらいは負わせたかったものだ」



「いや、実に見事な一撃じゃった。もう一つの能力が無ければ、ワシは討たれていたじゃろう」


「……貴様に急所は存在しないのか?」


「そうじゃな……思い当たらん。ワシの能力を超える他あるまい」


「伯爵級の《決死》以上か……化け物が」



 すまない、お前達……仇を討つ事すら出来なかった。あれだけお膳立てされていながら、傷を負わせる事も出来なかった。

 こんな俺でも……お前達と同じ所へ行けるだろうか? もし、また会えたら謝らせてくれ……そして今度こそ、お前達の上官として恥じない活躍を――



「じゃが槍術は目を見張るものがあったのう……次はワシに届く槍を持って参れ」



「はっ、誰が貴様なんかと――」



 二度と、戦うものか――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます

ブックマーク・評価・感想などいただけますと
作者が非常に喜びます!よろしくお願いいたします

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ