表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/201

気になる狼




「さて、どやって都市の中に入りましょうか」


《……? あの列に並ぶんじゃないのか?》


「個人的に、あのむさ苦しい列に並びたくないのです。展開されている結界の種類は分かりますか?」


《対物理、対術、防諜――》


「【識別】」


《……オレにはニール様みたいな趣味は無いぞ。優しいのが好きだ》



 ふむ……転移阻害の結界は無いのですか。都市の場所さえ分かってしまえば、《転移》で好きに行き来して良い……という事なのでしょうね。

 では、私もお邪魔するとしましょう……壁を越えるくらいなら【空間跳躍】で十分です。



「【空間跳躍】」





***





《こっちだ。件の魔族は、闘技場の受付にいた》


《このまま案内をお願いします ……しかし、本当に人間界の様な街並みですね》



 木は魔界で貴重ですから、恐らく土を材料に作られているのでしょう。それでも頑丈そうな建物がずらりと並んでいます。

 ……おや? この匂い、まさかあれは『酒場』ですか? 嗜好品にまで手を広げているとは……ここが魔界とは思えない程に豊かな生活様式ですね。



《それでも、自らの行いを悔やんで自死する魔族もいるのだろう? そういう者が集まれば――》


《そういう魔族はほんの一握りですよ。この都市に一人いるかいないか……そのくらい少数派だという事は覚えておいてください。魔族によっては、情に訴えかける様な策も使いますので》


《油断するな……という事か、分かった。闘技場へはこの大通りを真っ直ぐ行けばいい、迷う事は無いだろう》


《そうですか。では今のうちに『何故、魔界での《転移》は消耗が激しいのか』についてお話ししましょう》


《ああ、気になっていたんだ……頼む》


《理由は単純です。『魔界では聖力が供給されないから』……これに尽きます》


《そうか……》


《はい……》



《……えっ、終わりか⁉︎ それだけなのか⁉︎》


《何ですか、欲しがり屋さんですね? そう言えば、私はまだウルから返事を貰っていませんね……》


《返事? ……何の返事だ?》


《ほら、以前に私と魔族の違いについて話した時です。私は『愛している』と伝えたのですが……返事を貰っていません》


《き、汚いぞ! そこまでオレの口から言わせたいのか⁉︎》


《いえ、その……いつもはまともな思考が出来ていないウルからしか聞けないので……》


《な、なんだ? 急にそんな弱気になるなよ……分かった……オレもお前を愛している》


《…………》


《な、何か言ってくれ……オレだって恥ずかしいのを我慢して伝えたんだ!》


《私達天使は自身で聖力を生み出していますが――》


《そうなんだが⁉︎ そうじゃ無いんだ! いや、やっぱりそれでいい。変な雰囲気になる所だった……》



《ふふ……私達天使は自身で聖力を生み出していますが、余剰分は周囲へと発散しています。必然的に天使が多い場所では聖力が満ちる事になり、天使達にとって過ごしやすい環境が出来上がるのです》


《聖力が満ちていると天使は過ごしやすいのか……》


《ええ、周囲の聖力を自身に取り込む事も可能です。基本的には自分から発生する聖力で賄えますが……そして、これは悪魔や魔族も同様です》


《なるほど、では魔界は魔力で満ちているのだな?》


《はい、そして聖力と魔力は相反する性質を持っています。なので、魔力が満ちた魔界で天使が《転移》を使おうとすると……》


《周囲の魔力に阻害され、普段以上に消耗する……または使用することができない。合っているか?》


《その通りです。まだ興味があるならシクティスさんに聞くといいでしょう。彼女は知識に貪欲ですから》



《そうしよう。奴なら恥ずかしい告白などしなくても教えてくれそうだ……おい、着いたぞ? ここが受付だ》



 おや、闘技場と思わしき大きな建物の手前……こちらの小さな建物が受付でしたか。

 ここまで来たのですから、一度闘技場に入ってみたかったのですが……この様子だと女性は居ませんね、周りは男ばかりです。受付も男、早く出ましょう。



《まだ居たな……あの赤い鬼人族の男だ》



 周りに他の魔族が居なければ、私も楽ができたのですが……流石にそう上手くは行きませんか。

 ウル、一応周囲を警戒しておいてください。耐性を持っている者がいた場合、騒がれないうちに消しますので。



《分かった。いつでもいいぞ》


「【時間停止】」


《……居ないな。誰も気付いていない》



 では、後は作業です。早く終わらせてカリンさん達の所へ戻りましょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます

ブックマーク・評価・感想などいただけますと
作者が非常に喜びます!よろしくお願いいたします

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ