魔界を舞う
《カリンさん、言い忘れていたのですが……キリリスさんが居ます》
《知っているわ? フィオ。シクティスから聞いたもの》
《おや、もう干渉局に着いていらしたのですか》
《ええ、今シクティスから話を聞いているわ。それで? キリリスは何か言っているかしら》
チラリと、キリリスさんの様子を窺ってみますが……相変わらずニコニコ微笑んでいるだけですね。
ああいう方の焦った表情が見たいと思うのは、私だけでしょうか?
突然声を掛けられ、そのまま私に唇を奪われるキリリスさん。思わず突き飛ばそうとするも、私は【部分幽体】を使いその手を躱します。
そしてそのまま私のベッドへ強制転移……尚も必死に抵抗をするキリリスさんを【侵食】で蝕み、徐々に抵抗する力を奪っていきます。
一分か一時間か……感覚が麻痺しまう程濃厚なキスが終わり、好き放題【絡舌】で口内を嬲られた彼女の表情は――
《狐は特に何も言って来ません。カリン様》
《そう? それはいい事を聞けたわ。キリリスが邪魔して来る様なら、計画が大幅に遅れていたもの。フィオ……まだ手を出してはダメよ?》
《……もちろんです。カリンさん》
《そんな悲しそうな声を出さずとも、いずれ皆ハーレムの一員になるわ? そうね……時間がある時にでも、計画の全容を共有しましょう》
《何じゃ? 計画に変更でもあったのかの?》
《そうね、ニールは寝ていたものね? 後でちゃんと話すから、今は黙っていて貰えないかしら?》
《むぅ……カリン。もしかしなくとも、順番を守らなかった事を根に持っておるじゃろ?》
《…………》
《まあ? ワシが魅力的すぎる事が罪なのじゃ。あまり主人様を責めるでないぞ? この身体を前にした男は、皆そうなってしまう定めなのじゃ》
《ニ、ニール様? そろそろ抑えてくださいませ……》
《何故じゃ? ウル。お主も、主人様の事が欲しかったら誘惑したら良いのじゃ! 主人様は来る者を拒まぬ、そもそも三人しかおらぬのに順番を気にする方が――》
「上等だわ? この泥棒猫ッ!」
「のわぁああああああああああああ⁉︎」
《カリン様、オレはちゃんと順番を守ります……守りますから……》
ニールさんがあっという間に蝶塗れになってしまいました。使徒達の仲が良好な様で、私も嬉しい限りです。
「ぁんっ……こ、こらカリン! 尻尾はやめるのじゃ! ……ひゃっ⁉︎ 服の中に⁉︎」
「フィオから聞いているわよ? 責められるのが好きなんでしょう? 望み通り、身体も心も汚し尽くしてやるわ」
「くぅ……あ、主人様! 見ていないで助けて欲しいのじゃ! ……あっ」
《早く止めてくれご主人様! このままではニール様のあられもない姿が観測されてしまう!》
そうですね。本当は私も参加したいのですが……他の天使達の目もありますからね。
ここは鋼の意思で止めるべきでしょう。そして色に惑わされない印象を植え付け……いざ口説いた時に、私が本気だと受け取って貰いやすくする策略です。
では、私も参加します。
《おい鋼の意思⁉︎ 策略はどこへ行ったのだ⁉︎》
《考えてもみてください、ウル。カリンさんが責めているのですよ? きっとこれも計画の内、計画通りなのです》
《いやどう見ても頭に血が上っているだろう⁉︎》
「あ、あの! フィオ先輩……止めないんですか?」
「……安心してください、リーリアさん。今からちゃんと止めますから」
《な、納得いかん……》
私も納得いきません。これを見ている者が全員、私のハーレムであったなら……止める必要も無く、誰もが幸せになれる最良の結果になった事でしょう。
ですがリーリアさんの評価を落とす訳にはいきませんからね。もう少し、もう少しの辛抱ですよ……ウル。
《いや、別にオレは望んじゃ――》
「カリンさん、そこまでです。私達が何の為に魔界へ来たのか忘れましたか?」
「っ! そうね。ごめんなさい、フィオ……取り乱してしまったわ」
「た、助かったのじゃ……」
「良いのです。それでは……【帝王】でしたね。探索をお願いできますか? カリンさん」
《なあ、今忘れてなかったか? 一瞬魔界に来た目的を忘れていただろう?》
「それなら、もう蝶を飛ばしているわ? そろそろ何か見えて来てもいいと思うのだけど……」
「やっぱりカリンさんの能力は便利ですね! フィオ先輩!」
「ええ、私自慢の第一使徒です。頼りにしていますよ? カリンさん」
「もちろん、貴方の期待にはいつだって全力で応えるわ。そして――街を見つけたわよ? フィオ」
さて、行きましょう私の使徒達……まずは【帝王】に軽くご挨拶です。




