古い天使達
「おや、おはようございます。フェリス姉さん」
「おはよう、フィオちゃん! 最高の目覚ましありがとね!」
私と鏡写しの様な容姿に……起きてそのまま来たのでしょう、白のローブが着崩れています。
私との違いは女性型である事と、眼をぱっちり開いている所でしょうか。
しかし予想外です。まさかフェリス姉さんが起きてしまうなんて……
ここ数回の天議会は六人で行なっていたのですが、やはり私が招集を掛けたせいでしょうか?
《フィオちゃん? 後でお姉ちゃんの下着、返してね?》
フェリス姉さんから《念話》が飛んできました。
そういえば悪戯したまま何もしていませんでしたね……
という事は、まさか――
《フェリス姉さんは今ノーパ――》
《履いてる! 履いてるから⁉︎ お姉ちゃん、生えてないけど履いてるから⁉︎》
《……本当ですか? 最古の天使が嘘ついたりしませんよね?》
《本当だよ! ほらっ!》
フェリス姉さんがローブの前をたくし上げます。
本当に履いてましたね……白の布地を確認しました。
ものぐさなフェリス姉さんにしては、良い趣味をしているじゃないですか。
「なっ⁉︎」
「何をしているんですか⁉︎ フェ、フェリス様⁉︎」
「はぁ……」
《お前と姉はよく似ているな。後先考えない所とかそっくりだ》
失礼な。私は脱ぐべき時にしか脱ぎませんよ?
それに、これはフェリス姉さんなりのアピールなのです。
『フィオちゃんにならどこを見られてもいい!』そんな声が聞こえてきませんか?
いいでしょう……姉さんがその気なら、私も脱ぎます! ここを寝殿とします!
《お、おい! やめ――》
「失礼します! 遅れて申し訳ありません。貴方のエイリーンが来ましたよ、フィオさ……ま?」
《オレは転移に気付いたからな? 気付いて止めようとしたからな?》
……カリンさんを起こして下さい。戦争が始まります。
***
修羅場……修羅場です。
わ、私――リーリアは今、修羅場にいます。
大先輩のフェリス様がフィオ先輩に下着を見せたと思ったら、そこにエイリーン様が現れてしまいました……
綺麗に切り揃えられた黒い髪に、妖しげに光る桃色の瞳。
そして私達と同じ白のローブ姿なのに、これでもかと存在を主張する大きな胸……ず、ずるいです!
「フェ、フェリス様? 一体何をしていらっしゃるのでしょうか? エイリーンには……パ、パンツを――」
「なにー? お姉ちゃんが弟にパンツ見せちゃいけない、なんて規則あったっけ?」
うぅ……空気が重いです! 体にずっしりと来てます!
これ、エイリーン様が能力を使ってますよね?
【重鎖】のエイリーン様です……絶対この場の重力を操っているんですよ。
「き、規則ではありませんが、常識です! 女性として慎みを持たなくては⁉︎」
「そんな古風な考え方だから、いつまで経ってもフィオちゃんに抱いてもら――」
「……年増天使が」
「――は?」
うぐっ……も、もう座っているのも辛いです。
フレイヤ様も冷や汗をかいて辛そうにしています。
そうですよね? 私だけじゃ無いですよね?
でも、キリリス様だけは笑顔でフィオ先輩を見つめています。
胸の差……胸の差ですか? エイリーン様より大きければ対抗できるんですか⁉︎
「姉だと異性として意識もされないですものね? ご愁傷様です」
「フィオちゃんが可哀想。こーんな重い天使に付きまとわれて!」
「……露出狂」
「妄想癖の変態ストーカー」
も、もうダメです! このままじゃ私、消滅しちゃいます!フィオ先輩、助けて――




