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狐狼の仲



「……これで天議会の開催が伝わったはずです」


「うむ。速やかに議会室を作らねばな」



 そうですね、フレイヤさん。でも貴女は作れませんよね? というかやめて下さい。

 火の海を形成されては、話し合いも満足に出来なくなってしまいますので。



「で、でもどこに作るんですか? 七階位がここを離れる訳には――」

「なら、ここに作ってしまえばようございんしょう」

「そうですね。魔族が現れても、これだけ七階位が居れば問題ないでしょう」



 しかし、何という事でしょうか。

 目の前にこれだけ美女が揃っていても手が出せないとは……

 叶うのならリーリアさんを翼で愛撫し、フレイヤさんの鎧を剥き、キリリスさんの胸を揉みしだきたい。


 ウル、無茶をしても構いません。ここで三人とも手篭めにできませんか?



《馬鹿を言うな……いくら何でも、この状況でそれは無理だ》

《何と使えない忠犬で――》

《ガウッ!》


「――痛っ」


「うん? どうしたのでありんすか? フィオ坊」



 ウルに噛まれて思わず声が出てしまいました。影から顔だけ覗かせています。

 こら、皆にバレたらどうするのです? ウル、ハウス! ハウスですよ――あぁ、痛い痛い。


 おっと、キリリスさんが近付いて来ました。ウル、後で構ってあげますから今は退いて下さい。



《チッ……》


「おや? ……ふふっ」

「何でもありませんよ、キリリスさん。何でもありません」



 キリリスさんが私の影を見つめています……これはバレているのではないでしょうか?


 しっかりして下さい、ウル。貴女は諜報担当なのでしょう? 影に潜れる事がバレたら、活動し難くなるのではありませんか?



《……》



 何も答えてくれません。キリリスさんの目が向けられている内は、瞑想でもしているのでしょう。



「そうでありんすか? なら、フィオ坊が領域を作っておくんなし……ふふ、ほれっ」


たゆん――


《こいつッ!》



 揺れた……揺れました。それも間違いなく、故意に揺らしました。

 ウル、揺れましたよ? これはおねだりではありませんか?

 『この胸を好きにしていいから、領域を作っておくんなし』というおねだりで――



《しっかりしろご主人様! ()()()()()()()んだぞ⁉︎》



 ふっ……やりますね? キリリスさん。

 私じゃなかったら確実に主導権を奪われていたでしょう。

 ですが、私は清く誠実な男性天使。天界唯一の紳士です。

 その素敵なお胸様は仕舞って――仕舞ってく、ください。



《……それでいいんだ》


「あら、いけず……」

「申し訳ありません。代わりと言っては何ですが、私が領域を展開しましょう」

「ふふ……今はそれでようございんす」



 やはりバレているのでは――いえ、何でもありませんよ? キリリスさん、何でもありません。


 さて、領域の展開でしたか? 私の手に掛かれば造作もない事です。

 座標を重ね、干渉局の機能を維持しつつ、景観だけを上書きする……他にも様々な効果や制約を設定できますが、今回は泣く泣く諦めます。

 ええ、これで――展開です。



「むっ……」

「す、すごいです!」

「ほんに……綺麗な聖力操作でありんすね」


「ふっ、ありがとうございます」



 展開されたのは、絢爛な装飾を施された大広間。

 中心には円卓があり、七つの椅子がそれを囲んでいます。


 なるべく普段使う議会室をイメージしたのですが……上手く行ったみたいですね。



「――そういう訳だ。すまないが、七階位の天使以外はここを離れてくれ」

「今後のことは、話がまとまり次第皆さんに伝えます! それまでは休養を優先して下さい」

「ふふ……面白くなってきんしたね」



 ああ、私の天使達が遠ざかって行きます……

 ですが、今回の件で私の評価は更に上がったことでしょう。これは彼女達のハーレム入りも近いのではありませんか?






***






「では、私たちは先に座って待ちましょうか」

「うむ、魔族が来るかもしれんからな。警戒は怠るなよ?」

「そ、そうですよね! 私も次は後れを取りません!」

「ふうん? 大魔王でありんすか?」


「まあまあ、他の方も来られてから説明いたしますので……」



 私の聖結晶から情報を共有した方が早いのですが……まだ抵抗のある方も居るでしょう。

 色に染まるべからず、という……『保守派』でしたか? 私には全く理解できませんね。


 確かに、古くからの決まりでも良いものは存在します。しかし、全てが良いかと聞かれれば……答えは否。

 天使の肉体は不変ですが、考え方は時代と共に変化しているのです。

 『安定は停滞を生む』カリンさんはそう言っていました。


 ええ、全くもってその通り――と、いけませんね? 仮にも領域の主人が立ったままでは、皆さんが席に着けませんか。



「先に座らせて貰いますね」

「じゃ、じゃあ! 私はフィオ先輩の隣で!」

「ふふ……ならフィオ坊の左は貰いんしょう」


「何だ? そんなに片側に寄らなくとも良いのではないか? ……まあリーリアの隣にしよう」



 そこは上に乗るべきではありませんか? フレイヤさん。

 流れに乗るべきです……私の上が空いていますよ?

 ああ、もちろん鎧は脱いで下さいね? 貴女の柔肌を余すことなく楽しみたいので。



《見られてるぞ……》



 む、キリリスさんですか。やりにく――なっ⁉︎



「ち、近くはないでしょうか? キリリスさん」

「そうでありんすか? ……いつも通りでありんしょう?」


「うぅ……」

「ふ、二人は恋仲だったのか?」



 いいんですか? キリリスさん……私は遠慮なんてしませんよ?リーリアさんの前に食べてしまいますよ?

 いや、冗談ですよリーリアさん。だからそんな目で見ないで下さい。


 くっ……この場を寝室に作り変えてもいいでしょうか? モテ期到来の予感がするのですが――



《どうせ揶揄(からか)われているだけだ。狐はいつもそうやって人を誑かす》


「ふふ……間夫(まぶ)でありんす」



 キリリスさんが目を閉じ、もたれ掛かってきました。

 お胸様が手の届く距離に……そして眼下には渓谷が広がっています。

 深く吸い込まれてしまいそうな谷間です。リーリアさんのなだらかな丘とは比べ物になりません。


 これは好機……今こそ渓谷へ進軍――と行きたい所ですが、ウル。

 『誑かす』とはどういう事なのでしょう? 私は揶揄われているだけなのですか?



《気がある様に見せて、都合よく使われるのだ。勿論身体も許されないぞ? 終いには――》

《捨てられる、とでも?》

《ああ、飽きられたらな》



 くっ……魅了されてしまえば都合よく扱われ、かといって今は生殺し。

 ウル、キリリスさんを堕とすにはどうしたら良いのですか?



《まぁ奴も獣人だ。自分より強い者には従順になる……はずだ》

《つまり、私がキリリスさんを倒せばいい。そういう事ですね?》

《お前が奴に勝てるのなら、それが一番確実だろう……勝てるか?》



 誰に聞いているのです? 確かにキリリスさんは【天界一】なんて呼ばれていますが、戦ったら私が勝つに決まっています。


 もう私を止められる者など、天界には――



「じゃーん! お姉ちゃんが来ましたぁー! フィオちゃんいるー?」



 ……そ、存在しません。

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