表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マグ拳ファイター!!  作者: 西順


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/194

幽霊船

「ぎいやああああああ!!! 無理! ムリ! もう無理!!」


 前衛として大盾を構えているマヤだが、さっきから物凄く五月蝿い!

 構えると言うより大盾に隠れるようにして前面を見ないマヤ。それには理由がある。敵が幽霊だからだ。

 洞穴を降りていくと、そこは地底湖になっていて、浮かんでいたのは幽霊船だった。

 そこからわらわらと出てくる出てくる幽霊やら骸骨やらゾンビども。別に幽霊とかゾンビとかどうでもいいが、ゾンビものってどうして量で攻めてくるんだろう? それが嫌だ。



 まずファラーシャ嬢が気絶した。同時にマヤが恐慌状態に。何気にマーチがマヤの後ろに隠れている。ブルースは大丈夫だったが得意のラッパはまるで効果なし。

 アキラは馴れているのか火の矢を複数生み出し、それで攻撃している。


「アンデッド系は火か光系統の魔法か、教会の神父が使うターンアンデッドしか効かないんだよ」


 火と言われるとファラーシャ嬢だが、気絶してるしな。光……あ! さっきのエネルギー波があるじゃん。という訳でエネルギー波をぶっ放つと、スゲエ効いた。


「効果は絶大だな!」


 アキラのサムズアップにこちらもサムズアップで応える。

 アキラが言うようにエネルギー波はアンデッドに効果は絶大だったが、魔力を集中させるのに時間が掛かる。アキラがポンポンと火の矢を10本ぐらい撃っている間に、こちらはエネルギー波を一発撃つので精一杯だ。

 だが一気に20体くらいアンデッドを倒せるので、アキラがこちらに向かってくるアンデッドたちを相手にしている間に、オレが魔力を溜め、近付いたアンデッドたちを薙ぎ払うというパターンができ上がった。


「ねえ!? 帰っていい!? 帰っていい!?」


 マヤがしきりに尋ねてくる。マーチも無言で頷いている。


「いい訳ないだろ! 倒れてるファラーシャ嬢とかどうするんだよ!」

「…………」


 二人して黙って首を横に振るな。


「目ぇ瞑って耐えてろ」


 オレに言われて目を瞑るマヤにマーチにブルース。え? ブルース実は怖かったの?

 とにかく当てになるのはアキラだけだ。


「ヤバいガス欠おこしそう! ポーション持ってきてねえよ!」


 おい! オレはアキラに貴重なポーション渡した。



 幽霊船から湧き続けるアンデッドたちを蹴散らすのに一時間掛かった。


「で、あいつが親玉か?」


 最後に出て来たのは、海賊帽を被り巨大なサーベルを持った、五メートルはあろうかという骸骨だった。


「あの海賊帽からすると、あの幽霊船は海賊船で、あいつがキャプテンか」


 まあここらは海賊が多いから、そうかも知れないが、そのキャプテンが明らかに巨人なのはいいのか? この世界に巨人がいるのか、そういう仕様なのか。


「やるぞリン!」


 答えはもらえない訳ね。

 パターン通りにアキラが火の矢を放つが、巨人のキャプテンには焼け石に水だ。火の矢なんて何の抑止力にもならず、サーベルを横薙ぎに振るってくる。


 ギイイイインンッ!


 間一髪でマヤの大盾に潜り込みキャプテンの攻撃を防ぐ。


「ねえ!? 大丈夫!? 大丈夫なの!?」


 目を瞑ったままのマヤが聞いてくる。


「あとちょっとだから、そのまま盾構えてて!」


 ギイイイインンッ!


 そんな会話を交わしている間にキャプテンの第二擊。


「本当に大丈夫なの!?」

「…………」

「お願い黙らないで応えてぇ!」


 そんな余裕が無いのだ。アキラの火の矢では意味がない。オレのエネルギー波でも何度か撃たなければ倒しきれないだろう。だが下手に手を出せばキャプテンの強振でお陀仏である。なのでマヤの大盾に隠れるしかないのだが、これではジリ貧だ。


「リン!」


 アキラに頷きで応えながら、オレはすでに魔力の集中を始めている。あの巨大なキャプテンを倒すためには、強力な一撃が必要だ。斥力ブレードではリーチの差でオレが死ぬ。ならばやるべきはエネルギー波の強化。


「ねぇ!? ねぇ!? ねぇ!?」


 喚くマヤの口をアキラが手で塞ぐ。それに目を瞑ったままのマヤがさらに恐慌状態になって、大盾を放り投げてアキラの手を払いのけようとする。


「ぐっ! リン!」


 そこにキャプテンの強振が迫る。


「大丈夫だ」


 ズドオオオオオオオ!!


 オレのエネルギー波はキャプテンの強振より一足早く完成した。それを撃ち出せば、キャプテンはまるで融けるように消滅したのだった。


「ハァーーーーー。なんとかなったなあ」


 その場にへたり込むオレとアキラ。


「ねぇ、大丈夫なの? ねぇ!?」


 マヤ、マーチ、ブルースはまだ目を瞑ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ