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小技

「ああ、忘れてた」


 そうだろう、まさかパスだけ教えて終わり、は無いだろう。


「コードの交換しなきゃ」


 コード? 何のコード? 紐状のものなど持ってないぞ。


「どうした? ウインドウ開いて」


 ウインドウ? 窓? 何の窓? 社会の窓? オレは自分の股間に視線を向けるが、そもそもズボンの股間にチャックが付いていなかった。

 そこでアキラはオレが何も分かっていないことに気づいたのだろう。嘆息しながら教えてくれた。


「その窓じゃねえよ。なんでお前の汚いもの見せられなきゃいけねえんだよ」

「汚いかどうかは見てみないと分からないじゃないか」

「いいから、そういうの。ほら、ウインドウって声に出してみ?」


 アキラに言われてオレが「ウインドウ」と発すると、中空、眼前の左側にまさにウインドウ、窓のようなセレクト画面が現れる。


「そこにコードってあるだろ。それ触って」


 確かにいくつか項目がある中に、コードという項目があるオレはそれを右手の人差し指でタッチする。

 するとウインドウの画面が切り替わり、そこに何やら人名が載っている。


「アレックス・キング・ライオット?」

「それオレのアバター名な」

「アバター名?」

「アバター、リンが今動かしてるキャラをアバターって言うんだよ」


 ほう、そうなのか。


「オレはほら、名前の頭文字を並べると、ア・キ・ラになるんだぜ。

 リンの名前は、リンタロウ? そのまんまじゃねぇか」

「名前は? って訊かれたからな」

「はあ、まあいいや。オレの名前の横にチェック欄があるだろ?」

「うん」

「そこにチェック入れて」


 オレがチェック欄をタッチすると緑に光る。


「うん、これで基本どこにいてもパスで会話できるから」

「どこにいても?」

「ああ、たとえ世界の端と端にいてもな。やり方としては、ウインドウにある会話をしたい相手の名前に触れながら、パスを送るだけだ。ただしこのゲーム内にいない相手とはできなきぞ」

「そんなのどうやって見分けるんだ?」

「チェック欄が緑に光ってるだろ。それが緑だとゲーム内にいて、赤だとゲームからログアウトしてる」


 なるほど。


「ついでに教えておくと、ウインドウを最初の画面に戻して」


 戻す、はこれか。オレはウインドウを最初の画面、オレの名前が載っている画面に戻した。


「自分の名前の横にもチェック欄があるだろ? これをチェックして」


 オレはチェック欄をタッチする。赤に光る。


「このゲームってそこにチェック入れてないと、他の人のウインドウに勝手に名前が載っちゃうんだよねえ」


 ほう、そうなのか。


「知らない人に名前が知られるなんて嫌だろ?」


 確かに、それは嫌だなあ。


「まあ初級編としてはこんなもんだな。じゃあオレはもう行くから。困ったことがあったらいつでも連絡くれよ」


 そしてアキラは街に帰っていってしまった。

 アキラの姿が見えなくなってしまったところで、オレはウインドウを出して、アキラの名前をタッチする。

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