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マグ拳ファイター!!  作者: 西順


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バフ

「バフを、覚えようと思う」


 教会と冒険者ギルドのすぐ目と鼻の先に、冒険者たちがよく利用する飯屋がある。

 値段もそこそこなら味もそこそこの、その名も「ベターズ」というネーミングだけはぴったりな店。

 その店で角ウサギのステーキを食べ終えたオレ、アキラ、マヤの三人。

 赤狼を倒せたのだから次のステージ、つまり次の街に進んでも良いんじゃないか? というアキラの誘いに、オレは待ったをかけた。

 その理由というのが、オレがバフを覚えたいというものなのだが、それに対する二人の反応はといえば、


「「今更!?」」


 とまさか被って突っ込まれるとは思わなかった。


「オレは思ったんだが、このパーティーには火力が足りない」

「「今更!?」」


 前々から二人も思っていたらしい。だったらもっと前に提案しといて欲しかった。

 オレとマヤのパーティーは火力不足だ。

 マヤはバフが使えるとはいえ防御特化で自身の耐久力向上以外考えていない。オレなんてバフもまともに使えず(自分を浮かせるデバフは使える)、やれることと言ったら斥力による豆鉄砲だ。アキラに至っては「オレ別にクランに所属してるから」とかなんとか言い出し、戦闘にはまるっきり参加しない。


「今更感は半端ないが、バフを覚えるのはいいんじゃないか? 引斥力魔法も強化されるだろうし」

「そうなのか!?」

「分かってなかったのかよ!」


 単に筋力が上がるものだと思っていた。引斥力も強化できるとなると、俄然バフを覚えたい気持ちも上昇するというものだ。



 というわけで、オレたちはいつもの草原にきていた。


「これからバフを教えます」

「「わー、パチパチパチ」」


 アキラ先生によるバフ講座の始まりである。生徒はオレとマヤ。マヤも独学でバフを覚えたらしく、この機会にもっとバフを向上させて耐久力を上げたいそうだ。


「バフは五種類ある基礎魔法のうちの一つで、パスの次に覚えやすい魔法だ」


 コクコクと頷くオレとマヤ。ここら辺は初日にアキラに教わった。知りたいのはその先だ。


「簡単に説明すると、強化したいものにパスを繋げ魔力を注ぐ。それだけだ」

「それだけ?」

「ああ」


 何ドヤ顔してんだよ! 相変わらずお前は説明下手だな!


「何か他にないのかよ?」

「他に、って言われてもな。このマグ拳ファイターの世界では、基本的にはどんなものでも魔力を注げば注ぐだけ強化される仕組みになってるんだ」


 なるほど。


「じゃあ、弱化させるデバフはどうなるんだ?」

「だから強化してから弱化させてるんだよ?」

「「は?」」



 その後アキラと何十回という質疑応答を一時間繰り返した結果、分かったのはどうやらバフというものが、次の基礎魔法エフェクトの前段階であるということだった。

 エフェクトというのは、物の性質を変える基礎魔法だ。簡単に言えば硬い石でも柔らかくできるのだ。

 この、柔らかくする前段階として石に魔力を注ぐ必要がある。魔力が通っていなければ石を変質させられない、という訳だ。

 そして魔力をどれ程注いだかによって、石がどれだけ柔らかくなるかも変わってくる。魔力を多く注げば、スポンジのように柔らかくできるが、注いだ魔力が少なければ、石はソフトボール程度にしか柔らかくならない。

 この魔力を注ぐ量の調整が、バフの修得で肝要なところらしいのだが、アキラは感覚派なので言葉として伝わってこないのだ。

 分かったことは、この世界では魔力の多少によって、物の変化量というか変質係数というか、そう言ったものが増減するようだ。魔力を注げば物が強化されるのも、この変化の枠組みの内部のものだとオレは考えている。


「まだぼんやりと朧気(おぼろげ)だが、バフを覚える上での着地点は見えてきた。アキラ、もう帰っていいぞ」

「ええ!? なんかオレの扱い雑だな」


 とかなんとか言いながら、アキラはすごすごと街へと帰って行ったのだった。


「よし! やるか!」

「ええ!」


 マヤと二人頷き合い、バフの特訓開始である。

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