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解説とインターフェース

天の声、好きです。

 


 進化前がこちら。

 ---------------------

  name: ハルカ・ドウジョウ


 race: 玄武【起源種】


 level: 490


  skill:

『天眼』

『装甲』

『魔の理』

『水と時空の支配者』『火と風と土と雷の管理者』

成長限界突破(進化に終わりはない)

『永遠の命』

『異世界の思考』

『魔王の因子』

『経験値プール』

 ---------------------


 そして進化後、というか今ステータスを開いて見えてるのがこれ。

 ---------------------

  name: ハルカ・ドウジョウ


 race: 玄武【創世魔王種】


 level: 521


  skill:

『自律型インターフェース【天】』

『戦機装甲』

『魔王の法』

『水と時空の支配者』『火と風と土と雷の管理者』

『創世魔法』

成長限界突破(進化に終わりはない)

『永遠の命』

『異世界の思考』

『経験値プール』

 ---------------------



 迷宮で経験値をどんだけ貯めたのか疑問が出そうなレベルになったな。

 名前が変わったスキルは上の3つ。それと、『魔王の因子』が無くなってるのは何故だろう。


 《お答えします、マスター》


 うぅわお!びっくりした!

 突如脳内に無機質な女性の声が聞こえてきた。

 君はもしかして…


 《はい、私は自律型インターフェースの【天】と申します。今後マスターとルリエリント様の生活が快適になるよう全力でサポート致します。》


 やっぱりか。この流れどこかで見たことあると思ったんだよ。俺のことはマスター呼びなのね。それで、脳内アナウンスさんはどんな事が出来るの?


 《私は自律型インターフェースの【天】でございます。どうか天とお呼びください。脳内アナウンスさんという名前がよろしければ改名致しますが。そして何が出来るか、ですがその質問には5000万の回答がございます。順に答えたほうがよろしいですか?》


 あ、えっと天さん《さんは不要です。敬語も不要です。》


 …天、こっちから質問するからそれに答えてくれ。


 《かしこまりました。》


 どういう経緯で天が生まれたんだ?多分だが進化前にあった『天眼』スキルから取ったものだろう?天って名前も。


 《進化に際して『魔王の因子』の8割と『天眼』を使用して作製されたのがこの私、天です。ご察しの通り『天眼』スキルから名前を取っております。》


 ん?今まで使ってた『天眼』はもう無いってことか?


 《いいえ、今まで通りの使用は可能です。ただ私というインターフェースを挟むことでやれることが格段に増えています。世界各地の調査も常時行なっているので、何かあればご気楽に話しかけくださいませ。》


 だいたい分かった。これからよろしく、天。


 《末永くよろしくお願いいたします。》



 早速質問なのだが、天はともかくとして、もう2つのスキルも『魔王の因子』の影響で変質したのか?


 《その通りです。今回の進化による、スキルのアップデートでは『魔王の因子』を消費し切ることで、従来のスキルからより質の高いスキルに昇華させています。『自律型インターフェース【天】』に8割、『戦機装甲』及び、『魔王の法』にそれぞれ1割が消費され、そのため『魔王の因子』はステータス上から無くなりました。》


 天が創られるために相当な容量食ったのね。


 《その分私の性能はピカイチです。他2つのスキルの詳細をご覧になりますか?》


 あ、うん。

 そうだね、よろしく。


 《戦機装甲。常時発動。

 身体ステータスの全パラメータ上昇。

 全状態異常適応。

 攻撃全てに防御貫通付与。(魔法攻撃含む。)

 防御貫通無効。

 上記は任意でオンオフ可


 おめでとうございます。念願の防御貫通攻撃を獲得しましたね。》


 やったね。これでオリハル金剛力士像もワンパンだ。戦う機会がまたあるとは思えないけど。


 あと全状態異常適応って何なの?状態異常無効なら分かるんだけど……



 《無効化するのと効果はほぼ変わりません。ただ全てを無効化してしまうとアルコールも毒として無効化してしまい、マスターの好きなお酒に酔えなくなってしまうので適応、という形にさせていただきました。》


 ありがとう天。

 天の言う通り、俺は20歳で他界してしまったワケだが、死ぬまで結構酒飲みだったのだ。合法で飲めるようになってから、高校の友達と一緒に飲みに行ったり(決して大学で友達が出来なかった訳では無い)、毎週のように飲んでた程度にはお酒が好きで、この世界にもお酒があることは前に調べて分かっているし、王城で暮らしてる勇者達は美味しそうなもの食べてるしで、実は街に行こうと思ってる理由の1つが絶品料理に出会うことなのだ。


 高級な所で食べるのも、場末の酒場に行くのもロマンあってやってみたいから、お酒もちょうどよく酔えるこのスキルはありがてえ。


 まあ、いつの間にかこの体には食事がいらなくなってたんですけどね……


 《空気中の魔素を吸収、変換して活動エネルギーにしています。》


 魔素っていうのは魔力の最小単位だそうだ。


 なるほど。





 《続いて『魔王の法』の説明に入ります。

 魔王の法。常時発動。

 敵性魔法の支配。

 魔素吸収。

 種族適性関係なく全種類の魔法を獲得可能。


 やっとの思いで完成させた極大魔法がマスターに直撃して、勝利を確信した敵に向かって「この程度か?」とマスターが燃え盛る炎の中から言い放つ姿が目に浮かびますね。》





 ……さすがは高コストスキル。想像力が素晴らしいね


 《お褒めに預かり光栄です。

 もう一つ使ってみないと分かりづらい能力だとは思いますが、マスターが選んだ対象の魔法の発動権がマスターに移ります。


 例えば、マスターがスキルで選んだAさんがファイアボールを撃とうとしても、マスターの一存で撃たない選択肢を取ることができます。その場合Aさんの貯めた魔力がそこで霧散します。

 利点としては人も魔物も攻撃手段を1つまたは全て失うのでマスターが狩やすくなる事ですね。

 まあマスターはどれだけダメージ食らおうが死なないんですが。》


 分かんない。適当な場面でまた教えてくれ。


 《かしこまりました。》




 残るスキルはあと1つ、『創世魔法』だ。


 《この魔法は感覚的な所で操作するものが多いので一度発動してみることをお勧めします。》


 ほう。やってみよう。



 創世魔法、発動。



 ブォン



 おっ?前世でもよく使っていた、背景が透けて見えるモニターのようなタッチパネルが現れた。


 四角い画面には様々な項目と真っさらな空白が表示されている。

 各項目には構成成分であったり、世界の形を球状やお盆型などから選ぶものがあり、そんなのがずらっとスクロールし続けても終わらないほどに下に続いて、これを今から操作するのかと思うと気が遠くなる。


 《こちらは微調整のために使うのが適当でしょう。まずはマスターのイメージする世界を大雑把に創ってから各所を望む形に変える作業をする方がやりやすいかと思います。》


 その方が良さそうだね。

 じゃあどんな世界をイメージしようか、と言っても知ってる世界が地球とここの2つしかないからなあ。


 そういえば今創った世界はどこに現れるんだ?


 《目の前です。なので亜空間に接続するか宇宙空間でやる事を推奨します。》


 危なっ、そういうことは早く言ってよ。危うくこの家をぶち壊すところだったじゃないか。


 《世界を創造される瞬間に亜空間へと繋げる予定でしたので問題ありません。》


 うーん、天が有能だ。ただ報告はマメにね。


 《了解です。》



 あれ?亜空間に島があったよな。いつか倒したエンシェントドラゴンが主として君臨していた島を亜空間に取り込んであるからそれも使えないだろうか?


 《可能です。というよりも、イチから世界を創るのです。なので何でもアリです。無重力にしたり摩擦係数を0にすることも全て自由です。

 それがマスターの望む世界になるかはともかくですが。》


 そういうことなら地球やこの世界をベースとして創った方がいいのかな。色々試してはみるけどそう複雑なのは色々と破綻しそうだ。



 モニターを見つめてイメージを膨らませていると、天から声がかかった。


 《マスター、ルリエリント様がお目覚めになるようです。》


「おお、そうか。ルリ、おはよう」

 《おはようございます。ルリエリント様》


「お前の声は聞こえないだろう、天」

「うーん、おはよハルカ……と誰……?脳内に直接…」


 《私はハルカ様のスキルである自律型インターフェースの天、と申します。これからお2人の快適な生活をサポートさせていただきますのでよろしくお願いいたします。》


「うん…よろしく……」


 まだ眠そうに目をこすりながら体を持ち上げたルリは、違和感でしかないだろう天という存在に生返事を返していた。


 《私というスキルは、ルリエリント様の魔王スキルがキーとなってマスターの下で生まれたため、ルリエリント様の『天眼』にもアクセス出来るようになっております。その過程としてお二方との会話が出来ているのです。》


「さすが、と言っておこう」


 もう新しい情報のオンパレードに疲れ始めた。





 《ルリ様のステータスも確認なさいますか?》


「それは後でルリに直接聞くことにするよ」

「ううん、天ちゃん軽く教えてあげて。軽くね」


 目が覚めて状況を把握したルリがまず天に言ったのは、

「私のことはルリと呼んで!」だった。

 ルリエリント様と毎回呼ばれるのはよそよそしい感じがするからだと。


 承諾した天はルリ様と呼び始め、それから様付けを辞めなかったが、そこはアイデンティティーだそう。よく分からない。



 そして天がルリのステータスを教えてくれるらしい。

 なんでだろう。

 まあいい、教えてくれ。


 《はい。今回のルリ様の進化によるステータスの変化は…

 全体的なパワーアップです。》


 うん…



 え?終わり?


 《以上です。これでよろしいですか?》


「うん、おっけーおっけー」


 ルリが軽いノリで応えているがいいのかそれで。


「いや本当にパワーアップが殆どなの。実際に戦ってる所見たほうが分かり易いし、ほら、女の子って秘密がある方が神秘的でいいとか言うじゃん。あれだよあれ」


「いや、別に疑ってるわけじゃないけど」


 しかも天もルリと急に仲良くなってないか?


 《ええ、()()同士なので仲良くなるのも早いですね。》



 まあ不都合があったとかじゃないから良いんだけどね。







 それから数日が経ち、迷宮で働いた分を、有給を消化するように家でダラけて過ごした俺たちは人里に行く計画を立てていた。



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