不死鳥とヒロイン
ついにヒロイン登場。今日2投稿目です。
41層から亀だけではなく、炎を纏って突っ込んでくる鳥も出てくるようになった。
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ファイアバード。溶岩に適応できるようになった鳥の魔物。身の危険を感じると炎を体に纏って突撃し、自爆する。
level: 75
skill: 溶岩魔法Ⅲ 特攻Ⅲ 自爆Ⅴ
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え?自爆するの?カミカゼやん。
学生として制服を来てた時代にも、戦争の悲惨さを知るためとかの理由で見させられていたが、片道だけの燃料を積んで何もかも捨てて敵の空母に特攻しに行ったのに途中撃ち落とされて、唯一の命令にも叶わずに海に沈んだ兵士達は無念だっただろうなと毎回思っていた。
戦争を知らないから何でも言える世代だからこそだとも思うけど。
話がずれたが、ファイアバード達に無意味な特攻をさせないためにもさっさっさと殺していく。防御は固くないので1匹につき1撃で頭が吹き飛んでいくので簡単だ。
ただ仲間がやられるところを見るとカミカゼをしてしまうので、素早い処理が大事だ。
49層の階段前にうろついていたマグマフロッグの全身に《土魔法》ショットガンで無数の穴を開けて斃し階段を下る。
50層に降りるといつも通りに精緻な紋様の巨大な両開きの扉がお出迎えする。
近づくと勝手に開くのは知っているので扉に触れるほどに近寄る。
(うおっ!)
重々しい音を出して扉が開くと、爆発したかのように、その開いた隙間から膨大な魔力の奔流が一気に噴き出してきた。まるでダムを開放したかのように勢いよく俺の全身に叩きつけられる魔力に一瞬頭が眩む。
その一瞬だけであの島の主エンシェントドラゴンを上回ると判ってしまう魔力の濃さと圧力であり、想像以上の強敵になることに思わずニヤけてしまう。
暴力的な魔力の濁流が収まってくると、部屋の中にカッと満ちた光がこちらを照らす。
外かと見紛うほどの広さの部屋を自由に飛び回っているのは、神々しく輝く炎を全身に絡めた、競技場のトラック一周分でもまだ足りないほどの巨大な鳥だ。
「クゥァァァァァァァァァ!」
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name: ぴーちゃん
race: フェニックス
level: 370
skill: 火魔法Ⅹ 溶岩魔法Ⅹ 聖火Ⅶ 業火Ⅶ 気配探知Ⅷ 魔力探知Ⅷ 咆哮Ⅷ 形態変化- 火焔体質- 灰焔転生- 火属性無効-
option: アストロード迷宮の眷属
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名前がある!?この絶望的にセンスのない名前は誰が付けたんだ!?
ツッコミどころはここだけじゃない気がするが今は名前の雑さに驚かせてくれ!
アストロード迷宮がここの名前なのか?
《アストロード迷宮の眷属。ここアストロード迷宮のダンジョンマスターである、ルリエリント・アストロードに名前を与えられると眷属となる。お気に入りの魔物である証拠。眷属はダンジョンマスターの意思で自由に手元に召喚することができる。》
ここのダンジョンマスターに名付けのセンスが無いことが判明した瞬間だった。
ぴーちゃんという名前に反比例するように強力なスキルを持っているので《鑑定》していこう。
《聖火。火に聖属性を付与し、アンデットに対して極大ダメージを与える。》
《業火。魔力を過剰に消費することで火を使った攻撃に防御貫通効果を付与する。》
《形態変化。全身の構成を組替えて望む形状に変異させる。》
《火焔体質。火を使うことに関して魔力を一切消費しない。》
《灰焔転生。状態:死 になった時、灰の中から転生する。》
さすがは不死鳥なスキル群だ。俺のスキルである、『永遠の命』に似たものもあるし、この強さも納得だ。
先手必勝で機関銃を《土魔法》チューニングをして優雅に空を飛ぶフェニックスに向ける。
危険を察知して、自分を殺し得るものだと認識したのか、強く羽を動かして目にも止まらない速度で移動を繰り返す。
あちこちに移動して機関銃を躱しながら、こちらに青いファイアーボールを撃ってくる。ファイアーボールといっても規模が意味わからない。
たった1つが一軒家を優に呑み込むほどの大きさなのにそれが千、いや万の桁を超える数で津波のように押し寄せてくるのだ。
温度が段違いの青い炎で視界が染まり、一瞬幻想的で目が奪われるが、爆発に巻き込まれるとタダじゃ済まなそうなので迎撃をする。
水と風を複合させたブレスをフェニックスに向けて放つ。以前の戦いでドラゴンブレスを真似したやつの改良版だ。威力はそのままに風を操作して方向を調整できるように上層で練習していたのだ。
音を置き去りにしながらビームのように直進するブレスに辛うじて反応できたフェニックスは、右羽を半分消し飛ばされ失いながらも離脱する。
通過点にあったファイアーボールも同様に溶かすように消し飛ばし、まっすぐに出来た空間に転移で移動する。
機動力をガクッと落としたフェニックスに刹那の時間も与えずにブレスの第二射をお見舞いする。
頭を横に滑らせて袈裟斬りにすると、巨大な胴体が真っ二つに割かれ、地面へ落ちていった。
盛大に炎を燃え上がらせながら落ちるフェニックスの残骸を上から眺めながら、《灰焔転生》で復活することを思い出し後を追いかける。
地面にすごい勢いで叩きつけられた遺骸が、ゴウッと天まで伸びるほどの焔を立ち上がらせるとすぐに鎮火するように勢いを弱まらせる。
地面に残ったのは両手で掬えそうなほどの灰の山で、よく見ると中から何かが出てくるところだった。
「ピュイッ!」
灰に埋もれながら顔を出したのはヒヨコと見分けのつかない小さな小さな生物だった。
これがフェニックスだと言うのか。
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name: ぴーちゃん
race: フェニックス
level: 370
skill: 火魔法Ⅹ 溶岩魔法Ⅹ 聖火Ⅶ 業火Ⅶ 気配探知Ⅷ 魔力探知Ⅷ 咆哮Ⅷ 形態変化- 火焔体質- 灰焔転生- 火属性無効-
option: アストロード迷宮の眷属
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ステータスに一切の変化がない。俺自身にも経験値が入った感覚がないので、どうにかしてこのヒヨコを殺さないといけないようだ。
「ピュイ?」
目の前で首をかしげるヒヨコにもう一度ブレスを撃とうと口を開けると、なんの兆候も見せずに、ふいに目の前から消え去ってしまった。
なぜ?と思った束の間、さっきまでヒヨコのいた位置に青く光る魔法陣が出現した。
魔法陣を解析すると時空魔法を応用して作成された、対象をどこかへ移動させる魔法のようだった。
つまり俺はこれに乗ればいいのか?
思案した時間は一瞬で、この魔法陣を敷いた相手に会えることを願ってタンッと光の中に飛び乗った。
魔法陣の青い光が一層輝きを増して広い部屋を見ていた視界がクルンと回転した。
浮遊感が収まると同時に目的地に着いたようで、人間用に作られたかのような調度品がいくつもある、西洋のリビングルームぽいところに着地する。
着地したフカフカの絨毯を踏みしめながら1歩踏み出すと、違和感しか感じないので《再現魔法》を使い生前の俺に姿を変える。
歩みを進めてL字型のソファーに座る。これも高級品なのかなと素人目線で座り心地を確かめると、体重をしっかりと受け止めるクッション性と疲れないように適切な弾力性を含有した経験した中で最高のソファーであった。
ぐっすり眠りたいくらいに快適なソファーで何かアクションが起こるのを待っていると、後ろにあるドアがキィッと開く音がした。
「やぁ、キミを待っていたよ、ハルカ・ドウジョウいや、堂上玄君。私はキミを歓迎するよ」
明日明後日は朝早く帰りが遅いので更新できないと思います。




