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亀と土

短いです。

 



 20層の鬣が炎のライオン、30層のマグマで出来たスライムをそれぞれ倒し、31層に降りた俺は新たに出て来た敵に感動していた。


 目の前で背中の甲羅から噴火を起こした彼を見て、嬉しさで震えている亀とは俺のことだ。


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 マグマタートル。溶岩に適応できるようになった亀の魔物。甲羅は小さな火山となっていて、時折噴火をする。

 level: 70

 skill: 硬化Ⅷ 溶岩魔法Ⅳ 加速Ⅱ 火属性無効-

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 俺はついに同類を、亀仲間を見つけたのだ。この世界では転生してから一度も亀の姿を見ていなかったから存在しないのではないかと思っていたがここにいたのか。


 感動の出会いの最中、ジッと見つめあった俺たちの横からマグマの濁流が襲いかかってきた。

 マグマタートルは火属性を無効化するのが分かっているので安心して避ける。


 涙なしには語れない大切な時間を邪魔したのはどこの無粋なやつだと憤慨しながら横を見ると、そこにはさっきの彼。


 いや違う。


 --------------------

 マグマタートル。溶岩に適応できるようになった亀の魔物。甲羅は小さな火山となっていて、時折噴火をする。

 level: 69

 skill: 硬化Ⅷ 溶岩魔法Ⅳ 加速Ⅰ 火属性無効-

 --------------------


 別の個体だ!同じ亀に産まれたというのに戦い合わなくてはならない運命なのか…なんて世界は残酷なんだ……


 まあ解り合えないのは分かってたのでライフル弾で頭を吹き飛ばして先に進む。


 心を痛めながら出会う同類全てを吹き飛ばしつつ進むといつの間にか40層のボス部屋の前に辿り着いていたようだ。


 毎度ながら自動で開いていく巨大な扉に、懐かしの自動ドアを思い出しながら中に入っていく。


 ボス部屋特有の巨大な空間に入るとまず目に付くのは、トロトロと天井から垂れていく何条ものマグマ滝だ。


 岩石が削れたような天井のヒビから滴るように落ちるマグマを見ていつか崩壊してしまうのではないかと不安になるが、そこは迷宮の不思議パワーで壊れないようになっているようだ。



 部屋の中央に鎮座するように動かないボスはお馴染みとなった亀だ。大きさは全然違うが。


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 グランドマグマタートル。マグマタートルの進化先の1つ。移動速度を失った代わりに土魔法が使えるようになり、防御力が高くなった。

 level: 85

 skill: 硬化Ⅸ 溶岩魔法Ⅳ 土魔法Ⅴ 火属性無効-

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 ここから見るとマグマタートルよりも何倍もの大きさに感じるが、実際本体はそれほどではないようで、どうやら《土魔法》で外側を覆ってカサ増しというか防御力を上げているようだ。


「ォォォォォォォン!」


 《土魔法》で作られた顔を器用に操作して部屋に轟くような咆哮を上げた大亀にいつも通りのライフル弾を放つと、土の鎧も《硬化》の範囲に入っているようで、キンッという音と共に弾かれてしまった。



 大亀は背中の火山を噴火させて部屋の中にマグマを敷き詰め始めた。


 俺が空中に浮いているのは見えているはずなので、何をするつもりなのかと待っていると、とうとう足の踏み場もないほど真っ赤なマグマの絨毯が出来た。


 まさかこれで終わりでは無いだろうと大亀を見るとふいに動きがなくなった。


(これだけ!?いやっ)


 ドシュッ


 瞬間に大亀の魔力が高まると同時に周囲のマグマ溜まりから灼熱の槍が飛び出してきた。その数は100は下らず、なんとか仕留めようと大量発注したようだ。


 《土魔法》と《溶岩魔法》を合わせた大亀の大技に感心しながら飛んでくる槍のギリギリを転移で離脱する。

 魔力をごっそりと減らした大亀を上から見下ろしながら今の魔法を解析する。残念ながらレベル4の《溶岩魔法》では魔法を構成する情報量が少なくてスキル獲得は出来なかったが、《土魔法》はレベルが5だったのでなんとか構造を読み取り、普遍的に存在する土という存在に対しての理解を深化させたことで、スキルを獲得した感覚が俺の中の魂の奥底で知覚できた。



 せっかく手に入れた《土魔法》なので早速使おうと思う。いつも使っているライフル弾を土を圧縮形成して目の前に浮かべる。


 《氷魔法》で作る時よりも比重が重くなり、硬度も上がったように思える。


 俺が目の前で急に消えたことで狼狽えている大亀に、作ったばかりの土ライフル弾を放つ。



 ゴンッ!


「ギュゥゥゥァァァア!」


 人間の体だったらお腹の中に響いていただろう重い音を鳴らしながら、大亀の土の装甲を貫いていった。体のどこかに当たったようで叫び声をあげる大亀に追い打ちをかける。



 ゴンッ!


 ゴンッ!


 ダシュッ!


 確かな手応えと共に崩れ落ちた大亀が魔法の制御が外れ、崩壊して土の山と化した地面を見ると、さっきまでの姿よりもだいぶ小さな亀が頭に穴を開けて死んでいた。



 久しぶりにステータスを確認しようかな。スキルが増えているはずだしね。


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  name: ハルカ・ドウジョウ


 race: 玄武【起源種】


 level: 193


  skill:

『天眼』

『装甲』

『魔の理』

『水と時空の支配者』『風と土と雷の管理者』

成長限界突破(進化に終わりはない)

『永遠の命』

『異世界の思考』


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 こんなに魔物を倒したのにレベルが4しか上がっていない!必要経験値が上がっているのだなきっと。あのドラゴンが特別強すぎたしな。


 スキルも案の定増えていて、管理者枠に土が追加されているだけだが、そのうち支配者へ昇級する事を楽しみに使っていこう。



 40層を攻略したので、奥に見えている、下へ続く階段を降りていく。


 それにしてもこの迷宮は何階層まであるのだろうか。



近々ヒロイン(?)

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