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家と火山

テンプレとは一体。

迷宮はボス以外サクサク進みます。

 



 おはようございます。空は白いです。

 今日も亜空間で目覚めた訳だが、この前のように全てが白の空間という訳ではなくなっている。



 最近ドラゴン倒すついでに壊滅させてしまった直径100kmの円形の島を亜空間にぶち込んでみたら意外と入ったので、包み込んだ時の生態系とかはそのままに白の空間に浮かべて第3(多分)のマイホームとしているのだ。


 ステータスに魔物と付いている生物は先に殲滅してこの島では絶滅させているので、これから先俺を傷つけることのできる生命体は出てこないだろうってことで、無防備に草原で寝ているが今まで問題はない。


 白い空間に浮かんでいるこの島だが、動物が島の端から落ちたとしても、空間をしっかりと歪めてあり島の適当なところに自動で転移される仕組みになっているので安心設計だ。



 《再現魔法》使えるなら外の景色を空にコピーできるかな。太陽や海を島の周りに再現してみよう。

 あー、できちゃった。これ島ごと亜空間に取り込む必要もなかったかな。

 水平線が見えるほど続く海に青い空と眩しい太陽が島を照らしている。


 いや白い空間が嫌だったからこれは純粋に嬉しいんだけどね?最初からやれてればね…



 さて夢のマイホームも出来たことだし、そろそろ迷宮か人里に行ってみようと思う。勇者も全然使えないし。


 勇者達はとっくに迷宮を出ていて、20層をクリアした後勇者達は30層をも踏破してしまったのだ。

 苦戦しながらも着実に進んでいき、30層ボスであるグリフォンという鷲と獅子が混ざったような空を飛び近接も強い魔物が相手だったのにも関わらず、苦戦する陽キャラの持つ聖剣エクスカリバーが呼び掛けに応えて力を増すという1番つまらない展開で、空を飛ぶグリフォンを追尾した光の束が諸々を消しとばして勝利したのだ。



 今回で深く実感しました。イベントは自分で起こさないと起こらないって。偉い人もそう言ってた気がするし。

 もし次があれば陰キャラを事故に見せかけて迷宮の最下層に突き落として、あるか分からない《覚醒》を促してみようかな。何も起きずに死ぬようなら直前で地球に送り返そっと。収益の出ない案件にはお金と労力を出せませんからね。


 勇者は暫く放っておこう。






 街か迷宮かどっちに行くか迷ったが、先に迷宮に行くことにした。

 ここから5000kmほど北上した所にある大陸には、多数の活火山が存在し、その中でも1番高い火山は標高が10000mという余裕で雲を切り裂く化け物みたいな大きさなのだ。その火山の火口付近に迷宮の入り口があることをこの前『天眼』で見つけていたので、いつ行こうかと楽しみにしていたのだ。


 迷宮は普通、その土地の影響を受けるそうなので、火山にある迷宮なら敵は水に弱いだろうという見立てで選んだのだ。迷宮初心者だしね。



 早速火山がよく見えるところに転移する。


 おお、大迫力だ。こんなの前世でも見たことない。

 雲が遙か下に見えるほどの高度に転移したのだが、雲を突き破っていくつもの山が顔を出している。そのうちの一つ、例の迷宮のある大火山は他の山とは比べものにならない程の規模を誇っていて、恐らくこの大陸のどこからでも大火山の形容を認識できるであろうことが確認しなくても分かる。

 圧倒的な威容と佇まいがその大火山に神が宿っていると言われても納得してしまいそうな気配と神々しさを醸し出している。


 火口の広さで街が一つできるのではないかという大きさで、その底に溜まっている赤熱したマグマが時折跳ねている。


 迷宮は火口の中の黒い砂に紛れるようにポッカリと穴を開けて侵入者を待っていて、早く入って欲しそうにしているので、空を飛んでいるための浮力を切って穴に向かって自由落下しながらお邪魔しに行く。


 紐なしバンジーを楽しんだ後、スピードを落としながら姿勢を戻して迷宮に初突入する。


 真っ黒な入り口を潜るとすぐに乾いた地面の見える明るい通路に出た。この通路は真ん中に靴で歩ける道と、常に溶岩が流れている側溝のような道幅の制限があり、もし足を踏み外したら即死間違いなしだろう凶悪な罠となっている。空中浮いてるから関係ないけど。


 この迷宮はいくつもの道から正解のルートを探し出して進んで行くという時間のかかる構造になっていて、途中にも魔物が出てくるので余計に疲労してしまい、致死率も高いだろうことが

 察せる。



 今日は迷宮探索を楽しむつもりなので1層ずつ攻略していきます。ボスの情報も何層まであるのかも調べてないから完全初見プレイだ。


「グケケケッ」


 早速魔物が現れた。通路横のマグマの流れる側溝から顔を出したのは真っ赤な巨大カエルだ。


 --------------------

 マグマフロッグ。溶岩に適応できるようになったカエルの魔物。背中のイボを潰すとマグマが溢れ出てくる。

 level: 42

 skill: 土魔法Ⅳ 火属性無効-

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 1層でこのレベルは相当期待できる迷宮だな。

 基本的に迷宮は年月が経つほど規模が大きくなり、放置されるほど魔物の強さも上がっていくのだ。恐らく何千、何万年と放置されてきたであろうこの迷宮は最深部がどこまであるのだろうか。


「グコッ」


 亀の1匹程度余裕で丸呑みにできる大口を開いて飛びかかってきたカエルに思わず氷のライフル弾を放って頭を撃ち抜いてしまった。


 水系の攻撃を試すつもりだったのに癖でやってしまった。次の魔物よ早く出てこーい。


 地面に伸びているカエルを回収して先に進む。

 1層はカエルしか出てこないようで、30匹目のカエルに水の圧縮球をぶつけて殺した所で下の層に続く階段を見つけた。


 2層、3層と進んで行くとカエルの他に、真っ赤なトカゲが追加されて襲ってくるようになった。


 --------------------

 マグマリザード。溶岩に適応できるようになったトカゲの魔物。体からマグマを生成して突進した攻撃する。

 level: 48

 skill: 溶岩生成- 火属性無効-

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 倒し方はカエルと変わらず水をかけて消火するだけのお仕事だ。トカゲはマグマを纏って突撃してくるので、かなりの確率で水蒸気爆発を起こし、どう考えても大ダメージを負いにいっているようにしか見えない。


 ドンドンと爆音を鳴らしながら10層まで辿り着くと、精緻な紋様の描かれた巨大な扉が入り口を固く閉ざし、ボス部屋の前だということを知らしめていた。


 扉に触れるほど近づくと、重々しい音を立てながらゆっくりと開いていった。


 円形の部屋の中央にはマグマで形作られた10mほどの蛇がいて、地面には落とし穴のように開いたマグマの海がある。そこからマグマフロッグが時折顔を出して周囲の様子を確認しているようだ。


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 マグマハイスネーク。溶岩に適応できるようになった蛇の魔物。肉体がマグマとなってしまった。マグマフロッグが好物。

 level: 69

 skill: 熱感知Ⅲ 溶岩魔法Ⅳ 形状変化- 火属性無効-

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 熱の塊みたいな魔物が灼熱のフィールドで熱感知しても役立つのかな。


「シャァァァァアッ」


 マグマハイスネークはノコノコ殺されに来た小さな亀を見て、赤く燃え盛る顔をニタリと歪めた。


 マグマを撒き散らしながらまあまあ速い速度で突っ込んで来たので上にヒラリと躱しつつ、尻尾?に向かって水の圧縮球を放つ。


 ドォォォォォォォォン


 案の定水蒸気爆発が起こり、10mもあった胴体の半分が吹き飛んでしまった。


(さあ早く溶岩魔法を見せてくれ!)


 マグマの体でも痛みはあるのか地面をのたうち回る大蛇の正面を位置取り、挑発するように八の字を書いて飛行していると、炎の中光る眼がギラリと光り、口を大きく広げて大量のマグマを吐き出してきた。その様子はさながら---


(完全にゲ○やん……魔力の流れもあったしこれが《溶岩魔法》なのか…)


 1人で気落ちしていると地面に撒き散らされたマグマが足場を溶かし、溶岩の海の範囲が広がった。


「シャアッ!」

「グブッ」


 マグマハイスネークは溶岩の海に潜ってマグマフロッグを食べて栄養補給をしているようだ。


 ボス部屋に入れられた時から君たちは捕食される運命だったんだね…かわいそうに……


 奇襲する際に声を上げないのは当たり前としても、気配まで消すのはできなかったようで背後から近づく気配がビンビンに伝わってくる。


 ゲームでいう体力ゲージを元に戻した大蛇は、さっきとは逆の方向から飛び出して俺の背後を狙ったようだ。


 残念ながら気づいているので一瞬で水の牢を生み出し、大蛇を包み込んで消火した。


 肉体が全て炎で構成されていたから素材が何も落ちないのが1番虚しいなこのボス。



 余裕でここの魔物に通用することが分かったので下に続く階段を降りて行く。



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