04 勇者殿
王立騎士団副団長のジョルジュ・シュバルツ。その名を聞けば、知らない者はいないであろうと皆一様に首を縦に振り頷くのだが……どうやら勇者殿は自分のことを知らない、らしい。確証はない。ただ、同じ馬車にいながら気配を消していると俺の存在にはまるっきり気づいていない様子。声をかけてみれば、瞳を大きく見開いて慌てたように返事をする始末だ。彼を城まで送り届ける前に、なにか物騒なことに巻き込まれなければいいが……
「勇者殿は少々、警戒心に欠けている……」
布製のグレーを基調とするローブの中で勇者殿は腕を組み俯き、すうすうと寝息をたてている。
「美しい勇者とは聞いていたが……」
噂に違わない美しさだと、つくづく思う。起きている時に感じたくるくる変わる表情も男としては若干高い声も、今は見られないが(寝ているから)、象牙のような白く滑らかな肌、スッと通った鼻筋も薄くほんのり色づいた唇もそしてなにより――プラチナブロンドのサラサラとした髪が俺の目を惹きつけて離さない。
男相手、しかも初対面に何を考えているのだ俺はと呆れる。しかし、普段むさ苦しい騎士団の奴等に囲まれている俺が興味を惹かれるくらいに、セルディ殿は暑苦しさを感じさせない、一緒にいて心地良い空気になれそうな方だと思えた。
投稿しようか迷いましたが、投下!ジョルジュ副団長にバレないか、ハラハラ(;゜0゜)エイミーは現実的?なのにどこか抜けている少女です。